神経筋疾患|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ

理学療法士国家試験の神経筋疾患分野を、複数年分まとめて対策できるページです。Parkinson病・ALS・多発性硬化症・Guillain-Barré症候群・末梢神経障害など、神経難病と末梢神経は評価・理学療法が問われる頻出分野です。

問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

収録状況

年度実施神経筋疾患 出題数収録
第61回2026年2月12問✅ 解説あり
第60回2025年2月17問✅ 解説あり
第59回2024年2月15問✅ 解説あり
第58回2023年2月14問✅ 解説あり
第57回2022年2月順次追加

頻出テーマ(複数年で押さえたい論点)

  • Parkinson病:Hoehn-Yahr、すくみ足、外的手がかり
  • ALS・神経難病:進行に応じた運動療法・呼吸管理
  • 多発性硬化症:Uhthoff現象、易疲労性
  • 末梢神経障害:絞扼部位、感覚・運動障害の分布、神経再生
  • Guillain-Barré:経過と理学療法の進め方

第61回(2026年2月実施)

神経筋疾患として12問が出題されました(実地4問・一般/共通8問、推定配点20点)。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問15午前実地良性発作性頭位めまい症の理学療法1
問16午前実地多発性硬化症の電撃痛の徴候名4
問17午前実地ALSの下肢筋力低下への理学療法5
問38午前専門一般腕神経叢損傷の病態と障害部位5
問40午前専門一般Hoehn&Yahr分類ステージⅡの症状4
問83午前共通多発性硬化症のリハビリ治療3・4
問84午前共通Parkinson病の治療薬の選択2
問91午前共通感覚障害を合併する神経筋疾患2・5
問16午後実地Parkinson病のWearing-off現象5
問25午後専門一般Guillain-Barré症候群の特徴5
問42午後専門一般糖尿病性神経障害の特徴的所見4
問90午後共通ALS診断に有用な検査3

午前 問15(実地・正答 1) 問題を見る →

ポイント:良性発作性頭位めまい症(BPPV)は耳石置換法が第一選択。後半規管型に対するEpley法で耳石を卵形嚢へ戻す。

  • 1:Epley法(耳石置換法)はBPPVの根本治療。発症早期から実施可能。
  • 2:歩行安定性に問題なく杖歩行練習は不要。
  • 3:閉眼バランス練習はBPPVの治療にならない。
  • 4:頭部回旋を避ける指導は代償的で根本治療でない。
  • 5:頸部筋力増強はBPPVと無関係。

午前 問16(実地・正答 4) 問題を見る →

ポイント:多発性硬化症で頸部前屈時に脊柱に沿って電撃痛が走る=Lhermitte徴候。頸髄後索の脱髄病変を示唆。

  • 1:Barré徴候は錐体路障害の上肢挙上検査。
  • 2:Gowers徴候は筋ジストロフィーの登攀性起立。
  • 3:Horner徴候は縮瞳・眼瞼下垂・発汗低下。
  • 4:Lhermitte徴候は頸部前屈で背部~下肢に電撃痛が走る、MSに特徴的な所見。
  • 5:Uhthoff徴候は体温上昇で症状悪化する現象。

午前 問17(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:ALSで下肢筋力低下・鶏歩(下垂足)がある。過負荷は禁忌だが、プラスチックAFOで下垂足を補正した歩行練習が最も適切。

  • 1:ADL自立段階で車椅子操作練習は時期尚早。
  • 2:漸増抵抗運動(高負荷)はALSでは過用性筋力低下を招き禁忌。
  • 3:両松葉杖は上肢にも負担で、この段階では過剰。
  • 4:ALSは運動神経疾患で感覚は保たれ、感覚再教育は不要。
  • 5:プラスチックAFOで下垂足を補正し、安全な歩行を維持する。

午前 問38(専門一般・正答 5) 問題を見る →

ポイント:完全型腕神経叢損傷では、神経叢全体が障害され近位(肩)から遠位(手指)まで全ての運動障害が生じる。

  • 1:末梢神経損傷では深部腱反射は低下・消失する(亢進しない)。
  • 2:完全型(引き抜き損傷)では自然回復は期待できない。
  • 3:下位型(C8-T1)では手内筋が障害され、肘屈曲(C5-6)は保たれる。
  • 4:上位型(C5-6:Erb麻痺)では肩・肘が障害され、手指巧緻運動(C8-T1)は保たれる。
  • 5:完全型では近位から遠位まで全ての運動障害がみられる。

午前 問40(専門一般・正答 4) 問題を見る →

ポイント:Hoehn&YahrステージⅡは、両側性の障害があるが姿勢反射障害(バランス障害)はない段階。両上肢の固縮(両側性症状)がⅡの判断根拠。

  • 1:四肢の拘縮は重症度分類の直接指標ではない。
  • 2:頻回の転倒は姿勢反射障害を伴うステージⅢ以上。
  • 3:起立性低血圧は自律神経症状で病期分類の指標でない。
  • 4:両上肢の固縮=両側性症状はステージⅡ(両側性、姿勢反射障害なし)を示す。
  • 5:Romberg徴候(姿勢バランス)はⅢ以上を示唆。

午前 問83(共通・正答 3・4) 問題を見る →

ポイント:多発性硬化症のリハでは、運動失調に対する重錘負荷(四肢の安定化)と、視野欠損に対する環境整備(照明の工夫等)が正しい。温熱・高強度運動・体温上昇はUhthoff現象を招くため避ける。

  • 1:痙縮に対する温熱療法は体温上昇でUhthoff現象(症状悪化)を招き不適。
  • 2:1RMを反復する高強度筋力強化は易疲労性のMSでは過用を招き不適。
  • 3:運動失調に対し重錘を負荷して四肢を安定させる練習は有効。
  • 4:視野欠損に対し照明など環境整備を行うのは適切。
  • 5:歩行障害に対し一律に早期から下肢装具を作製するのは画一的で、病状に応じて判断すべき。

午前 問84(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:Parkinson病の治療薬はL-dopa(レボドパ)。ドパミン前駆物質で不足したドパミンを補充する。

  • 1:NSAIDsは消炎鎮痛薬。
  • 2:L-dopaはPD治療の中心薬(ドパミン補充)。
  • 3:コリン作動薬はPDではむしろ症状を悪化させる(抗コリン薬が用いられる)。
  • 4:カルシウム拮抗薬は降圧薬。
  • 5:セフェム系抗菌薬は感染症治療薬。

午前 問91(共通・正答 2・5) 問題を見る →

ポイント:感覚障害を合併するのは多発性硬化症(中枢脱髄)と慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP、末梢脱髄で感覚障害あり)。

  • 1:重症筋無力症は神経筋接合部の障害で感覚障害はない。
  • 2:多発性硬化症は感覚障害を合併する。
  • 3:筋萎縮性側索硬化症は運動ニューロン疾患で感覚は保たれる。
  • 4:肢帯型筋ジストロフィーは筋疾患で感覚障害はない。
  • 5:CIDPは脱髄性で感覚障害を合併する。

午後 問16(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:L-dopa長期服用で薬効時間が短縮し、次回服薬前に症状が悪化する=Wearing-off現象(薬効の切れ目)。

