発達・小児|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ

理学療法士国家試験の発達・小児分野を、複数年分まとめて対策できるページです。脳性麻痺とGMFCS、原始反射・姿勢反応、発達検査(遠城寺式・WeeFIM・GMFM)、発達理論、自閉スペクトラム症など、出題テーマが年度をまたいで重なるのが特徴。第61回は7問、第60回は9問が出題されました。

問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

収録状況

年度実施発達・小児 出題数収録
第61回2026年2月7問✅ 解説あり
第60回2025年2月9問✅ 解説あり
第59回2024年2月7問✅ 解説あり
第58回2023年2月6問✅ 解説あり
第57回2022年2月順次追加

頻出テーマ(複数年で繰り返し問われる論点)

  • 脳性麻痺とGMFCS:レベルⅠ〜Ⅴと歩行・座位・移動手段の対応(第60回・第61回で連続出題)
  • 原始反射・姿勢反応:ATNR(非対称性緊張性頸反射)、パラシュート反応、支持機構の残存と消失時期
  • 発達評価尺度:WeeFIM(小児版FIM)、GMFM(粗大運動能力尺度)、遠城寺式発達検査
  • 発達理論:Piagetの認知発達段階、Eriksonの心理・社会的発達論
  • 自閉スペクトラム症(ASD):表情変化の乏しさ、こだわり・変化への適応困難
  • 小児疾患の理学療法:Down症候群、二分脊椎、発育性股関節形成不全、低出生体重児のポジショニング

第61回(2026年2月実施)

発達・小児として7問が出題されました(実地3問・一般/共通4問、推定配点13点)。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問11午前実地低出生体重児のポジショニング3・5
問35午前専門一般Down症候群乳児への家族指導1
問85午前共通遠城寺式で最も早く獲得する項目4
問12午後実地四つ這い座位時期の姿勢反射3・4
問19午後実地二分脊椎L5で優先する筋力増強筋3
問91午後共通アテトーゼ型脳性麻痺の特徴5
問98午後共通ASDを示唆する患者の発言4

午前 問11(実地・正答 3・5) 問題を見る →

ポイント:低出生体重児のポジショニングは屈曲位・正中位指向が基本。肩甲帯前方突出位と股関節内外転中間位で、子宮内姿勢に近い安定した屈曲肢位を作る。

  • 1:頭部伸展位は反り返りを助長し不適。
  • 2:体幹伸展位は屈曲優位の発達を妨げる。
  • 3:肩甲帯前方突出位は上肢を体幹前方にまとめ、正中位指向を促す。
  • 4:肩関節外転位は肢を開き不安定にする。
  • 5:股関節内外転中間位は生理的な屈曲・中間位で安定する。

午前 問35(専門一般・正答 1) 問題を見る →

ポイント:Down症候群乳児は筋緊張低下が特徴で、関節拘縮は生じにくい。よって関節拘縮予防の優先度が最も低い。摂食・抱き方・コミュニケーション・家族支援が優先。

  • 1:Down症候群は低緊張が特徴で拘縮を生じにくく、拘縮予防の優先度は最も低い。
  • 2:哺乳・摂食の問題が多く、離乳食の摂食指導は重要。
  • 3:家族のストレス対処は育児支援として重要。
  • 4:低緊張のため姿勢の安定を促す抱き方の指導は重要。
  • 5:発達支援としてコミュニケーションの取り方指導は重要。

午前 問85(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:遠城寺式発達検査で最も早く獲得するのは人見知り(生後6-7か月頃)。走る(2歳)、2語文(2歳)、排尿予告(1歳半-2歳)、積み木2つ(1歳-1歳半)より早い。

  • 1:走るのは約2歳。
  • 2:2語言えるのは約1歳。
  • 3:排尿予告は約1歳半〜2歳。
  • 4:人見知りは生後6-7か月頃で最も早く獲得する。
  • 5:積み木を2つ重ねるのは約1歳〜1歳半。

午後 問12(実地・正答 3・4) 問題を見る →

ポイント:四つ這いから座位へ安全に戻る動作には、姿勢を保つ立ち直り反応系(背屈反応)と、バランスを崩した際に手を突いて身体を守る側方パラシュート反応(保護伸展反応)が必要である。

