精神医学|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ

理学療法士国家試験の精神医学分野を、複数年分まとめて対策できるページです。統合失調症・気分障害・認知症・依存症・発達障害など、精神医学は疾患の特徴と対応が問われる分野です。作業療法との連携も頻出です。

問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

収録状況

年度実施精神医学 出題数収録
第61回2026年2月10問✅ 解説あり
第60回2025年2月10問✅ 解説あり
第59回2024年2月15問✅ 解説あり
第58回2023年2月10問✅ 解説あり
第57回2022年2月順次追加

頻出テーマ(複数年で押さえたい論点)

  • 統合失調症:陽性・陰性症状、経過、リハビリ
  • 気分障害:うつ病・双極性障害の特徴と対応
  • 認知症:中核症状・BPSD、種類の鑑別
  • 依存症・嗜癖:治療の原則
  • 神経発達症:ASD・ADHDの特徴

第61回(2026年2月実施)

精神医学として10問が出題されました(実地0問・一般/共通10問、推定配点10点)。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問78午前共通精神療法における転移の理解3
問81午前共通絶対臥褥を用いる精神療法5
問95午前共通頻度が最も高い認知症の型1
問96午前共通変換症の経過と予後の特徴4
問100午前共通睡眠薬中止希望への対応2・5
問79午後共通昇華を示す防衛機制の判別3
問80午後共通うつ病でみられる妄想の種類3
問96午後共通アルコール依存症の臨床像1
問99午後共通ACTの支援内容の特徴3・4
問100午後共通不安階層表を用いる治療法2

午前 問78(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:心理治療の目的は陽性転移の出現そのものではない。転移は治療の中で生じる現象を分析・解釈する対象であり、陽性転移の出現を目的とするのは誤り。

  • 1:(正しい):転移は治療者側の逆転移を誘発しうる。
  • 2:(正しい):転移は行動化(acting out)の原因となりうる。
  • 3:(誤り):心理治療の目的は陽性転移を出現させることではない。転移は分析・解釈の対象。
  • 4:(正しい):転移の解釈は患者の無意識的葛藤の解消手段となる。
  • 5:(正しい):患者が好意を治療者に向けるのは陽性転移。

午前 問81(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:絶対臥褥(第1期に個室で終日臥床)を用いるのは森田療法。神経症治療で「あるがまま」を体得させる。

  • 1:系統的脱感作法は不安階層に沿った暴露法。
  • 2:支持的精神療法は傾聴・共感が主。
  • 3:精神分析療法は自由連想・解釈が主。
  • 4:認知行動療法は認知の歪みの修正。
  • 5:森田療法は第1期に絶対臥褥を用いる。

午前 問95(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:認知症で最も頻度が高いのはAlzheimer型認知症(全体の約6-7割)。

  • 1:Alzheimer型認知症が最も頻度が高い。
  • 2:Lewy小体型は3番目程度。
  • 3:血管性認知症は2番目に多い。
  • 4:正常圧水頭症は治療可能な認知症だが頻度は低い。
  • 5:前頭側頭型認知症は比較的まれ。

午前 問96(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:機能性神経学的症状症(変換症/転換性障害)では、患者が診断を受け入れると予後が良好とされる。

  • 1:精神療法(認知行動療法等)は有効。
  • 2:20歳以降でも発症する(稀ではない)。
  • 3:経過が短い(急性発症)ほど予後は良好(長期化で予後不良)。
  • 4:患者が診断を受け入れていると予後が良い。
  • 5:パーソナリティ症の合併は予後不良因子(良好ではない)。

午前 問100(共通・正答 2・5) 問題を見る →

ポイント:ベンゾジアゼピン中止希望には、まず心配な副作用を傾聴し(2)、主治医への相談を橋渡しする(5)。自己判断の中止・減量は離脱症状のリスクがあり不適。

  • 1:頓用への変更を独断で勧めるのは不適(主治医の判断が必要)。
  • 2:どのような副作用が心配か傾聴し、不安を把握する。
  • 3:「我慢してください」は患者の訴えを否定し不適。
  • 4:ベンゾジアゼピンの急な中止は離脱症状(不安・けいれん等)を招き危険。
  • 5:主治医への相談を橋渡しする支援は適切。

午後 問79(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:社会的に受け入れられない欲求(性欲)を、価値ある活動(スポーツ)に振り向けるのは昇華(sublimation)。

  • 1:置き換えは対象を別のものに向け替える(八つ当たり等)。
  • 2:合理化はもっともらしい理由づけで正当化する。
  • 3:昇華は社会的に許容される形に欲求を振り向ける成熟した防衛機制。
  • 4:退行は未熟な発達段階に戻る。
  • 5:反動形成は本心と逆の態度をとる。

午後 問80(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:「不治の病で助からない」と身体的健康を過度に悲観する妄想は心気妄想。うつ病の微小妄想(心気・貧困・罪業)の一つ。

  • 1:血統妄想は高貴な家系の出という誇大妄想。
  • 2:誇大妄想は自己を過大評価する妄想。
  • 3:心気妄想は重病・不治の病にかかっているという妄想。うつ病に多い。
  • 4:迫害妄想は他者から害を加えられるという妄想。
  • 5:被毒妄想は毒を盛られるという妄想。