  • 1:Cushing現象は頭蓋内圧亢進時の血圧上昇・徐脈。
  • 2:On-off現象は服薬と無関係に症状が急変する現象。本例は薬効時間短縮が明確でWearing-offが適切。
  • 3:Pusher現象は脳卒中後の押しつけ現象。
  • 4:Raynaud現象は末梢血管の発作性収縮。
  • 5:Wearing-off現象はL-dopaの効果持続時間が短縮し、次回服薬前に症状が悪化する運動合併症。

午後 問25(専門一般・正答 5) 問題を見る →

ポイント:Guillain-Barré症候群は先行感染(上気道・消化管感染)の1-3週後に発症する急性炎症性脱髄性多発神経炎。呼吸器感染を契機とすることが多い。

  • 1:深部腱反射は低下・消失する(末梢神経障害)。
  • 2:全年齢に生じ、小児特有ではない(むしろ成人に多い)。
  • 3:脱髄により神経伝導速度は低下する。
  • 4:感覚障害は軽度で、運動麻痺が主体。四肢遠位から始まる。
  • 5:上気道・消化管の先行感染(Campylobacter等)の後に発症することが多い。

午後 問42(専門一般・正答 4) 問題を見る →

ポイント:糖尿病性神経障害は遠位対称性多発神経障害が典型で、下肢遠位から始まる靴下型(手袋靴下型)感覚障害を特徴とする。

  • 1:緩徐進行性で、急激な発症ではない。
  • 2:自律神経障害は生じるが「自律神経過反射」は脊髄損傷の病態。
  • 3:深部腱反射は低下・消失する(亢進ではない)。
  • 4:下肢遠位優位の靴下型(手袋靴下型)感覚障害が特徴的。
  • 5:遠位筋優位の障害で、近位筋優位ではない。

午後 問90(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:ALSは下位運動ニューロン障害を反映する針筋電図(脱神経所見・線維束性収縮)が診断に最も有用。

  • 1:SPECTは脳血流評価でALS診断には不適。
  • 2:頭部CTは他疾患の除外に用いるが確定診断にはならない。
  • 3:針筋電図は下位運動ニューロン障害(脱神経・再神経支配)を検出し診断に有用。
  • 4:頸部超音波はALS診断の主検査ではない。
  • 5:体性感覚誘発電位は感覚路の評価でALS(運動系)には不適。

第60回(2025年2月実施)

神経筋疾患として17問が出題されました(実地4問・一般/共通13問、推定配点25点)。全問の正答・解説は 第60回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問6午前実地Duchenne型筋ジスの機能障害度分類2
問43午前専門一般脊髄小脳変性症の転帰指標1
問44午前専門一般登はん性起立を示す筋疾患4
問86午前共通神経伝導検査が有用な疾患2
問91午前共通Parkinson病の治療薬2
問92午前共通Guillain-Barré症候群の初期症状5
問98午前共通てんかん発作時にまず行う対応3
問11午後実地Parkinson病の歩行練習法4
問12午後実地深部感覚障害に対する運動療法3
問18午後実地足関節背屈筋麻痺への物理療法5
問29午後専門一般Parkinson病でみられる症候3
問43午後専門一般F波異常を示す神経疾患1
問44午後専門一般神経筋疾患と理学療法の組合せ3
問83午後共通小脳障害でみられる症候1・3
問86午後共通多発性硬化症の病態と診断5
問88午後共通神経ブロックとボツリヌス療法2
問93午後共通Duchenne型筋ジストロフィーの特徴1

午前 問6(実地・正答 2) 問題を見る →

ポイント:厚生省筋萎縮症研究班の機能障害度分類は8段階で、ステージ5が四つ這い、6がずり這い、7が座位保持可能、8が座位保持不能である。本児は屋内を四つ這いで移動しており、ステージ5に該当する。

  • 1:ステージ4は歩行可能な段階。四つ這いで移動する本児は該当しない。
  • 2:ステージ5は四つ這いで移動する段階であり、屋内四つ這い移動の本児に一致する。
  • 3:ステージ6はずり這い移動の段階で、四つ這いが可能な本児より進行している。
  • 4:ステージ7は座位保持は可能だが自力移動ができない段階で、本児より重度である。
  • 5:ステージ8は座位保持も不能な段階。四つ這い移動し通学する本児とは異なる。

午前 問43(専門一般・正答 1) 問題を見る →

ポイント:同ガイドラインは、変性性小脳疾患に対する短期集中リハビリテーションの効果を検証した無作為化比較試験(Miyaiら)を根拠としており、そこで効果判定に用いられた指標が失調重症度尺度SARAである。

  • 1:歩行や言語、上下肢協調など8項目で失調の重症度を評価する尺度で、転帰指標とされる。
  • 2:筋力低下は本疾患の主症状ではなく、集中リハの効果を示す転帰指標には用いられていない。
  • 3:咳嗽力は誤嚥性肺炎の予防に関わるが、集中リハの転帰指標としては挙げられていない。
  • 4:深部感覚障害は脊髄性失調で問題となる所見で、集中リハの転帰指標には採用されていない。
  • 5:関節可動域は拘縮予防の観点で重要だが、失調の改善度を示す転帰指標ではない。

午前 問44(専門一般・正答 4) 問題を見る →

ポイント:登はん性起立(Gowers徴候)は、体幹・股関節伸展筋の筋力低下のため床から立つ際に自分の下肢に手をついてよじ登るように立ち上がる動作で、Duchenne型筋ジストロフィーの代表的所見である。

  • 1:筋強直性ジストロフィーは把握ミオトニアと遠位筋優位の萎縮が特徴で、登はん性起立は典型的でない。
  • 2:登はん性起立は近位筋筋力低下があれば肢帯型でも生じうるが、肢帯型は思春期以降の発症が多く進行も緩徐で頻度も低い。幼児期から骨盤帯筋が侵され、この所見が診断の手がかりとなるのはDuchenne型である。
  • 3:先天型は出生時からの筋緊張低下と運動発達遅滞が主体で、独歩の獲得自体が困難なことが多い。
  • 4:幼児期から骨盤帯筋の筋力低下が進み、床からの立ち上がりで登はん性起立を示す代表疾患。
  • 5:顔面肩甲上腕型は顔面筋と肩甲帯の筋力低下が主体で翼状肩甲が目立ち、登はん性起立は主症状でない。

午前 問86(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:末梢神経伝導検査は末梢神経の伝導速度・潜時・活動電位振幅を調べる検査で、絞扼性ニューロパチーや末梢神経障害の診断に有用である。中枢神経の変性疾患、筋そのものの疾患、血管の疾患の評価には向かない。

  • 1:中脳黒質の変性による中枢性疾患で末梢神経は障害されず、診断は臨床症状と経過による。
  • 2:手根管部での正中神経の絞扼を、遠位潜時の延長や伝導速度低下として捉えられ有用である。
  • 3:小脳・線条体・自律神経系が障害される中枢性の変性疾患で、画像や臨床所見で診断する。
  • 4:病変は筋線維自体にあり、針筋電図やCK値、遺伝子検査・筋生検が診断に用いられる。
  • 5:下肢動脈の狭窄・閉塞が本態で、足関節上腕血圧比や超音波、造影検査で評価する。

午前 問91(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:Parkinson病は中脳黒質のドパミン神経細胞が変性し線条体のドパミンが減少する疾患である。L-ドーパはドパミンの前駆物質で血液脳関門を通過し、脳内でドパミンに変換されて症状を改善する中心的な治療薬である。