  • 1:自動歩行は新生児期の原始反射で、生後2か月頃までに消失する。
  • 2:背屈反応は立ち直り反応の一つだが、この動作の正答組合せには含まれない。
  • 3:足底の支持反応(立ち直り・支持機構)がこの姿勢変換で観察される。
  • 4:側方パラシュート反応(保護伸展反応)は座位バランスの保持に必要で観察される。
  • 5:非対称性緊張性頸反射(ATNR)は原始反射で生後4〜6か月に消失する。

午後 問19(実地・正答 3) 問題を見る →

ポイント:二分脊椎L5レベルでは中殿筋(股外転・骨盤安定:L4-S1)の機能が不十分でTrendelenburg歩行を呈しやすい。歩行安定には中殿筋の強化が最優先。

  • 1:腸腰筋(L1-3)はL5レベルでは保たれている。
  • 2:大殿筋(L5-S2)も重要だが、立脚期の骨盤水平保持には中殿筋が最優先。
  • 3:中殿筋強化で立脚期の骨盤傾斜(Trendelenburg)を防ぎ、歩行を安定させる。
  • 4:大腿四頭筋(L2-4)はL5レベルで保たれている。
  • 5:前脛骨筋(L4-5)も関与するが、歩行の左右不安定の主因は中殿筋不全。

午後 問91(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:アテトーゼ型脳性麻痺は錐体外路(大脳基底核)障害で、不随意運動(アテトーゼ)が特徴的。痙直型は錐体路障害で痙縮が主。

  • 1:視覚障害は両型でみられ、アテトーゼ型に特異的ではない。
  • 2:知的障害はむしろ痙直型で合併しやすい。
  • 3:てんかんは痙直型で合併が多い。
  • 4:歩行障害は両型でみられる。
  • 5:不随意運動(アテトーゼ)はアテトーゼ型に特徴的。

午後 問98(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:自閉スペクトラム症は、予定変更など環境の変化への適応困難(こだわり・柔軟性の欠如)が特徴。突然の予定変更で感情が乱れる発言がこれを強く示唆。

  • 1:発作が心配で移動できないのはパニック症・広場恐怖。
  • 2:何度も確認するのは強迫症。
  • 3:現実感がないのは離人・現実感消失症。
  • 4:予定変更に対応できず感情が乱れるのはASDの柔軟性欠如・こだわりを示唆。
  • 5:人前で緊張して話せないのは社交不安症。

第60回(2025年2月実施)

発達・小児として9問が出題されました(実地1問・一般/共通8問、推定配点11点)。全問の正答・解説は 第60回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問80午前共通Piagetの0〜2歳の発達段階1
問99午前共通自閉スペクトラム症児の特徴1
問100午前共通ADHDの心理社会的治療の可否3
問6午後実地脳性麻痺児の姿勢に影響する反射5
問25午後専門一般二分脊椎の歩行と機能残存レベル3
問31午後専門一般Down症候群の二次障害1/2/4(複数正答)
問81午後共通Eriksonの高齢期の発達課題1
問85午後共通消失が最も遅い原始反射4
問97午後共通常染色体トリソミーの疾患1

午前 問80(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:Piagetの認知発達段階は、感覚運動期(0〜2歳ころ)、前操作期(2〜7歳ころ)、具体的操作期(7〜11歳ころ)、形式的操作期(11歳ころ以降)の4段階からなる。潜在期はFreudの心理性的発達段階の用語である。

  • 1:正しい。感覚運動期は0〜2歳ころで、感覚と運動を通して外界を認識し対象の永続性を獲得する。
  • 2:具体的操作期は7〜11歳ころで、具体物についての保存概念や論理的操作が可能になる段階。
  • 3:形式的操作期は11歳ころ以降で、抽象的・仮説演繹的な思考ができるようになる段階。
  • 4:潜在(潜伏)期はFreudの心理性的発達段階の用語で、Piagetの発達論の段階ではない。
  • 5:前操作期は2〜7歳ころで、象徴機能が発達する一方、自己中心性が残る段階である。

午前 問99(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:自閉スペクトラム症は社会的コミュニケーションと対人相互反応の持続的な障害、および限定された興味と反復的な行動を特徴とする。表情や視線など非言語的情報のやりとりが乏しく、暗黙のルールの理解や想像力を要する遊びを苦手とする。