午後 問96(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:アルコール依存症では抑うつ(うつ病)が高頻度に併存する(自己治療的飲酒や神経毒性による)。

  • 1:抑うつの併存が多い。
  • 2:依存が進むと飲酒行動は画一化・単調化する(多様性は失われる)。
  • 3:振戦せん妄では見当識障害・意識障害を伴う(保たれない)。
  • 4:進行すると耐性が生じ、以前より多い量が必要になる(少ない量ではない)。
  • 5:離脱の早期症候群は飲酒中止後6-24時間程度でみられる(72時間は振戦せん妄の時期)。

午後 問99(共通・正答 3・4) 問題を見る →

ポイント:ACT(包括型地域生活支援)はチームによるケアマネジメントを行い、必要に応じ短時間でも頻回に訪問する。重度精神障害者が対象。

  • 1:ACTは24時間365日対応で日中限定ではない。
  • 2:ACTは重度・慢性の精神障害者が対象(軽度ではない)。
  • 3:多職種チームによるケアマネジメントを行う。
  • 4:短時間でも頻回に訪問する(アウトリーチ)。
  • 5:スタッフ1人当たりの受持は10人程度に抑える(25人は多すぎる、低スタッフ比が特徴)。

午後 問100(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:系統的脱感作法では、不安階層表(不安の強さを段階的に並べたリスト)を作成し、弱い不安から順に拮抗条件づけ(リラクゼーション)を行う。

  • 1:家族療法は家族システムへの介入で不安階層表は用いない。
  • 2:系統的脱感作法は不安階層表を作成する。
  • 3:行動活性化技法はうつ病への活動賦活で不安階層表は用いない。
  • 4:内観療法は自己洞察を深める技法。
  • 5:森田療法は絶対臥褥・あるがままを用い不安階層表は使わない。

第60回(2025年2月実施)

精神医学として10問が出題されました(実地0問・一般/共通10問、推定配点10点)。全問の正答・解説は 第60回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問32午前専門一般認知症の中核症状の判別1・5
問78午前共通心理療法と提唱者の組合せ3
問96午前共通アルコール離脱後の後遺症2
問97午前共通統合失調症の前駆期症状1
問32午後専門一般アミロイド沈着する疾患1
問79午後共通無意識の葛藤を扱う精神療法2
問96午後共通うつ病の自殺危険因子1
問98午後共通統合失調症の陽性症状採点除外
問99午後共通うつ病でみられる症状5
問100午後共通強迫症〈強迫性障害〉の症状5

午前 問32(専門一般・正答 1・5) 問題を見る →

ポイント:中核症状は脳の器質的障害から直接生じる症状で、記憶障害、見当識障害、失語・失行・失認、実行機能障害などが含まれる。一方、行動・心理症状〈BPSD〉は本人の性格や環境、心理状態が関与して二次的に現れる症状である。

  • 1:失認は感覚が保たれているのに対象を認識できない高次脳機能障害で、中核症状です。
  • 2:徘徊は行動症状としてBPSDに分類され、環境調整などで軽減しうる二次的症状です。
  • 3:物盗られ妄想などの妄想は心理症状にあたり、BPSDに分類されます。
  • 4:抑うつも心理症状でBPSDに含まれ、全例に必ず出現するものではありません。
  • 5:時間・場所・人がわからなくなる見当識障害は代表的な中核症状です。

午前 問78(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:正しい組合せは社会生活技能訓練(SST)とR. Liberman。オペラント条件づけはB. F. Skinner、自動思考はA. Beck、動機づけ面接はW. Miller、マインドフルネスストレス低減法はJ. Kabat-Zinnが提唱した。

  • 1:オペラント条件づけはB. F. Skinnerが提唱。A. Beckは認知療法と自動思考の提唱者である。
  • 2:自動思考はA. Beckの概念。J. Kabat-Zinnはマインドフルネスストレス低減法の創始者。
  • 3:正しい。SST(社会生活技能訓練)はR. Libermanが体系化した技法である。
  • 4:I. Pavlovは古典的(レスポンデント)条件づけの研究者。動機づけ面接はW. Millerによる。
  • 5:マインドフルネスを医療に応用したのはJ. Kabat-Zinn。W. Millerは動機づけ面接の提唱者。

午前 問96(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:慢性のアルコール使用ではビタミンB₁欠乏からWernicke脳症を生じ、離脱期の振戦せん妄などを経て、記銘力障害・失見当識・作話を主徴とするKorsakoff症候群が後遺症として残ることがある。

  • 1:周期性の過眠に過食や脱抑制を伴うまれな睡眠障害で、飲酒や離脱とは関連しない。
  • 2:前向性健忘を中心とする記銘力障害、失見当識、作話を特徴とし、B₁欠乏による後遺症である。
  • 3:幼児期に発症し多彩な発作型を示す難治性てんかん性脳症で、アルコールとは無関係である。
  • 4:主に女児にみられる神経発達症で、手もみ様の常同運動と退行が特徴。飲酒とは関係ない。
  • 5:抗精神病薬などにより高熱・筋強剛・CK上昇を呈する急性の副作用で、離脱の後遺症ではない。

午前 問97(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:統合失調症の前駆期には不眠、不安、集中困難などの非特異的な症状に加え、自分の意図と無関係に考えが浮かぶ自生思考のような自我障害の初期兆候がみられる。幻覚妄想や滅裂思考は急性期、感情の平板化は消耗期以降に目立つ。