  • 1:高血圧や不整脈、本態性振戦などに用いる薬で、Parkinson病の標準治療薬ではない。
  • 2:血液脳関門を通過して脳内でドパミンに変換され、寡動や固縮を改善する中心的薬剤である。
  • 3:糖尿病の血糖コントロールに用いるホルモン製剤で、ドパミン系には作用しない。
  • 4:血管平滑筋に作用する降圧薬などで、一部は逆に薬剤性パーキンソニズムの原因となりうる。
  • 5:細菌感染症の治療薬であり、神経変性疾患であるParkinson病には効果がない。

午前 問92(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:Guillain-Barré症候群は先行感染の1〜3週後に発症する急性の免疫性ニューロパチーである。両側性・左右対称性に下肢遠位から始まって上行する筋力低下と腱反射の消失が特徴で、数日から数週で進行のピークに達する。

  • 1:悪性腫瘍や消耗性疾患、内分泌疾患を示唆する所見で、本症の初期症状として特徴的でない。
  • 2:筋痛や神経根痛を訴えることはあるが、激しい関節痛はむしろ関節疾患を疑う所見である。
  • 3:視神経炎や網膜動脈閉塞などでみられる症状で、本症の典型的な初発症状ではない。
  • 4:Addison病などでみられる所見で、本症の初期症状として特徴的なものではない。
  • 5:下肢遠位から左右対称性に始まり上行する筋力低下と腱反射消失が本症の典型像である。

午前 問98(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:焦点意識減損発作(複雑部分発作)では意識が曇ったまま自動症や徘徊がみられ、通常は数分以内に終息する。まず行うのは環境の安全確保で、危険物を除いて見守る。無理な抑制や口腔内への物の挿入は外傷や窒息を招くため行わない。

  • 1:発作の多くは数分で自然に治まるため、まず搬送を要請する場面ではない。重積や外傷時は要請する。
  • 2:意識が減損した状態で一人にすると転倒や事故の危険があり、見守りを続ける必要がある。
  • 3:刃物や熱源、階段など周囲の危険物を取り除くことが、まず行うべき安全確保である。
  • 4:強く押さえると本人や介助者の外傷、興奮の助長を招くため、無理な抑制は避ける。
  • 5:口腔内に物を入れると窒息や口腔・歯の損傷の危険があり、現在は行わない対応である。

午後 問11(実地・正答 4) 問題を見る →

ポイント:すくみ足や小刻み歩行からの突進には外的キューが有効である。床の等間隔の線をまたぐ視覚的キューは歩幅を規定してすくみを解除する。二重課題や歩行速度の増加はかえって症状を悪化させる。

  • 1:継ぎ足歩行は支持基底面を狭め、姿勢反射障害のあるステージⅢでは転倒の危険が高く、すくみ足の改善にもならない。
  • 2:速度を上げると歩幅が減って前方へ加速し、突進現象を助長する。すくみ足対策としては逆効果である。
  • 3:計算しながらの歩行は二重課題となり、注意資源が分散してすくみ足や歩幅減少を悪化させるため適さない。
  • 4:床の等間隔の線は歩幅の視覚的キューとなり、すくみ足の解除と歩幅の拡大に有効で、この患者の歩行練習に適する。
  • 5:足首の重錘バンドは下肢の振り出しを妨げ、易疲労や転倒を招く。すくみ足に対する改善効果は期待できない。

午後 問12(実地・正答 3) 問題を見る →

ポイント:深部感覚の重度鈍麻による感覚性運動失調で、閉眼でのふらつきや踵打歩行がみられる。視覚で運動を代償しながら反復して協調性を再学習するFrenkel体操が適応となる。

  • 1:Buerger(Buerger-Allen)体操は下肢の挙上と下垂を繰り返して末梢循環を促す運動で、閉塞性動脈疾患に用いる。
  • 2:Codman体操は体幹を前傾して上肢を振り子様に動かす肩関節の運動で、肩関節周囲炎などに用いる。
  • 3:Frenkel体操は視覚で確認しながら定められた運動を反復し協調性を高める方法で、深部感覚障害による失調の代表的治療。
  • 4:Klapp体操は四つ這い位で脊柱の側屈・回旋を行う脊柱側弯症の運動療法であり、失調に対する治療ではない。
  • 5:Williams体操は腹筋強化や骨盤後傾など腰椎屈曲を主体とする腰痛体操で、深部感覚障害には対応しない。

午後 問18(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:人工骨頭置換術後に股関節外旋位が続き、腓骨頭部で総腓骨神経が圧迫されて生じた下垂足と考えられる。麻痺筋には電気刺激療法で他動的に筋収縮を起こし、筋萎縮の進行を抑えることが適切である。

  • 1:温熱療法は循環改善や疼痛緩和が目的で、麻痺した足関節背屈筋の収縮を得たり筋萎縮を防いだりする作用はない。
  • 2:赤外線療法は表在性の温熱刺激であり、末梢神経麻痺による筋力低下そのものに対する治療効果は期待できない。
  • 3:体外衝撃波療法は足底腱膜炎や石灰沈着性腱炎などが適応であり、末梢神経麻痺による筋力低下には用いない。
  • 4:超音波療法は深部温熱や組織修復の促進を目的とし、麻痺した筋を収縮させることはできない。
  • 5:電気刺激療法は麻痺筋に直接収縮を起こさせ、廃用性の筋萎縮を抑えて神経再支配までの機能維持を図れる。

午後 問29(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:Parkinson病は黒質線条体ドパミン系の変性による錐体外路障害で、安静時振戦・筋強剛(固縮)・無動/寡動・姿勢反射障害の四徴を示す。錐体路徴候である痙縮、腱反射亢進、病的反射は原則としてみられない。

  • 1:痙縮は錐体路障害による速度依存性の筋緊張亢進。Parkinson病では速度に依存しない歯車様・鉛管様固縮を示す。
  • 2:分回し歩行は脳卒中片麻痺でみられる。Parkinson病では小刻み歩行、すくみ足、加速歩行が特徴である。
  • 3:姿勢反射障害は四徴の一つ。立ち直り反応が低下し、後方突進現象や転倒を生じやすくなる。
  • 4:膝蓋腱反射亢進は錐体路障害を示す所見。Parkinson病では深部腱反射は原則として正常である。
  • 5:Babinski反射陽性は錐体路障害を示す病的反射であり、Parkinson病では原則として陰性である。

午後 問43(専門一般・正答 1) 問題を見る →

ポイント:F波は運動神経を逆行性に伝わった刺激が脊髄前角細胞を再興奮させて生じる遅発反応で、神経根など近位部の状態を反映する。脱髄が神経根から始まるGuillain-Barré症候群では、早期からF波の潜時延長と出現率低下がみられる。

  • 1:脱髄が神経根・近位部から始まるため、発症早期からF波の潜時延長や出現率低下が出現し、診断上有用な所見となる。
  • 2:Parkinson病は黒質線条体系の変性による中枢性疾患で、末梢神経の伝導は保たれF波は正常である。
  • 3:重症筋無力症は神経筋接合部の障害で、反復刺激試験での漸減現象が特徴。神経伝導速度やF波潜時は保たれる。
  • 4:進行性核上性麻痺は中脳被蓋や基底核の変性による中枢性疾患で、末梢神経伝導検査は基本的に正常である。
  • 5:多系統萎縮症は小脳・線条体・自律神経系の変性が主体であり、F波の異常を特徴とする疾患ではない。