  • 1:非言語的コミュニケーションの障害として、表情の乏しさや視線が合いにくいことがみられる。
  • 2:他者の気持ちを推し量ることが苦手であり、共感性が豊かであるとはいえない。
  • 3:事実や規則性のある情報への興味が強い傾向があり、物語より図鑑などを好むことが多い。
  • 4:ごっこ遊びなど想像力を要する遊びは苦手で、同じ手順を繰り返す遊びを好みやすい。
  • 5:場の空気や暗黙のルールの理解が困難で、明示的な説明を必要とすることが多い。

午前 問100(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:注意欠如多動症では、刺激を減らした環境調整、短く具体的で視覚的な指示、望ましい行動への即時の称賛(正の強化)が心理社会的治療の基本である。注意をそらす関わりは課題の遂行を妨げるため適切でない。

  • 1:一度に複数の指示は処理しきれないため、1つずつ短く伝えるのは適切な対応である。
  • 2:絵カードや手順表など視覚的な手がかりの提示は理解と定着を助け、適切である。
  • 3:雑談は注意をそらす余分な刺激となり課題遂行を妨げる。刺激を減らす原則に反し適切でない。
  • 4:すべてを叱責せず軽微な行動は流すことで自己評価の低下を防げるため、適切である。
  • 5:望ましい行動の直後にほめる即時の正の強化は、行動療法の基本であり適切である。

午後 問6(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:公式正答と選択肢の内容から、図は頭部を一方に回旋し、顔面側の上下肢が伸展、後頭側が屈曲する非対称な姿勢と考えられる。これは非対称性緊張性頸反射の残存によるものである。

  • 1:Moro反射は頭部を急に後方へ落下させたときに上肢が外転・伸展し、次いで抱え込む反応で、持続する姿勢は説明できない。
  • 2:陽性支持反射は足底への荷重刺激で下肢が伸展し支持する反応である。背臥位では足底刺激がなく誘発されない。
  • 3:緊張性迷路反射は頭部の空間位により全身が背臥位で伸展、腹臥位で屈曲する反応で、左右非対称にはならない。
  • 4:対称性緊張性頸反射は頸部の屈曲・伸展により上下肢が左右対称に変化する反応で、頭部回旋による非対称は説明できない。
  • 5:頭部を回旋すると顔面側の上下肢が伸展し後頭側が屈曲する。痙直型脳性麻痺では残存し、背臥位で非対称姿勢をつくる。

午後 問25(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:二分脊椎の移動能力はSharrardらの機能残存レベル分類で整理される。L4レベルでは大腿四頭筋が働き膝伸展位を保てるため、短下肢装具(AFO)で自立歩行が可能となる。よって該当する上限レベルはL4である。

  • 1:L2レベルは股関節屈曲・内転がわずかに残る程度で膝伸展ができず、骨盤帯付き長下肢装具などを要する。
  • 2:L3レベルは大腿四頭筋の働きが不十分で膝折れを生じやすく、原則として長下肢装具(KAFO)が必要となる。
  • 3:L4レベルは大腿四頭筋が機能して膝伸展位を保てるため、短下肢装具で自立歩行が可能となる上限レベル。
  • 4:L5レベルは前脛骨筋なども働き歩行能力はさらに良好。短下肢装具で歩行可能だが上限レベルではない。
  • 5:S1レベルは下腿三頭筋が一部機能し、装具なしないし軽度の装具で歩行できることが多く上限ではない。

午後 問31(専門一般・正答 1/2/4(複数正答)) 問題を見る →

ポイント:本問は、厚生労働省の正答値表で選択肢1・2・4のいずれもが正答として認められた問題(複数正答)です。採点除外(その問題が採点対象から外れ、満点が減る扱い)ではありません。選択肢1・2・4のいずれかを選んだ場合が正解、それ以外を選んだ場合は不正解として採点されます。Down症候群では全身の靱帯弛緩と筋緊張低下を背景に、環軸関節亜脱臼・股関節脱臼・側弯といった二次障害が生じる。