  • 1:自分の意図と無関係に考えが勝手に浮かぶ体験で、前駆期にみられる自我障害の初期像である。
  • 2:話のまとまりが失われる思考過程の障害であり、急性期に目立つ症状である。
  • 3:現実離れした内容の妄想は、幻覚とともに急性期の陽性症状の中心をなす。
  • 4:感情表出が乏しくなる陰性症状であり、消耗期から慢性期にかけて前景となる。
  • 5:昏迷や拒絶、常同姿勢などを呈する病像で、前駆期ではなく急性期に生じる。

午後 問32(専門一般・正答 1) 問題を見る →

ポイント:Alzheimer病では老人斑としてアミロイドβが脳実質に沈着し、リン酸化タウによる神経原線維変化を伴う。他の選択肢はポリグルタミン、タウ/TDP-43、ビタミンB1欠乏、脱髄と病態機序が異なる。

  • 1:Alzheimer病ではアミロイドβが老人斑として沈着する。脳血管壁への沈着(脳アミロイド血管症)も伴う。
  • 2:Huntington病は異常伸長ポリグルタミン鎖をもつハンチンチンの蓄積が本態で、線条体が変性する。
  • 3:Pick病(前頭側頭葉変性症)ではタウを含むPick球がみられ、アミロイドの沈着は特徴ではない。
  • 4:Wernicke脳症はビタミンB1欠乏による乳頭体・視床などの病変で、アミロイド沈着はみられない。
  • 5:多発性硬化症は中枢神経の脱髄を主体とする疾患であり、アミロイド沈着とは関係しない。

午後 問79(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:精神分析療法はフロイトが創始した治療法で、無意識に抑圧された欲動や葛藤が症状として現れると考える。自由連想や夢分析、転移の解釈を通じて無意識の葛藤を意識化し、洞察を得ることで症状の改善を目指す。

  • 1:支持的精神療法は傾聴・保証・助言により患者の適応力を支え不安を和らげる。無意識の葛藤の解明は目指さない。
  • 2:自由連想や夢分析、転移の解釈により無意識の葛藤を意識化させ、洞察を通じて症状の改善を図る。
  • 3:認知行動療法は出来事の受け取り方(認知)と行動に働きかける。扱うのは無意識ではなく意識できる認知である。
  • 4:森田療法は不安をあるがままに受け入れ、目的本位の行動を促す日本発の治療法で、主に神経症に用いられる。
  • 5:来談者中心療法はロジャーズが提唱し、受容・共感・自己一致により自己成長を促す。解釈は行わない。

午後 問96(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:うつ病患者の自殺の危険因子には、自殺企図の既往、精神科入院歴(特に退院直後)、アルコールや薬物の乱用・依存、不安障害などの併存、男性、高齢、独居、社会的孤立などがある。

  • 1:自殺企図は女性に多い一方、自殺既遂の危険は男性で高い。女性であること自体は危険率を高める特徴とはされない。
  • 2:精神科入院歴は重症度を反映し、特に退院直後は自殺の危険が高まる時期であり危険因子となる。
  • 3:自殺企図の既往は最も強い危険因子の一つで、企図の反復により既遂に至る危険が高い。
  • 4:不安障害の合併は焦燥や不眠を強め、衝動的な自殺行動の危険を高める。
  • 5:アルコールや薬物の依存は判断力を低下させ衝動性を高めるため、自殺の危険因子となる。

午後 問98(共通・採点除外) 問題を見る →

ポイント:本問は採点除外となった問題です。採点除外は全員に得点が与えられるのではなく、その問題自体が採点対象から外れ、満点(分母)が減る扱いです(第60回理学療法士は採点除外3問により満点280点→273点、実地120点→114点となりました)。幻覚が陽性症状であることに異論はありませんが、連合弛緩は陽性症状に含める分類と、注意の障害などとともに「解体(まとまりのなさ)」として別に扱う分類があり、用いる分類によって2つに絞れないため一意の正答を定められなかったと考えられます。

  • 1:快感消失(アンヘドニア)は興味や喜びを感じられない状態で、意欲低下とともに陰性症状に分類される。
  • 2:会話の貧困は発語量や内容が乏しくなる状態で、思考の貧困として陰性症状に分類される。
  • 3:幻覚は幻聴を中心とする知覚の異常で、妄想とともに代表的な陽性症状である。採点除外のため○は付かない。
  • 4:注意の障害は認知機能障害に位置づけられ、陰性症状あるいは解体症状として扱われることが多い。
  • 5:連合弛緩は思考のつながりが緩む思考障害で、陽性症状に含める分類と解体症状として区別する分類がある。

午後 問99(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:うつ病では抑うつ気分や興味・喜びの減退に加え、自分には価値がないという無価値感や罪責感、思考制止(考えが進まない)がみられる。これらはDSMのうつ病エピソードの診断項目に含まれる。