午後 問44(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:ジストニアでは、不随意に過剰収縮する筋の活動を視覚・聴覚情報として本人に返す筋電図バイオフィードバックが用いられ、収縮の抑制を学習させる。他の組合せは疾患特性に反する運動負荷や物理療法であり不適切である。

  • 1:Böhler体操は脊椎圧迫骨折後などに腰背筋・殿筋を強化する体操で、末梢神経障害であるGuillain-Barré症候群には用いられない。
  • 2:ALSでは過用性筋力低下を招くため重錘負荷は避ける。疲労を残さない範囲の運動と装具・補助具の活用が基本である。
  • 3:過剰に収縮している筋の筋電図をフィードバックして活動を自覚させ、抑制を学習させる方法で、ジストニアへの介入手段として用いられる。
  • 4:重症筋無力症は易疲労性が特徴で、漸増抵抗運動のような高負荷は症状を悪化させる。低負荷で休息を挟む実施が原則である。
  • 5:多発性硬化症は体温上昇で症状が悪化するUhthoff現象があり、温浴を含む交代浴は原則として勧められない。

午後 問83(共通・正答 1・3) 問題を見る →

ポイント:小脳は運動の協調と筋緊張の調節を担う。障害では筋緊張低下、測定障害(ジスメトリー)、企図振戦、変換運動障害、失調性歩行などがみられ、錐体路徴候や感覚障害は原則として伴わない。

  • 1:小脳障害では伸張反射の調節が障害され筋緊張が低下する。振り子様の膝蓋腱反射がみられることがある。
  • 2:静止時振戦はParkinson病など基底核(錐体外路)障害の症状である。小脳性の振戦は動作時の企図振戦。
  • 3:ジスメトリー(測定障害)は目標に対し行き過ぎたり届かなかったりする運動距離の調節障害で、代表的な小脳症状。
  • 4:深部感覚障害は脊髄後索や末梢神経の障害で生じる。小脳自体の障害では感覚は保たれる。
  • 5:Babinski徴候などの病的反射は錐体路障害で陽性となるもので、小脳障害では原則としてみられない。

午後 問86(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:多発性硬化症は脳・脊髄・視神経など中枢神経の脱髄疾患で、20〜30歳代の女性に好発する。MRIのT2高信号病巣により病巣の空間的・時間的多発を示すことができ、McDonald基準でも診断の中心となる。

  • 1:男性より女性に多く、男女比はおよそ1対2〜3とされる。好発年齢は20〜30歳代である。
  • 2:単一遺伝子による遺伝性疾患ではなく、遺伝素因に環境因子が加わって発症する多因子疾患と考えられている。
  • 3:体温上昇で症状が一過性に悪化するUhthoff現象があるため、高温での温熱療法や入浴は原則として避ける。
  • 4:脱髄が生じるのは中枢神経の髄鞘である。末梢神経の脱髄疾患はGuillain-Barré症候群やCIDPが代表。
  • 5:MRIは中枢神経白質の脱髄病巣の検出に優れ、病変の多発性の証明に有用で診断基準に組み込まれている。

午後 問88(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:星状神経節ブロックは頸部で交感神経節を遮断する手技で、近傍を走る反回神経が薬液の影響を受けると一過性の嗄声を生じる。ほかにHorner徴候、嚥下障害、血腫、気胸などの合併症がある。

  • 1:三叉神経痛には三叉神経ブロック(Gasser神経節ブロックなど)を行う。硬膜外ブロックは脊髄神経領域の疼痛が対象。
  • 2:反回神経が近接するため一過性の嗄声は代表的な合併症である。Horner徴候や嚥下障害を伴うこともある。
  • 3:作用部位は神経筋接合部で、運動神経終末からのアセチルコリン放出を阻害する。筋内の神経幹を遮断するものではない。
  • 4:効果は投与後数日で現れ、持続はおよそ3〜4か月である。約3日というのは著しく短すぎる。
  • 5:Lambert-Eaton症候群は神経筋接合部のアセチルコリン放出障害であり、症状を増悪させるため投与は避ける。

午後 問93(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:Duchenne型筋ジストロフィーはX連鎖潜性(劣性)遺伝で、ジストロフィン遺伝子の変異により筋線維が壊死・変性する遺伝性疾患である。主に男児が2〜5歳頃に発症する。

  • 1:X染色体上のジストロフィン遺伝子の変異による遺伝性疾患である。約3分の1は新生突然変異とされる。
  • 2:X連鎖潜性遺伝のためほぼ男児に発症し、女性は多くが保因者にとどまる。
  • 3:発症は2〜5歳頃で、転びやすさや動揺性歩行、登はん性起立(Gowers徴候)で気づかれることが多い。
  • 4:感染が発症の契機となることはない。原因は遺伝子変異によるジストロフィンの欠損である。
  • 5:かつては20歳前後であったが、呼吸・心機能管理の進歩で30歳代以降まで延長した。約60歳ではない。

第59回(2024年2月実施)

神経筋疾患として15問が出題されました(実地3問・一般/共通12問、推定配点21点)。全問の正答・解説は 第59回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問13午前実地手指伸展障害から責任神経を同定4
問34午前専門一般Parkinson病の臨床症状2
問35午前専門一般筋萎縮性側索硬化症の特徴3
問43午前専門一般Parkinson病治療で不適切なもの5
問48午前専門一般脊髄小脳変性症の特徴と評価1・3
問92午前共通手根管症候群でみられる症候4
問98午前共通ミオクロニー発作の特徴4
問12午後実地ALS患者への現時点の適切な対応1
問14午後実地急性多発根神経炎の疾患推定5
問39午後専門一般多発性硬化症の理学療法の禁忌5
問40午後専門一般感覚性運動失調の治療法の適否3
問78午後共通Duchenne型筋ジストロフィーの特徴1
問84午後共通抗てんかん薬の副作用の頻度5
問85午後共通Guillain-Barré症候群の診断検査3
問91午後共通ALSの典型的筋電図所見3

午前 問13(実地・正答 4) 問題を見る →

ポイント:感覚障害がなく、手関節伸展が比較的保たれる一方で手指伸展が高度に障害され、回外筋・総指伸筋・長母指伸筋に脱神経電位を認める。回外筋のFrohseアーケード部で絞扼される純運動枝、後骨間神経の麻痺と考えられる。

  • 1:尺骨神経障害では手内在筋の麻痺と環指・小指側の感覚障害が主体で、総指伸筋や長母指伸筋は支配しない。
  • 2:正中神経障害では前腕回内や母指球筋の障害と橈側手掌の感覚障害を来し、手指伸展障害は説明できない。
  • 3:上腕部での橈骨神経本幹の障害では下垂手となり手関節伸展が高度に低下し、手背橈側の感覚障害を伴う。本例は手関節伸展4で感覚は正常。
  • 4:後骨間神経は橈骨神経深枝の運動枝で回外筋・総指伸筋・長母指伸筋などを支配する。感覚枝がなく、長橈側手根伸筋が温存され手関節伸展は保たれる。
  • 5:前骨間神経は正中神経の運動枝で長母指屈筋・深指屈筋橈側・方形回内筋を支配し、屈曲の障害を来す。伸展障害ではない。