  • 1:靱帯弛緩と低緊張により脊柱の支持性が低下し、体幹の側弯を生じやすい二次障害である。
  • 2:関節弛緩性のため股関節の支持性が乏しく、亜脱臼・脱臼を生じることがある。
  • 3:足部は内反変形ではなく、扁平足や外反扁平足を呈することが多い。内反変形は特徴的でない。
  • 4:環軸関節亜脱臼は代表的な二次障害。横靱帯の弛緩や歯突起低形成により頸髄症のリスクとなる。
  • 5:膝は関節弛緩により反張膝や膝蓋骨脱臼を生じやすく、屈曲拘縮は特徴的な二次障害ではない。

午後 問81(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:Eriksonの心理・社会的発達論は生涯を8段階に分け、各段階に固有の心理社会的危機を置く。高齢期(老年期)の課題は「統合(自我統合)対 絶望」であり、自らの人生を意味あるものとして受け入れられるかが問われる。

  • 1:老年期の課題である自我統合にあたる。人生を振り返り受容できれば統合が得られ、失敗すると絶望に陥る。
  • 2:自発性(積極性)対 罪悪感は幼児後期(およそ3〜6歳)の課題であり、高齢期の課題ではない。
  • 3:自律性対 恥・疑惑は幼児期前期(およそ1〜3歳)の課題で、排泄など自己コントロールの獲得が中心となる。
  • 4:同一性(アイデンティティ)対 役割拡散は青年期の課題で、自分は何者かという自己定義の確立が問われる。
  • 5:基本的信頼対 不信は乳児期の課題で、養育者との安定した関係を通じて世界への信頼を築く段階である。

午後 問85(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:原始反射の消失時期は、交叉性伸展反射が生後1〜2か月、Galant反射が2〜3か月、吸啜反射と手掌把握反射が4〜6か月頃であるのに対し、足底把握反射は9〜12か月頃と最も遅く、起立・歩行の獲得に伴って消失する。

  • 1:吸啜反射は口唇への刺激で吸う運動が生じる反射で、生後4〜6か月頃に随意的な吸啜へ移行して消失する。
  • 2:Galant反射は脊柱の側方を刺激すると体幹が同側へ側屈する反射で、生後2〜3か月頃に消失する。
  • 3:手掌把握反射は手掌の圧刺激で手指が屈曲する反射で、生後4〜6か月頃に消失し随意的な把握へ移行する。
  • 4:足底把握反射は足底の刺激で足趾が屈曲する反射で、生後9〜12か月頃、起立・歩行の開始に伴い消失し、選択肢中で最も遅い。
  • 5:交叉性伸展反射は一側下肢への刺激で対側下肢が伸展する反射で、生後1〜2か月頃に消失する。

午後 問97(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:トリソミーは特定の染色体が3本になる状態をいう。Down症候群は21番染色体が3本となる21トリソミーが原因で、常染色体トリソミーの代表的疾患である。

  • 1:21番染色体が3本となる21トリソミーによる。特徴的顔貌、筋緊張低下、知的障害、心奇形などを伴う。
  • 2:Klinefelter症候群は性染色体が47,XXYなどとなる疾患で、常染色体のトリソミーではない。
  • 3:Turner症候群は女性のX染色体が1本(45,X)となる性染色体のモノソミーで、トリソミーではない。
  • 4:von Recklinghausen病(神経線維腫症1型)は常染色体顕性(優性)遺伝の単一遺伝子疾患で、染色体数の異常ではない。
  • 5:フェニルケトン尿症は酵素欠損による常染色体潜性(劣性)遺伝の代謝疾患で、染色体数の異常ではない。

第59回(2024年2月実施)

発達・小児として7問が出題されました(実地2問・一般/共通5問、推定配点11点)。全問の正答・解説は 第59回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問14午前実地二分脊椎のSharrard分類上限2
問83午前共通JDDST-Rのつまみ動作通過月齢4
問85午前共通出生時に出現していない原始反射5
問15午後実地痙直型両麻痺児への動作指導5
問37午後専門一般痙直型脳性麻痺児の陽性徴候3
問46午後専門一般NICU低緊張児の理学療法の優先度1
問99午後共通自閉症児のクレーン現象4

午前 問14(実地・正答 2) 問題を見る →

ポイント:Sharrardの分類は二分脊椎の残存機能を6群に分ける。Ⅱ群はL1〜2レベルで腸腰筋などにより股関節屈曲は可能だが大腿四頭筋が働かず膝伸展ができない。公式正答から、図は骨盤帯付き長下肢装具と杖を用いた歩行と考えられる。