  • 1:観念奔逸は次々と考えが浮かんで話題が飛ぶ状態で、躁病(躁状態)でみられる思考の障害である。
  • 2:誇大妄想は自分を過大に評価する妄想で躁状態に多い。うつ病では貧困妄想などの微小妄想が典型である。
  • 3:思考奪取は自分の考えが誰かに抜き取られると感じる自我障害で、統合失調症でみられる。
  • 4:思考途絶は思考が突然途切れる症状で統合失調症にみられる。うつ病で目立つのは思考制止である。
  • 5:無価値感は自分には価値がないと感じる状態で、うつ病の中核的な症状の一つである。

午後 問100(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:強迫症では、強迫観念が自分自身の考えであり、ばかげている・過剰であると自覚(自我違和的)しながらも抑えられず、不安を打ち消すために強迫行為を反復する。病識は原則として保たれる。

  • 1:強迫行為は意識清明のもとで自覚しながら行われ、記憶にも残る。解離性障害のような健忘は生じない。
  • 2:確認を代行させたり保証を繰り返し求めたりと、家族を巻き込むこと(家族の巻き込み)はまれではなく多い。
  • 3:強迫観念は覚醒時の思考であり、睡眠中も持続することはない。入眠困難の原因にはなりうる。
  • 4:幻聴に命じられて行為に至る場合は統合失調症を疑う。強迫観念はあくまで自分の考えとして体験される。
  • 5:不合理・過剰と自覚しつつ抑えられない点が特徴で、自我違和的である。病識の乏しい例もあるが原則は保たれる。

第59回(2024年2月実施)

精神医学として15問が出題されました(実地0問・一般/共通15問、推定配点15点)。全問の正答・解説は 第59回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問28午前専門一般認知症の周辺症状の識別3
問79午前共通陽性転移にあたる患者の反応3
問80午前共通模範行動の観察による治療法4
問81午前共通宿題を用いる精神療法4
問95午前共通Lewy小体型認知症の早期症状1
問96午前共通統合失調症の予後と発症率2
問97午前共通全般性不安障害の特徴2
問100午前共通うつ病患者への睡眠衛生指導2
問31午後専門一般自己効力感を低下させる関わり5
問79午後共通願望を意識から排除する防衛機制3/4(複数正答)
問80午後共通Freud発達論の6〜12歳の段階4
問96午後共通双極性障害とうつ病の特徴比較1
問97午後共通せん妄の危険因子と症状2
問98午後共通統合失調症の陰性症状1・2
問100午後共通振戦せん妄の症状と治療3

午前 問28(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:中核症状は脳の器質的障害から直接生じる記憶障害・見当識障害・失語・失行・実行機能障害などである。周辺症状(BPSD)は徘徊・興奮・妄想・抑うつなど、中核症状に環境要因や心理要因が加わって現れる行動・心理症状をさす。

  • 1:今日の日付が分からないのは時間の見当識障害であり、中核症状である。
  • 2:携帯電話を使えなくなるのは道具の使用や段取りが困難になる実行機能障害などによるもので、中核症状である。
  • 3:夜間に家の中を歩き回るのは徘徊であり、行動・心理症状(BPSD)=周辺症状にあたる。
  • 4:朝食で食べたものを思い出せないのは近時記憶の障害であり、中核症状である。
  • 5:目の前の物品の名称が言えないのは失語(呼称障害)であり、中核症状である。

午前 問79(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:転移とは、患者が過去の重要な人物に向けていた感情を治療者に向ける現象である。好意・信頼・依存などの肯定的感情が向かうものを陽性転移、敵意・嫌悪などが向かうものを陰性転移という。治療者から患者への感情は逆転移と呼ぶ。

  • 1:医療者から患者へ向かう感情は逆転移である。過剰な親近感は陽性の逆転移にあたる。
  • 2:医療者が患者に怒りを示すのは陰性の逆転移であり、患者側から生じる転移ではない。
  • 3:患者が治療者に好意や信頼といった肯定的感情を向けるのが陽性転移である。正しい。
  • 4:患者が治療者を強く軽蔑するのは否定的感情であり、陽性転移ではなく陰性転移である。
  • 5:患者が治療者を嫌悪するのも敵意を含む否定的感情であり、陰性転移に分類される。

午前 問80(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:モデリング法は、他者(モデル)の適切な行動を観察・模倣させることで行動変容を促す行動療法の技法である。Banduraの社会的学習理論に基づき、恐怖の軽減や社会的スキルの習得に用いられる。

  • 1:系統的脱感作法は弛緩法を併用しながら不安階層表に沿って段階的に刺激に慣れさせる技法である。
  • 2:行動活性化技法はうつ病などで活動と気分を記録し、満足や達成が得られる行動を増やしていく技法。
  • 3:マインドフルネスは今この瞬間の体験に評価を加えず注意を向ける訓練で、観察学習とは異なる。
  • 4:モデリング法は他者の模範行動を観察する観察学習を通じて自らの行動変容を図る技法である。正しい。
  • 5:問題解決技法は問題の明確化・解決策の案出・実行・評価という手順を身につけさせる技法である。

午前 問81(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:ホームワーク〈宿題〉は認知行動療法の中核技法。面接で扱った認知の同定・再構成や行動実験、活動記録などを日常生活で実践・記録させ、次回の面接で振り返って検証していく。