午前 問34(専門一般・正答 2) 問題を見る →

ポイント:Parkinson病は中脳黒質のドパミン神経細胞の変性による錐体外路疾患で、安静時振戦・筋強剛・無動(寡動)・姿勢保持障害を4大症状とする。錐体路や感覚系は原則として障害されない。

  • 1:錐体外路系の変性疾患であり、原則として他覚的な感覚障害は認めない。
  • 2:4〜6Hz程度の安静時振戦が特徴的で、多くは一側の上肢から出現する。
  • 3:深部腱反射は原則として正常である。腱反射が亢進するのは錐体路障害がある場合である。
  • 4:進行例ではwearing-off現象やon-off現象などにより症状の日内変動が大きくなる。
  • 5:発症初期は症状が一側優位で左右差(非対称性)を示すことが特徴である。

午前 問35(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:筋萎縮性側索硬化症は上位・下位運動ニューロンがともに変性する疾患で、筋萎縮・筋力低下は上肢遠位から始まることが多い。感覚障害・眼球運動障害・膀胱直腸障害・褥瘡は生じにくく(陰性四徴候)、進行すると呼吸筋麻痺をきたす。

  • 1:感覚系は原則として保たれ、深部感覚も障害されにくい。感覚障害は陰性四徴候の一つである。
  • 2:認知機能は一般に保たれる。ただし一部の症例で前頭側頭型認知症を合併することが知られている。
  • 3:筋萎縮は手指・前腕など四肢遠位に著明で、母指球筋や第1背側骨間筋の萎縮が早期からみられる。
  • 4:外眼筋は末期まで比較的保たれることが多く、眼球運動障害は生じにくい(陰性四徴候の一つ)。
  • 5:呼吸筋麻痺により換気が低下し、動脈血二酸化炭素分圧は上昇する(II型呼吸不全)。

午前 問43(専門一般・正答 5) 問題を見る →

ポイント:Parkinson病の治療は薬物療法(L-ドパ、ドパミン作動薬)、外科的治療(脳深部刺激療法)、運動療法が中心。ボツリヌス毒素は局所の筋緊張異常に対する治療で、無動・筋固縮といった主症状の治療手段にはならない。

  • 1:リズム刺激(聴覚的手がかり)はすくみ足や歩行速度・歩幅の改善に用いられる有効な運動療法。
  • 2:ドパミン作動薬はL-ドパと並ぶ薬物療法の中心で、適切な治療である。
  • 3:脳深部刺激療法は薬効変動やジスキネジアを伴う進行例に対する確立した外科的治療である。
  • 4:経頭蓋磁気刺激法は運動症状や抑うつの改善効果が報告される非侵襲的治療で、否定されない。
  • 5:ボツリヌス毒素は痙縮やジストニアなど局所の筋緊張異常に用いる治療で、本症の主症状には適応がない。

午前 問48(専門一般・正答 1・3) 問題を見る →

ポイント:脊髄小脳変性症は小脳・脊髄系の変性による運動失調を主体とする疾患群。全国の患者数は約3万人で、有病率は人口10万人あたりおおむね十数〜20人台。約2/3が非遺伝性(多系統萎縮症が主体)で、1/3が遺伝性である。

  • 1:Frenkel体操は視覚による代償を利用した協調運動訓練で、運動失調に対して用いられる。
  • 2:視野障害は通常伴わない。眼症状としては眼球運動障害や注視方向性眼振がみられる。
  • 3:SARAは歩行・立位・座位・言語・上肢運動などを評価する8項目の包括的失調重症度尺度である。
  • 4:10万人あたり100人は過大。全国約3万人で、おおむね十数〜20人台程度とされる。
  • 5:逆である。自律神経障害は非遺伝性の多系統萎縮症で目立ち、遺伝性より非遺伝性に多い。

午前 問92(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:手根管症候群は手根管内での正中神経圧迫で生じ、母指から環指橈側の感覚障害と、進行すると短母指外転筋などの母指球筋の萎縮・母指対立障害を示す。

  • 1:下垂手は橈骨神経麻痺による手関節・手指伸展障害で、正中神経障害では起こらない。
  • 2:背側・掌側骨間筋は尺骨神経支配であり、その萎縮は尺骨神経障害を示す所見である。
  • 3:小指の感覚は尺骨神経支配で、正中神経領域(母指〜環指橈側)には含まれない。
  • 4:正しい。短母指外転筋・母指対立筋などの母指球筋が萎縮し、進行例では母指球が平坦化する。
  • 5:Guyon管は手関節尺側にある尺骨神経の通路で、ここでのTinel徴候陽性は尺骨神経障害を示す。

午前 問98(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:ミオクロニー発作は瞬間的な筋収縮による発作で、若年ミオクロニーてんかんなど思春期発症が典型。両側性で意識は保たれることが多く、脳波で光突発反応を示し光刺激で誘発されやすい。

  • 1:発作は一瞬で意識は保たれることが多い。意識消失を伴うのは全般強直間代発作などである。
  • 2:若年ミオクロニーてんかんは思春期発症が典型で、高齢発症が多いわけではない。
  • 3:持続は1秒未満の瞬間的なもので、数分間持続することはない。
  • 4:正しい。光刺激により脳波上の光突発反応が誘発され、発作が引き起こされることがある。
  • 5:上肢や体幹の両側性に生じることが多く、片側性であるとはいえない。

午後 問12(実地・正答 1) 問題を見る →

ポイント:上肢近位筋優位の筋力低下、四肢の腱反射亢進、舌の萎縮と構音障害から筋萎縮性側索硬化症が疑われる。%肺活量95%、PaCO2 40Torr、PaO2 90Torrで呼吸障害はなく嚥下も保たれているため、現時点では上肢動作を補う装具の導入が適切である。

  • 1:正しい。BFO(前腕を支持して水平面の動きを助ける装具)は近位筋MMT2の状態でも食事などの上肢動作を可能にする。
  • 2:体重減少はあるが明らかな嚥下障害はなく、この時点で胃瘻造設を行う段階ではない。
  • 3:%肺活量95%、PaCO2 40Torrと換気は保たれており、気管切開を行う適応ではない。
  • 4:両下肢のMMTは4で歩行能力が残存しており、現時点で電動車椅子を導入する必要はない。
  • 5:PaO2 90Torrと酸素化は良好で、在宅酸素療法の対象となる低酸素状態ではない。

午後 問14(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:先行する感冒症状の1〜3週後に四肢の運動麻痺と感覚障害が急速に進行し、深部腱反射が消失して病的反射を欠き、神経伝導検査で活動電位振幅の著明な低下(軸索障害型)を示す点から、Guillain-Barré症候群が最も考えられる。

  • 1:髄膜炎は発熱・頭痛・髄膜刺激徴候が主体で、末梢神経障害による四肢麻痺と腱反射消失は説明できない。
  • 2:多発性筋炎は近位筋優位の筋力低下とCK上昇が特徴で、感覚障害や深部腱反射の消失は通常伴わない。
  • 3:多発性硬化症は中枢神経の脱髄疾患で腱反射亢進や病的反射を示し、末梢神経の振幅低下は生じない。
  • 4:筋萎縮性側索硬化症は腱反射亢進などの上位運動ニューロン徴候を伴い、原則として感覚障害を認めない。
  • 5:正しい。先行感染後に急性進行する四肢麻痺・感覚障害と深部腱反射消失は本症候群の典型像である。