  • 1:Ⅰ群はTh12以上の胸髄レベルで下肢に随意運動がまったくない。装具と杖を用いても実用的な歩行の獲得は困難である。
  • 2:Ⅱ群はL1〜2が残存し腸腰筋・縫工筋・長内転筋が働く。膝伸展ができず、長下肢装具に骨盤帯を加えた杖歩行となる。
  • 3:Ⅲ群はL3〜4が残存し大腿四頭筋が働くため膝伸展は可能だが、足関節周囲筋の麻痺は残り、長下肢装具と杖による歩行が標準である。
  • 4:Ⅳ群はL5が残存し中殿筋や前脛骨筋が働いて足関節背屈が可能で、短下肢装具で比較的良好な歩行を得られる。
  • 5:Ⅴ群はS1〜2が残存し下腿三頭筋・大殿筋が働く。踵離地が可能で、装具をほとんど要さない歩行となる。

午前 問83(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:JDDST-Rの微細運動-適応領域では、9〜10か月頃に母指を使ってつかむ動作が出始め、母指と示指によるつまみ動作の通過率75%が含まれるのは12〜13か月の時期である。

  • 1:3〜4か月はガラガラを握る、引っ張ると抵抗するなどの時期で、指先でのつまみ動作はまだみられない。
  • 2:6〜7か月は熊手形(手全体)でつかむ、積み木を2個持つ時期で、指先でのつまみは未獲得である。
  • 3:9〜10か月は母指を使ってつかむ動作が出始める時期で、母指と示指のつまみの75%通過には至らない。
  • 4:正しい。母指と示指によるつまみ動作の通過率75%は、この12〜13か月の時期に含まれる。
  • 5:15〜16か月ではつまみ動作はすでに獲得済みで、積み木2個の塔を作る動作が75%通過となる時期である。

午前 問85(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:対称性緊張性頸反射〈STNR〉は出生時にはみられず、生後4〜6か月頃に出現して8〜12か月頃に統合される。他の4つは出生時から認められる原始反射・病的反射である。

  • 1:Moro反射は出生時からみられ、生後4〜6か月頃に消失する。
  • 2:Galant反射(背反射)は出生時から認められ、生後2か月頃までに減弱していく。
  • 3:Babinski反射は新生児期から陽性で、錐体路の成熟(髄鞘化)に伴い1〜2歳頃に陰性化する。
  • 4:緊張性迷路反射〈TLR〉は出生時からみられ、生後4か月頃に消失する。
  • 5:出現していない。STNRは生後4〜6か月頃に出現する反射で、出生時には認められない。

午後 問15(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:監視下でPCW歩行が可能な痙直型両麻痺児では、股関節伸展位での骨盤・体幹の支持性と抗重力的な姿勢制御を高める課題が有用である。膝立ち位でのキャッチボールは屈曲優位の姿勢を抑えつつ、上肢運動を伴うバランス課題となる。

  • 1:割座(W座り)は股関節の内旋・内転を強め、股関節脱臼や変形を招きやすいため勧められない。
  • 2:屋内移動は車椅子でPCWを要する段階であり、補助具なしの歩行は現時点では困難で転倒の危険が高い。
  • 3:立位保持装置での立位はPCW歩行が可能な本児には課題として易しく、機能向上につながりにくい。
  • 4:バニーホッピングは両下肢を同時に屈曲する対称的な異常パターンを強め、交互性の運動発達を妨げる。
  • 5:正しい。膝立ち位での投球は股関節伸展位でのバランスと体幹・骨盤の制御を促し、歩行能力の向上に結びつく。

午後 問37(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:上位運動ニューロン障害の陽性徴候は、痙縮・深部反射亢進・クローヌス・病的共同運動など本来みられない現象が過剰に出現するものをいう。一方、陰性徴候は筋力低下や巧緻性低下のような機能の欠落である。

  • 1:運動麻痺は随意運動を遂行する能力が失われる機能の欠落であり、陰性徴候に分類される。
  • 2:感覚障害は感覚入力の低下・欠落であり陰性徴候である。なお痙直型脳性麻痺の主徴でもない。
  • 3:正しい。分離運動ができず定型的なパターンで筋活動が出現する病的共同運動は、過剰に現れる陽性徴候である。
  • 4:筋力低下は発揮できる張力が低下する機能の欠落であり、代表的な陰性徴候である。
  • 5:巧緻運動障害は選択的な運動制御能力の低下であり、陰性徴候に分類される。