  • 1:支持的精神療法は傾聴・受容・助言により自我を支えるもので、課題を出して家庭で練習させる技法は用いない。
  • 2:精神分析療法は自由連想と転移・抵抗の解釈が中心で、治療者が宿題を課すことはしない。
  • 3:内観療法は「してもらったこと・して返したこと・迷惑をかけたこと」を集中的に想起する技法で、宿題形式ではない。
  • 4:正しい。認知行動療法ではホームワークを課し、日常場面での実践と記録を次回面接で検討する。
  • 5:森田療法は不安を「あるがまま」に受け入れる治療で、外来では日記指導を用いるが、ホームワークを体系的な中核技法とするのは認知行動療法である。

午前 問95(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:Lewy小体型認知症の中核的特徴は、繰り返す具体的な幻視、認知機能の変動、パーキンソニズム、REM睡眠行動障害である。なかでも幻視は早期から出現しやすい特徴的な症状である。

  • 1:正しい。人や小動物などの具体的で反復する幻視が早期からみられ、診断の中核的特徴である。
  • 2:考想伝播は自分の考えが他人に伝わるという統合失調症の症状で、本症の特徴ではない。
  • 3:失語はAlzheimer型の進行期や意味性認知症などでみられ、本症の早期症状ではない。
  • 4:人格変化は前頭側頭型認知症で早期から目立つ症状で、本症の初期症状ではない。
  • 5:脱抑制も前頭側頭型認知症(行動障害型)に特徴的で、本症の早期にはみられにくい。

午前 問96(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:統合失調症の予後不良因子は、若年(思春期)発症、緩徐な発症、陰性症状優位、男性、未治療期間〈DUP〉が長いことなどである。急性発症例や女性は比較的予後が良好とされる。

  • 1:急性に発症した例は治療反応がよく、予後は比較的良好とされる。
  • 2:正しい。若年発症は病前の社会機能の獲得が乏しく陰性症状も残りやすいため、予後は不良である。
  • 3:女性は発症年齢が遅く経過も比較的良好で、一般に男性より予後がよいとされる。
  • 4:生涯有病率は男女でほぼ同等で、男性がやや多い程度。約2倍という差はない。
  • 5:DUPが長いほど予後が悪いことが示されており、無関係ではない。

午前 問97(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:全般性不安障害は多数の事柄への過剰な心配が6か月以上続く疾患。有病率は女性が男性の約2倍で、動悸・発汗・筋緊張などの自律神経症状を伴い、慢性化しやすく他疾患との併存も多い。

  • 1:経過は慢性で症状が変動しやすく、慢性化はまれではなくむしろ一般的である。
  • 2:正しい。有病率は女性が男性の約2倍とされ、女性に多い。
  • 3:動悸・発汗・口渇・筋緊張・易疲労などの自律神経系の過活動症状を伴うのが特徴である。
  • 4:ストレスや生活状況などの環境要因により症状は増悪・軽減し、消長に影響を及ぼす。
  • 5:うつ病、パニック症、社交不安症などとの併存が多く、併存しないわけではない。

午前 問100(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:睡眠衛生指導では起床時刻を一定に保ち体内時計を整えることが基本である。就床時刻は固定せず眠くなってから床に就き、眠れないときは寝床から出る。アルコールや夕方の長い昼寝は避ける。

  • 1:夕方の長い昼寝は夜間の睡眠圧を下げ入眠困難を悪化させる。昼寝は午後早い時間に30分以内とする。
  • 2:正しい。起床時刻を一定にすると概日リズムが安定し、夜間の入眠が得られやすくなる。
  • 3:アルコールは寝つきをよくするようにみえるが、睡眠を浅くし中途覚醒を増やすため不適切である。
  • 4:眠気がないまま就床すると寝床で覚醒して過ごす時間が増え、不眠を強化してしまう。
  • 5:眠れないときは寝床から出て別のことをし、眠気が来てから戻るのが刺激制御法の原則である。

午後 問31(専門一般・正答 5) 問題を見る →

ポイント:自己効力感は、遂行行動の達成(成功体験)、代理的経験、言語的説得、生理的・情動的状態の4要因によって高まる。最初に達成困難な高い目標を設定すると失敗体験となり、自己効力感は低下しやすい。

  • 1:医療者が励ますことは言語的説得にあたり、自己効力感を高める要因である。低下させる要因ではない。
  • 2:疲労が問題ないと説明すると不安が軽減し、生理的・情動的状態が改善して自己効力感は高まる方向に働く。
  • 3:他患者の成功例を伝えることは代理的経験(モデリング)にあたり、自己効力感を高める要因である。
  • 4:類似した課題での過去の成功体験は遂行行動の達成にあたり、自己効力感を最も強く高める要因である。
  • 5:正しい。最初から達成困難な高い目標を設定すると失敗体験を重ねやすく、自己効力感が低下する可能性が高い。

午後 問79(共通・正答 3/4(複数正答)) 問題を見る →

ポイント:本問は、厚生労働省の正答値表で選択肢3・4のいずれもが正答として認められた問題(複数正答)です。採点除外(その問題が採点対象から外れ、満点が減る扱い)ではありません。選択肢3・4のいずれかを選んだ場合が正解、それ以外を選んだ場合は不正解として採点されます。抑圧は無意識の願望や思考を意識的な気づきから締め出す機制、抑制は意識にのぼった願望や感情の表出を意図的に抑える機制で、両者の定義の重なりから2つが正答とされました。