午後 問39(専門一般・正答 5) 問題を見る →

ポイント:多発性硬化症では体温が上昇すると脱髄部位の神経伝導が悪化し、症状が一時的に悪化するUhthoff現象がみられる。したがって体温を上げる温熱療法は原則として避けるべきである。

  • 1:他動的な関節可動域練習は拘縮予防に有用で、禁忌ではない。疲労を残さない範囲で行う。
  • 2:中等度強度の有酸素運動は寛解期の運動耐容能や疲労感の改善に有効である。体温上昇に配慮すれば実施可能である。
  • 3:低強度の筋力増強練習は寛解期に推奨される介入であり、過負荷を避けて行えば禁忌ではない。
  • 4:電気刺激療法は筋力維持や疼痛緩和に用いられ、多発性硬化症で禁忌とはされていない。
  • 5:正しい。温熱療法は体温上昇によりUhthoff現象を招き症状を悪化させるため、原則として避ける。

午後 問40(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:感覚障害による運動失調では、不足した深部感覚のフィードバックを固有感覚入力の増強と視覚代償で補う。重錘負荷、弾性緊縛帯、姿勢鏡、歩行補助具などが用いられる。

  • 1:重錘負荷は四肢に重さを加えて固有感覚入力を増やし、運動の振れを抑える方法であり適切である。
  • 2:弾性緊縛帯は体幹や四肢を圧迫して深部感覚入力を高め、動作の安定を図る方法であり適切である。
  • 3:適切でない。電気刺激療法は末梢神経障害による感覚性の運動失調そのものを改善する手段とはならない。
  • 4:姿勢鏡を用いた立位練習は視覚による代償を利用して姿勢を修正する方法であり適切である。
  • 5:歩行補助具を用いた歩行練習は支持基底面を広げて安定性を確保でき、安全に実施できるため適切である。

午後 問78(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:Duchenne型筋ジストロフィーはX連鎖劣性遺伝でジストロフィン蛋白が欠損し、2〜5歳ころに転びやすさや登攀性起立(Gowers徴候)で気づかれる。心筋障害も多く、関節は屈曲拘縮や尖足を生じる。

  • 1:発症は2〜5歳ころの幼少期で、歩行の動揺や登攀性起立、下肢近位筋の弱さで気づかれる。
  • 2:心筋にもジストロフィンが欠損するため心筋障害や心不全は高頻度で、まれではない。
  • 3:下肢は足関節底屈(尖足)や股・膝関節の屈曲拘縮を生じる。伸展拘縮ではない。
  • 4:X染色体上のDMD遺伝子の異常によるX連鎖劣性遺伝で、原則として男児に発症する。
  • 5:筋形質膜のジストロフィン蛋白はほぼ欠損している。みられるという記述は誤り。

午後 問84(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:傾眠・めまい・複視は多くの抗てんかん薬に共通する用量依存性の中枢神経系副作用で頻度が高く、肝機能障害も定期的な血液検査を要する程度にみられます。末梢神経障害は長期投与でまれに報告される程度で、最も頻度が低いです。

  • 1:鎮静作用による傾眠は抗てんかん薬でごく一般的にみられる副作用であり、頻度は高い。
  • 2:複視はカルバマゼピンやフェニトインなどで用量依存性に生じる代表的な副作用で、頻度は高い。
  • 3:ふらつき・めまいは小脳症状として多くの抗てんかん薬でみられ、頻度は高い副作用である。
  • 4:バルプロ酸やカルバマゼピンなどで肝酵素上昇がみられ、定期的な肝機能検査が必要とされる程度に頻度がある。
  • 5:末梢神経障害はフェニトインの長期投与などでまれに報告される程度で、他の選択肢に比べ頻度は明らかに低い。

午後 問85(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:Guillain-Barré症候群では髄液検査で細胞数増加を伴わない蛋白増加(蛋白細胞解離)がみられ、診断上有用です。あわせて末梢神経伝導検査(伝導速度低下・伝導ブロック)や抗ガングリオシド抗体が用いられます。

  • 1:CTでは末梢神経の病変を描出できず、頭蓋内病変の除外に用いる程度で診断の助けにはならない。
  • 2:造影で馬尾神経根の増強がみられることもあるが、主な役割は脊髄疾患の除外で、診断の主軸ではない。
  • 3:細胞数が正常のまま蛋白が上昇する蛋白細胞解離が特徴で、診断に有用である。正しい。
  • 4:脳波は中枢神経の電気活動をみる検査であり、末梢神経の障害である本症の診断には用いない。
  • 5:血液培養は菌血症を調べる検査で、末梢神経の自己免疫性障害である本症の診断には役立たない。

午後 問91(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:筋萎縮性側索硬化症では下位運動ニューロンの脱落により脱神経と側芽再生が起こり、針筋電図で線維束攣縮電位や線維自発電位、高振幅・長持続の巨大電位がみられます。感覚神経は保たれ、神経筋接合部の異常所見も典型ではありません。

  • 1:遠位潜時延長は髄鞘障害を示す所見。本症は運動ニューロン・軸索の障害が主で、潜時や伝導速度はほぼ正常。
  • 2:本症では感覚系が保たれるため感覚神経伝導検査は正常。伝導ブロックは脱髄性ニューロパチーの所見である。
  • 3:下位運動ニューロン障害を反映して針筋電図で線維束攣縮電位が出現し、本症に特徴的な所見である。正しい。
  • 4:Waningは低頻度反復刺激で振幅が減衰する所見で、重症筋無力症など神経筋接合部の疾患でみられる。
  • 5:Waxingは高頻度刺激や運動後に振幅が増大する所見で、Lambert-Eaton筋無力症症候群でみられる。

第58回(2023年2月実施)

神経筋疾患として14問が出題されました(実地6問・一般/共通8問、推定配点26点)。全問の正答・解説は 第58回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問14午前実地CIDPの筋電図検査所見1
問15午前実地Parkinson病の歩行障害への対応5
問45午前専門一般Guillain-Barré症候群の治療3
問77午前共通末梢神経の脱髄をきたす疾患5
問91午前共通糖尿病性神経障害の特徴的所見4
問98午前共通欠神発作の特徴の正誤4
問6午後実地ビタミン欠乏による疾患の同定5
問10午後実地失調症に用いる運動療法の名称3
問14午後実地Parkinson病の重症度分類判定3
問17午後実地重症筋無力症の理学療法2
問34午後専門一般Duchenne型筋ジストロフィーの特徴5
問44午後専門一般四つ這いバランス練習の難易度4
問84午後共通痙縮を生じ得る神経疾患4
問91午後共通手根管症候群の典型的所見1

午前 問14(実地・正答 1) 問題を見る →

ポイント:慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチーは末梢神経の脱髄が主体で、神経伝導検査では伝導速度の低下、遠位潜時の延長、伝導ブロックがみられる。針筋電図では神経原性変化を示す。