午後 問46(専門一般・正答 1) 問題を見る →

ポイント:NICU入室中の低緊張児は呼吸・循環が不安定なため、呼吸理学療法とポジショニングによる姿勢保持・変形予防、および保護者への育児支援が中心となる。装具療法は抗重力位での支持性や変形が課題となる発達段階以降の対応であり、この時期は優先順位が低い。

  • 1:装具の適応は座位・立位など抗重力活動や変形が問題となる時期以降であり、NICU期に優先されるものではない。
  • 2:全身状態に応じた抱っこや感覚運動経験の提供は、発達を促すうえでこの時期から重要である。
  • 3:低緊張児は換気量が少なく排痰も不十分で無気肺・肺炎を起こしやすいため、呼吸理学療法の優先度は高い。
  • 4:ポジショニングは呼吸・循環の安定、姿勢の非対称や関節変形の予防に直結し、優先度が高い。
  • 5:抱き方・授乳姿勢などの育児指導と保護者の心理的支援は、退院後の生活を見据えて早期から必要である。

午後 問99(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:他者の手を道具のように用いて目的の物を取らせる行動をクレーン現象といいます。指さしや視線による要求伝達、共同注意の乏しさを反映し、自閉スペクトラム症の幼児期にみられる特徴的な行動です。

  • 1:常同運動は手をひらひらさせる、体を揺らすなど目的のない反復運動で、要求を伝える行動ではない。
  • 2:運動チックは突発的で不随意な素早い運動であり、意図的に他者の手を用いる行動ではない。
  • 3:オウム返し(反響言語)は相手の言葉をそのまま繰り返す言語面の特徴で、手をとる行動ではない。
  • 4:他者の手をクレーンのように使って目的の物へ持っていく行動がクレーン現象である。正しい。
  • 5:タイムスリップ現象は過去の記憶が突然鮮明に想起され、今起きたことのように反応する現象である。

第58回(2023年2月実施)

発達・小児として6問が出題されました(実地2問・一般/共通4問、推定配点10点)。全問の正答・解説は 第58回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問4午前実地低出生体重児のポジショニング3・5
問86午前共通原始反射と誘発される運動3/4(複数正答)
問4午後実地Down症候群の特徴的姿勢2
問81午後共通Erikson成人前期の発達課題3
問86午後共通遠城寺式検査の12か月の指標3・5
問97午後共通精神遅滞を伴う疾患の鑑別4

午前 問4(実地・正答 3・5) 問題を見る →

ポイント:在胎30週の早期産児は子宮内の屈曲・正中位を保てず、伸展・外転位に崩れやすい。ポジショニングでは屈曲位と正中指向を促し、四肢を体幹に近づけて包み込む。公式正答から、図は伸展・外転優位の姿勢と考えられる。

  • 1:頭部は軽度屈曲・正中位に保つ。伸展位は気道の確保を妨げ、伸展パターンや姿勢の非対称を助長する。
  • 2:丸みのある屈曲位を促すのが原則で、体幹伸展位は反り返りを強めるため適切な肢位ではない。
  • 3:肩甲帯を前方突出させると上肢が正中に近づき、手を口や体幹へ運ぶ動きを引き出せるため適切である。
  • 4:肩関節外転位は上肢を体幹から遠ざけ正中指向を妨げる。内転・前方位に保つほうが望ましい。
  • 5:股関節を過度な外転(蛙肢位)にせず内外転中間位に保つことで、外転・外旋位の固定や変形を防げる。

午前 問86(共通・正答 3/4(複数正答)) 問題を見る →

ポイント:本問は、厚生労働省の正答値表で選択肢3・4のいずれもが正答として認められた問題(複数正答)です。採点除外(その問題が採点対象から外れ、満点が減る扱い)ではありません。選択肢3・4のいずれかを選んだ場合が正解、それ以外を選んだ場合は不正解として採点されます。交差性伸展反射と非対称性緊張性頸反射の記述がいずれも妥当と判断されたためと考えられます。