  • 1:昇華は受け入れがたい欲動を社会的に価値ある活動へ向け替える機制で、意識から排除する働きではない。
  • 2:統制(コントロール)は周囲の出来事や人を管理・操作して葛藤を扱う機制で、設問の定義と異なる。
  • 3:抑圧は無意識の願望や思考を意識的な気づきから排除する機制で、設問の定義に合致し正答とされた。
  • 4:抑制は願望や感情の表出を意図的に抑える機制で、抑圧との定義の重なりから正答として認められた。
  • 5:歪曲は外界の現実を自分の欲求に合うように大きく作り変える機制で、意識から排除する働きではない。

午後 問80(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:Freudの心理性的発達論は口唇期(0〜1歳半ころ)、肛門期(1歳半〜3歳ころ)、男根期(3〜6歳ころ)、潜在期(6〜12歳ころ)、性器期(12歳ころ以降)と進む。潜在期は性的関心が潜む時期である。

  • 1:感覚運動期(0〜2歳ころ)はPiagetの認知発達段階で、Freudの発達論の区分ではない。
  • 2:形式的操作期(11〜12歳以降)はPiagetの段階で、抽象的・論理的思考が可能になる時期である。
  • 3:性器期はFreudの発達論で思春期(12歳ころ)以降にあたり、6〜12歳ころではない。
  • 4:潜在期(潜伏期)は6〜12歳ころで、性的関心が潜在化し学習や同性の仲間関係が発達する。
  • 5:前操作期(2〜7歳ころ)はPiagetの段階で、象徴機能は育つが論理的操作は未熟である。

午後 問96(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:双極性障害はうつ病より発症年齢が低く(20代前半が多い)、遺伝的素因が強く、自殺リスクも高いのが特徴です。生涯有病率は約1%でうつ病より低く、男女差はほとんどありません。

  • 1:双極性障害の発症は20代前半が多く、30〜40代以降に多いうつ病より発症年齢が低い。正しい。
  • 2:生涯有病率は双極性障害が約1%、うつ病は数%以上とされ、うつ病のほうが高い。誤り。
  • 3:双極性障害は一卵性双生児の一致率が高く、遺伝的素因はうつ病より大きい。少ないは誤り。
  • 4:双極性障害の自殺リスクはうつ病より高いとされ、うつ病相や混合状態で特に注意を要する。低いは誤り。
  • 5:生涯有病率の男女差が大きいのはうつ病(女性が約2倍)で、双極性障害は男女ほぼ同等である。

午後 問97(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:せん妄は身体的要因により急性に生じる意識障害で、高齢は脳の予備能低下により代表的な準備因子(危険因子)となります。注意・認知機能が変動しながら障害され、睡眠覚醒リズムが乱れて夜間に悪化しやすく、原因の除去で改善しうる状態です。

  • 1:せん妄では注意障害を中心に見当識や記憶などの認知機能が障害される。保たれるという記述は誤り。
  • 2:高齢は脳の予備能低下により準備因子となる代表的な危険因子である。認知症や感覚障害も同様。正しい。
  • 3:睡眠覚醒リズムの障害はせん妄の中核症状の一つで、昼夜逆転や夜間の不眠を生じる。保たれるは誤り。
  • 4:薬剤・感染・脱水などの原因を除去すれば改善しうる可逆的な状態である。不可逆的という記述は誤り。
  • 5:夕方から夜間に悪化する夜間せん妄が典型的であり、夜間に起こることがまれというのは誤り。

午後 問98(共通・正答 1・2) 問題を見る →

ポイント:陰性症状は本来あるべき機能が乏しくなる症状で、意欲低下(意欲・発動性の減退)と感情の平板化が代表です。幻覚・妄想、および思考過程の障害である連合弛緩は陽性症状に分類されます。

  • 1:意欲・発動性の減退は陰性症状の代表で、無為・自閉的な生活につながる。正しい。
  • 2:表情や感情表出が乏しくなる感情の平板化(感情鈍麻)は陰性症状の代表である。正しい。
  • 3:幻覚(とくに幻聴)は本来ないものが知覚される症状で、陽性症状に分類される。
  • 4:妄想は訂正不能な誤った確信であり、陽性症状に分類される。陰性症状ではない。
  • 5:連合弛緩は話のつながりが緩む思考過程の障害で、陽性症状に分類される。

午後 問100(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:振戦せん妄はアルコール離脱症状の重症型で、多くは断酒後48〜72時間で出現します。発熱・発汗・頻脈などの自律神経症状が強く生命の危険を伴うため、ベンゾジアゼピン系薬を中心にビタミンB1補給と輸液で治療します。

  • 1:発熱・発汗・頻脈・脱水などを伴い、治療が適切でなければ死亡することもある。危険性は低くない。
  • 2:羽ばたき振戦は肝性脳症でみられる所見。振戦せん妄では粗大な全身の振戦がみられる。
  • 3:アルコールと交叉耐性のあるベンゾジアゼピン系薬が治療の中心で、ビタミンB1補給と輸液も併用する。正しい。
  • 4:断酒後24時間以内に多いのは手指振戦や発汗などの早期離脱症状で、振戦せん妄は48〜72時間に多い。
  • 5:血中アルコール濃度が低下したときに生じる離脱症状であり、濃度上昇に伴って生じるのではない。