  • 1:髄鞘の障害で跳躍伝導が妨げられ、運動・感覚神経の伝導速度が低下する。脱髄性ニューロパチーの中核所見である。
  • 2:近位部を含む脱髄によりF波は潜時延長や出現率低下、消失を示す。潜時が短縮することはない。
  • 3:低振幅・短持続の運動単位電位は筋原性変化を示す所見。本疾患では高振幅・長持続の神経原性変化がみられる。
  • 4:反復刺激でのwaningは重症筋無力症などシナプス後膜の障害でみられる所見で、脱髄性ニューロパチーの所見ではない。
  • 5:waxing(漸増反応)はLambert-Eaton筋無力症候群などシナプス前膜の障害でみられる所見である。

午前 問15(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:すくみ足や小刻み歩行には外的な手がかり(キュー)が有効で、メトロノームなど一定リズムの聴覚刺激は歩行リズムと歩幅を安定させる。逆に二重課題や狭い環境はすくみを増悪させる。

  • 1:狭い場所や方向転換はすくみ足を誘発しやすく、症状を悪化させるため対応として適切でない。
  • 2:継ぎ足歩行は支持基底面を狭め、姿勢反射障害のあるステージIIIの本例では転倒の危険が高い。
  • 3:長下肢装具は麻痺による支持性低下に用いる。筋力や関節可動域に問題のない本例には適応がない。
  • 4:会話をしながらだと症状が顕著になるとあるとおり、認知課題の追加は二重課題干渉により歩行を悪化させる。
  • 5:一定リズムの聴覚刺激は外的手がかりとして働き、小刻み歩行やすくみ足を軽減する。本例に適した対応である。

午前 問45(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:Guillain-Barré症候群の治療は免疫グロブリン大量静注療法または血漿交換が第一選択で、ステロイド単独は無効とされる。理学療法は進行期には過用性筋力低下を避けて良肢位保持と関節可動域維持を行い、呼吸管理下では胸郭可動性の維持が重要となる。

  • 1:ステロイドは単独では有効性が示されておらず第一選択ではない。免疫グロブリン大量静注療法や血漿交換が用いられる。
  • 2:進行期の筋力増強運動は過用性筋力低下を招く恐れがある。この時期は関節可動域練習や良肢位保持を優先する。
  • 3:人工呼吸管理下では胸郭可動性の低下や無気肺が生じやすく、早期からの胸郭ストレッチで拘束性換気障害を予防する。
  • 4:進行が停止しても回復初期は過用に注意し低負荷から始める。停止直後に漸増抵抗運動を開始するのは早すぎる。
  • 5:予後は比較的良好で多くは6か月〜1年で独歩可能となる。約半数が長下肢装具を要するという記述は当てはまらない。

午前 問77(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:Guillain-Barré症候群は先行感染後に自己免疫機序で末梢神経のミエリンが傷害される急性炎症性脱髄性多発根神経炎で、左右対称性の弛緩性麻痺と腱反射消失、神経伝導検査での伝導速度低下を示す。

  • 1:多発性硬化症は中枢神経(脳・脊髄・視神経)の脱髄疾患であり、末梢神経の脱髄は原則として生じない。
  • 2:de Quervain病は短母指伸筋腱と長母指外転筋腱の狭窄性腱鞘炎であり、神経の脱髄とは関係しない。
  • 3:進行性核上性麻痺はタウ蛋白が蓄積する神経変性疾患で、脱髄疾患ではない。垂直性眼球運動障害や易転倒性を示す。
  • 4:腰部脊柱管狭窄症は骨・靱帯性の狭窄による神経の機械的圧迫が本態で、脱髄性疾患には分類されないため誤り。
  • 5:Guillain-Barré症候群は末梢神経の髄鞘が自己免疫性に傷害される急性脱髄性疾患である。正しい。

午前 問91(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:糖尿病性神経障害は代謝障害と細小血管障害により長い神経線維から障害される長さ依存性の多発神経障害で、両側性・左右対称に足趾や足底のしびれ・感覚低下から始まり、下肢の靴下型感覚障害を呈する。

  • 1:高血糖の持続を背景に緩徐・慢性に進行するのが典型で、急激な発症は単神経障害など例外的な病型に限られる。
  • 2:自律神経過反射は第6胸髄より高位の脊髄損傷でみられる病態である。糖尿病では起立性低血圧や無自覚性低血糖など自律神経機能の低下が特徴。
  • 3:末梢神経障害のためアキレス腱反射は早期から低下・消失する。腱反射の亢進は中枢神経障害を示唆する所見である。
  • 4:下肢遠位から左右対称に始まる靴下型(さらに進むと手袋型を加える)感覚障害が典型的である。正答。
  • 5:筋力低下が生じる場合も遠位優位であり、近位筋優位の筋力低下は筋原性疾患などを疑わせる所見である。

午前 問98(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:欠神発作は小児期に好発する全般起始発作で、数秒〜十数秒の意識消失と動作停止が突然始まり突然終わる。過呼吸で誘発されやすく、脳波では3Hz棘徐波複合を認める。

  • 1:脳の異常な同期性放電によるてんかん発作であり、心因性非てんかん発作とは病態が異なる。
  • 2:小児欠神てんかんは4〜10歳頃に好発する。高齢での発症は一般的ではない。
  • 3:発作は数秒〜十数秒で終わり、直後から元の活動に戻れるのが特徴で、発作後のもうろう状態や入眠を伴わない。
  • 4:3分程度の過呼吸賦活で誘発されやすく、診断のための誘発法として用いられる。正答。
  • 5:短時間ぼんやりするだけで転倒もないため周囲に気付かれにくく、不注意や怠けと誤解されやすい。

午後 問6(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:血清ビタミンB12低下に加え、膝蓋腱反射亢進とBabinski反射陽性(側索障害)、アキレス腱反射低下と下肢遠位優位のしびれ(後索・末梢神経障害)が併存している。重心動揺検査は閉眼で動揺が増すRomberg陽性の所見を示すと考えられる。

  • 1:皮膚筋炎は近位筋優位の筋力低下とヘリオトロープ疹などの皮疹が主体で、腱反射亢進やBabinski反射陽性、深部感覚障害は説明できない。
  • 2:Shy-Drager症候群(多系統萎縮症)は起立性低血圧などの自律神経障害と小脳症状が中心で、後索・側索障害の所見とは結びつかない。
  • 3:筋萎縮性側索硬化症は上位・下位運動ニューロン徴候を示すが、感覚障害は原則としてきたさない。下肢遠位のしびれ感がある本例と合わない。
  • 4:ポストポリオ症候群はポリオ罹患の既往があり、下位運動ニューロン障害による筋力低下が緩徐に進む。腱反射亢進やBabinski反射陽性は生じない。
  • 5:ビタミンB12欠乏で脊髄の後索と側索が障害される疾患。腱反射亢進・Babinski反射陽性と遠位のしびれ・深部感覚障害の併存によく合致する。

午後 問10(実地・正答 3) 問題を見る →

ポイント:Frenkel体操は後索障害による感覚性運動失調に対し、視覚で代償しながら四肢を定められた目標位置へ動かす協調性訓練である。床に記した足形に目で確認しながら足を合わせる課題はこれに該当する。