  • 1:探索反射(ルーティング反射)は口周囲への触刺激で刺激側に顔を向け口を開く反射で、頸部の側屈が誘発される反射ではない。
  • 2:Galant反射は脊柱の側方の皮膚を擦ると刺激側へ体幹が側屈(凹側となる)する反射で、体幹の回旋ではない。
  • 3:一側下肢への侵害刺激により、反対側の下肢が屈曲した後に伸展・内転する。刺激反対側下肢の伸展という記述は正しい。
  • 4:非対称性緊張性頸反射では頸部を回旋させた顔面側の上下肢が伸展し、後頭側の上下肢が屈曲する。記述は正しい。
  • 5:対称性緊張性頸反射では、頸部伸展で上肢が伸展し下肢は屈曲する。上肢屈曲・下肢伸展は頸部屈曲時の反応で、記述は逆である。

午後 問4(実地・正答 2) 問題を見る →

ポイント:選択肢は別冊の図版のため、公式PDFをご参照ください。Down症候群は全身の筋緊張低下と関節弛緩性が特徴で、乳幼児期には背臥位で股関節が屈曲・外転・外旋し膝も屈曲した蛙状肢位、腹臥位では四肢が広く開いた姿勢をとりやすい。図はこうした低緊張を反映した姿勢を示すと考えられる。

  • 選択肢が図版のため、全問ページと公式PDFでご確認ください。

午後 問81(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:Eriksonの心理社会的発達理論では、各段階に達成すべき課題と対になる危機が置かれる。成人前期(初期成人期)の課題は「親密性」で、危機は孤立。特定の他者と深く安定した関係を築けるかが問われる時期である。

  • 1:勤勉性は学童期(およそ6〜12歳)の課題で、危機は劣等感。成人前期の課題ではない。
  • 2:自律性は幼児期前期(およそ1〜3歳)の課題で、危機は恥・疑惑。排泄など自己コントロールの獲得が中心。
  • 3:○。親密性は成人前期の課題であり、自己を賭けて他者と融合できる能力を指す。危機は孤立。
  • 4:生殖性(世代性)は壮年期の課題で、次世代を生み育て導くこと。危機は停滞である。
  • 5:統合性は老年期の課題で、自らの人生を受け入れ意味づける段階。危機は絶望である。

午後 問86(共通・正答 3・5) 問題を見る →

ポイント:遠城寺式乳幼児分析的発達検査では、人見知りは対人関係の領域で生後10〜11か月頃、コップを自分で持って飲むは基本的習慣の領域で生後10〜11か月頃に通過し、いずれも生後12か月以前に観察される。残る3項目はいずれも1歳を過ぎてからの課題である。

  • 1:「走る」は移動運動の項目で1歳6か月前後に可能となるため、生後12か月以前には観察されない。
  • 2:「3語言える」は発語の項目で1歳2〜4か月頃であり、生後12か月以前には通常みられない。
  • 3:人見知りは対人関係の項目で生後10〜11か月頃に通過し、生後12か月以前に観察される。
  • 4:「積み木を二つ重ねる」は手の運動の項目で1歳前後から1歳2か月頃であり、12か月以前には難しい。
  • 5:コップを自分で持って飲むのは基本的習慣の項目で生後10〜11か月頃に通過し、生後12か月以前に観察される。

午後 問97(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:Wallenberg症候群は延髄外側の梗塞による脳幹症候群で、めまい・嚥下障害・小脳失調・顔面と体幹の解離性温痛覚障害を呈するが、成人の脳血管障害であり知的障害(精神遅滞)の原因とはならない。

  • 1:Klinefelter症候群は47,XXYなどの性染色体異常で、軽度の知的障害や学習障害を伴うことがある。
  • 2:Prader-Willi症候群は15番染色体長腕の異常で、筋緊張低下・過食・肥満とともに知的障害を伴う。
  • 3:Turner症候群(45,X)は知能が正常なことも多いが、空間認知の障害や学習障害を伴うことがある。
  • 4:○(関連がない)。Wallenberg症候群は延髄外側梗塞による症候群で、精神遅滞の原因とはならない。
  • 5:West症候群は乳児期のてんかん性脳症でシリーズ形成性のスパズムとヒプスアリスミアを示し、多くで知的障害を残す。

この解説について

本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

出典:「第58回〜第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。


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出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

最終更新:2026-09-10

監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)

本コンテンツは、職員の受験支援用に作成し、実際に社内で使っている教材を公開しています。

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