第58回(2023年2月実施)

精神医学として10問が出題されました(実地0問・一般/共通10問、推定配点10点)。全問の正答・解説は 第58回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問78午前共通知性化などの防衛機制の同定3
問79午前共通Freud発達論の1〜3歳の段階2
問80午前共通障害受容の5段階の順序を問う5
問81午前共通コラム表を用いる認知行動療法技法1
問96午前共通アルコール依存症の誤りを選ぶ採点除外
問97午前共通意志発動異常が主体の統合失調症病型1
問100午前共通強迫性障害の治療と症状の正誤2
問98午後共通パーソナリティ障害の型判別5
問99午後共通鉄欠乏性貧血に伴う睡眠障害4
問100午後共通神経性無食欲症の身体所見5

午前 問78(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:知性化は受け入れがたい感情や欲動を、抽象的・理論的な思考や知識の枠組みに置き換えて距離をとる防衛機制である。感情を切り離して理屈で扱う点が特徴で、設問の記述に合致する。

  • 1:抑圧は受け入れがたい欲動や記憶を無意識に押し込め意識から締め出す機制で、理論的分析を行うわけではない。
  • 2:行動化は葛藤や感情を言語化せず衝動的な行動として表出する機制で、欲動を統制する方向とは逆である。
  • 3:知性化は欲動や感情を理屈・理論として扱い、感情から距離をとって統制する機制である。設問に合致し正しい。
  • 4:反動形成は受け入れがたい欲動と正反対の態度や行動をとる機制で、理論的分析による統制とは異なる。
  • 5:スプリッティングは対象を全good・全badに二分して認識する機制で、境界性パーソナリティ障害でみられる。

午前 問79(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:Freudの心理性的発達理論では、口唇期(0〜1歳ころ)、肛門期(1〜3歳ころ)、男根期(3〜6歳ころ)、潜伏期(6歳〜思春期)、性器期(思春期以降)の順に進む。1〜3歳ころは排泄のしつけが課題となる肛門期にあたる。

  • 1:口唇期は0〜1歳ころで、吸う・噛むといった口唇領域を通じて満足を得る時期である。1〜3歳より前にあたる。
  • 2:肛門期は1〜3歳ころで、排泄の保持と排出のしつけが中心課題となる。設問の年齢に該当し正しい。
  • 3:性器期は思春期以降で、成熟した対象への性的関心が中心となる最終段階である。年齢が合致しない。
  • 4:潜伏期は6歳ころから思春期までで、性的関心が潜在化し学習や仲間関係が発達する時期である。
  • 5:男根期は3〜6歳ころで、性器への関心やエディプス葛藤が生じる時期であり、1〜3歳には該当しない。

午前 問80(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:上田敏による障害受容の過程は、ショック期→否認期→混乱期→解決への努力期→受容期の5段階とされる。2番目は障害の永続性を認めたくない否認期である。段階は一方向に進むとは限らず行きつ戻りつする点にも留意する。

  • 1:解決への努力期は4番目で、価値観の転換が進み積極的に問題解決へ取り組み始める段階である。
  • 2:ショック期は1番目で、受傷直後に現実感が乏しく、かえって心理的に平静にみえる時期である。
  • 3:混乱期は3番目で、怒りや恨み、抑うつ、自責などが強く現れる不安定な時期である。
  • 4:受容期は5番目(最終段階)で、障害を自己の一部として受け入れ新たな価値観を確立する段階である。
  • 5:否認期は2番目で、障害の存在や永続性を認めず回復への期待に固執する時期である。正しい。

午前 問81(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:思考記録表(コラム表)は、状況・気分・自動思考・その根拠と反証・適応的思考を書き出す道具で、非適応的な自動思考を検証し現実に沿った考えへ修正することを目標とする。これを用いる認知行動療法の技法が認知再構成法である。

  • 1:コラム表を用いて自動思考の根拠と反証を検討し、より現実的で適応的な考えへ修正する技法。正答。
  • 2:モデリング法は、他者の手本となる行動を観察・模倣させて新しい行動を学習させる技法で、コラム表は用いない。
  • 3:問題解決技法は、問題の明確化・解決案の列挙・選択・実行・評価という段階を踏んで対処力を高める技法である。
  • 4:系統的脱感作法は、弛緩訓練と不安階層表を組み合わせ、恐怖刺激に段階的に慣らしていく行動療法の技法である。
  • 5:行動活性化技法は、活動記録をもとに楽しみや達成感の得られる行動を増やして気分の改善を図る技法である。

午前 問96(共通・採点除外) 問題を見る →

ポイント:本問は採点除外となった問題です。採点除外は全員に得点が与えられるのではなく、その問題自体が採点対象から外れ、満点(分母)が減る扱いです。第58回理学療法士では午前96問と午後43問の一般問題2問が除外され、総得点の満点は280点から278点に減り、実地問題は120点のまま据え置かれました。

  • 1:依存性パーソナリティ障害などのパーソナリティ特性は、アルコール依存症の発症リスクを高める要因とされる。
  • 2:依存が形成される過程では同じ量では酔いにくくなる耐性の増大がみられ、記述を誤りとは言い切れない。
  • 3:断酒後も一杯の再飲酒から短期間で元の依存状態に戻りやすく(再燃)、再発率が高いことは広く知られている。
  • 4:アルコール幻覚症は意識が清明な状態で幻聴を主体とする病態であり、記述は正しい(幻視主体は振戦せん妄)。
  • 5:双生児研究や家族研究から遺伝的要因の関与が示されており、記述は正しい。