  • 1:Böhler体操は腰背筋や殿筋の強化を目的とした古典的な腰痛体操であり、運動失調に対する協調性訓練ではない。
  • 2:Buerger-Allen体操は下肢の挙上と下垂を繰り返して側副血行の発達を促す運動で、閉塞性動脈疾患など末梢循環障害に用いる。
  • 3:視覚を手がかりに目標へ四肢を正確に動かす協調性訓練で、深部感覚障害による運動失調に用いる。設問の課題の内容と一致する。
  • 4:McKenzie体操は腰椎の伸展運動を中心とする腰痛体操で、症状の中央化を狙うもの。協調性の訓練を目的とはしていない。
  • 5:Williams体操は腹筋強化と腰椎屈曲を中心とする腰痛体操で、腰椎前弯の軽減を狙う。運動失調に対する訓練とは目的が異なる。

午後 問14(実地・正答 3) 問題を見る →

ポイント:Hoehn&Yahr分類はⅠが片側性、Ⅱが両側性で姿勢反射障害なし、Ⅲが姿勢反射障害はあるが日常生活は自立、Ⅳが高度障害を示すが起立・歩行は介助なしにどうにか可能、Ⅴが介助なしにはベッドまたは車椅子の生活である。本例は両側性でバランスを崩す一方、日常生活は自立している。

  • 1:ステージⅠは症状が身体の片側に限られる時期。本例は両手の安静時振戦と両側上下肢の筋強剛があり該当しない。
  • 2:ステージⅡは両側性の症状があるが姿勢反射障害がない時期。本例はバランスを崩して転びそうになる姿勢反射障害があり合わない。
  • 3:姿勢反射障害があるものの日常生活は自立している段階がステージⅢ。すくみ足と易転倒性があり生活は自立している本例に合致する。
  • 4:ステージⅣは高度障害を示すが起立・歩行は介助なしにどうにか可能で、日常生活に介助を要する時期。日常生活が自立している本例は当てはまらない。
  • 5:ステージⅤは介助なしでは車椅子または臥床の状態。自力で歩行し外出も可能な本例とは重症度が大きく異なる。

午後 問17(実地・正答 2) 問題を見る →

ポイント:重症筋無力症は神経筋接合部の伝達障害により易疲労性を示す疾患である。理学療法では過用(オーバーワーク)による筋力低下を避け、症状の日内変動や薬効時間をふまえて低負荷から漸増するのが原則となる。

  • 1:血清CK値は筋線維の破壊を反映する指標で多発筋炎などで用いる。本症では通常上昇せず、運動量調整の指標にはならない。
  • 2:易疲労性が本態であるため、過用性の筋力低下に注意しながら低負荷から漸増する。日内変動や薬効時間に合わせた実施が重要となる。
  • 3:本症は筋力低下が主体で筋緊張亢進はきたさない。ボツリヌス毒素は神経筋接合部の伝達を遮断するため、むしろ症状を悪化させうる。
  • 4:クリーゼでは呼吸筋の筋力低下により肺活量が低下する拘束性換気障害をきたす。閉塞性換気障害を念頭に置くのは適切でない。
  • 5:体温上昇で神経症状が増悪するUhthoff現象は多発性硬化症に特徴的な所見であり、本症の理学療法でまず留意すべき点ではない。

午後 問34(専門一般・正答 5) 問題を見る →

ポイント:Duchenne型筋ジストロフィーはジストロフィン欠損によるX連鎖潜性遺伝疾患で、体幹・下肢近位筋から筋力低下が進む。床から立ち上がる際に膝や大腿に手をついて体をよじ登るようにするGowers徴候(登攀性起立)がみられる。

  • 1:知的障害は約3分の1に合併するとされ、まれではない。平均IQも健常より低い傾向がある。
  • 2:筋萎縮は骨盤帯や大腿など近位筋から始まり、遠位筋の障害は経過が進んでから現れる。
  • 3:発症初期は拘縮が目立たず下腿三頭筋の仮性肥大が特徴で、拘縮は歩行不能となる前後から進行する。
  • 4:歩行不能となるのは10歳前後(おおむね8〜12歳)で、5歳ごろはまだ歩行可能なことが多い。
  • 5:近位筋の筋力低下により、床からの起立時に膝や大腿に手をつくGowers徴候が出現する。正しい。

午後 問44(専門一般・正答 4) 問題を見る →

ポイント:四つ這いは支持基底面が広いほど安定する。四点支持→一肢挙上(三点支持)→二肢挙上(二点支持)の順に難しくなり、二肢挙上でも対角の上下肢を挙げれば残る支持点が対角線上にあり比較的安定する。同側の上下肢を挙げると支持点が反対側の2点に偏り支持基底面が最も狭くなる。

  • 1:一側下肢のみの挙上は三点支持が保たれ、支持基底面は比較的広い。二肢挙上より難易度は低い。
  • 2:一側上肢のみの挙上も三点支持が保たれる。難易度は中等度で、二肢挙上ほどではない。
  • 3:二肢挙上だが残る支持点が対角線上にあるため支持基底面が対角に確保され、同側挙上より安定する。
  • 4:正しい。残る支持点が体幹の片側2点のみとなり支持基底面が最も狭く、失調のある患者では最も難易度が高い。
  • 5:四点支持で支持基底面が最大となる最も安定した肢位であり、難易度は最も低い。

午後 問84(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:痙縮は錐体路(上位運動ニューロン)障害で生じる速度依存性の筋緊張亢進であり、末梢神経や筋自体の疾患では生じない。多発性硬化症は中枢神経の脱髄疾患で錐体路が障害されるため、痙縮が出現し得る。

  • 1:筋強直性ジストロフィーは骨格筋自体の疾患で、みられるのは収縮後に弛緩しにくいミオトニアであり痙縮ではない。
  • 2:Guillain-Barré症候群は末梢神経の脱髄による下位運動ニューロン障害で、弛緩性麻痺と腱反射消失を呈する。
  • 3:多発性筋炎は筋の炎症性疾患で近位筋優位の筋力低下をきたすが、筋緊張が亢進することはない。
  • 4:○。多発性硬化症では中枢神経の脱髄で錐体路が障害され、痙縮・腱反射亢進・Babinski徴候がみられる。
  • 5:腕神経叢麻痺は末梢神経の損傷であり、支配領域に弛緩性麻痺と感覚障害を生じる。

午後 問91(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:手根管症候群は手関節部の手根管内で正中神経が絞扼される病態である。母指球筋(短母指外転筋など)が萎縮して母指の対立が困難となり手掌が平坦化する猿手を呈し、感覚障害は母指から環指橈側にみられる。

  • 1:○。母指球筋の萎縮と対立障害により手掌が平坦化する猿手は、正中神経麻痺の典型所見である。
  • 2:骨間筋は尺骨神経支配であり、その萎縮は肘部管症候群やGuyon管症候群など尺骨神経麻痺でみられる。
  • 3:前腕回内時の疼痛は円回内筋症候群など前腕近位部での正中神経絞扼を示唆し、手根管症候群の典型所見ではない。
  • 4:Froment徴候は尺骨神経支配の母指内転筋の麻痺を示す所見で、尺骨神経麻痺で陽性となる。
  • 5:環指尺側から小指の感覚障害は尺骨神経領域の症状。手根管症候群では母指から環指橈側が障害される。

この解説について

本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

出典:「第58回〜第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。


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出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

最終更新:2026-09-10

監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)

本コンテンツは、職員の受験支援用に作成し、実際に社内で使っている教材を公開しています。

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