午前 問97(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:緊張型統合失調症は、興奮・昏迷・カタレプシー・拒絶症・常同症など意志発動(精神運動)の異常が前景に立つ病型である。青年期に急性に発症することが多く、他の病型に比べ経過や予後は比較的良好とされる。

  • 1:興奮と昏迷という両極の精神運動異常を主徴とする病型で、設問の記述に合致する。正答。
  • 2:残遺型は急性期の幻覚や妄想などの陽性症状が消退した後に、感情鈍麻や意欲低下などの陰性症状が残る状態である。
  • 3:単純型は明らかな幻覚妄想を欠き、緩徐に意欲低下や社会的引きこもりが進行する病型である。
  • 4:破瓜型(解体型)は思春期に緩徐に発症し、感情の平板化や思考の解体が主体で、経過は慢性化しやすい。
  • 5:妄想型は比較的遅い年齢で発症し、被害妄想や幻聴が中心で、人格面の荒廃は比較的軽いとされる。

午前 問100(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:強迫性障害では、不合理と自覚しながらも打ち消せない強迫観念と強迫行為が続き苦痛や生活障害を生じる。治療は曝露反応妨害法を中心とする認知行動療法とSSRIによる薬物療法が有効で、うつ病の併存も多い。

  • 1:SSRIを中心とした薬物療法は有効で、認知行動療法と並ぶ標準的治療である。無効という記述は誤り。
  • 2:不安を生じる状況にあえて曝露し、強迫行為(儀式)を行わせずに不安の減衰を体験させる。標準的治療で正答。
  • 3:させられ体験(作為体験)は統合失調症の自我障害である。強迫行為は自分の意志による行為と自覚される。
  • 4:うつ病の併存はまれではなく高率にみられ、治療計画上も考慮が必要である。
  • 5:患者は強迫観念や強迫行為が不合理であると自覚しており(病識がある)、それでもやめられず苦痛を感じる。

午後 問98(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:統合失調型パーソナリティ障害は、親密な関係を築けない対人的孤立に加え、関係念慮・魔術的思考・奇異な信念など風変わりな考え方と、行動や外見の奇妙さが持続してみられる点が特徴である。

  • 1:演技性パーソナリティ障害は過度に情緒的で他者の注目を集めようとするのが特徴で、奇異な思考は主症状でない。
  • 2:回避性パーソナリティ障害は批判や拒絶を恐れて対人接触を避けるが、本人は関係を望んでおり奇異な考えは伴わない。
  • 3:猜疑性〈妄想性〉パーソナリティ障害は他者の動機を悪意あるものと疑う不信・猜疑が中核で、奇異な行動は特徴でない。
  • 4:シゾイド〈統合失調質〉は対人関係への関心と感情表出が乏しいことが中心で、奇異な考え方や行動は目立たない。
  • 5:○。対人的孤立に加え、関係念慮や魔術的思考、風変わりな行動が持続する本例に最も合致する。

午後 問99(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:むずむず脚症候群(restless legs症候群)は、夕方から夜間に下肢の不快感と動かしたい衝動が生じて入眠を妨げる疾患である。鉄欠乏は中枢のドパミン機能障害を介する主要な原因で、鉄剤の補充が有効なことが多い。

  • 1:睡眠時遊行症はノンレム睡眠からの覚醒障害(小児に多い夢遊病)であり、鉄欠乏との関連はない。
  • 2:ナルコレプシーはオレキシン神経の脱落による過眠症で、情動脱力発作を伴う。鉄欠乏とは関連しない。
  • 3:睡眠相前進症候群は体内時計が前倒しとなり極端な早寝早起きとなる概日リズム障害で、鉄欠乏とは無関係である。
  • 4:○。鉄欠乏性貧血に高率に合併し、下肢の不快感による入眠困難や中途覚醒をきたす。
  • 5:閉塞性睡眠時無呼吸障害は肥満や上気道の狭小化による気道閉塞が原因で、鉄欠乏とは関連しない。

午後 問100(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:神経性無食欲症では飢餓への適応として代謝が低下し、徐脈・低血圧・低体温・低血糖を呈する。一方、甲状腺機能の低下や脂質代謝の変化により血清コレステロールはるいそうにもかかわらず高値を示すことが多い。

  • 1:代謝の低下と迷走神経優位により徐脈となることが多く、頻脈はむしろ生じにくい。
  • 2:循環血液量の減少と交感神経活動の低下により、低血圧や起立性低血圧を呈しやすい。
  • 3:摂取エネルギー不足と肝グリコーゲンの枯渇により、高血糖ではなく低血糖をきたしやすい。
  • 4:低栄養では血清リンは低下しやすく、急な栄養再開時にはさらに低下してrefeeding症候群を招く。
  • 5:○。甲状腺機能の低下や脂質代謝の変化により、やせているにもかかわらずコレステロールが高値となりやすい。

この解説について

本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

出典:「第58回〜第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。


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出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

最終更新:2026-09-10

監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)

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