整形外科|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ
理学療法士国家試験の整形外科分野を、複数年分まとめて対策できるページです。骨折・術後リハビリテーション、膝関節疾患(前十字靱帯・半月板・変形性膝関節症)、装具・義肢、脊椎・脊髄疾患、骨腫瘍・骨壊死など、出題範囲が広く実地問題との結びつきが強い分野です。収録済みの年度では第61回が10問、第60回が17問出題されており、年度をまたいで解くことで繰り返し問われるテーマが見えてきます。
問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。
収録状況
| 年度 | 実施 | 整形外科 出題数 | 収録 |
|---|---|---|---|
| 第61回 | 2026年2月 | 9問 | ✅ 解説あり |
| 第60回 | 2025年2月 | 10問 | ✅ 解説あり |
| 第59回 | 2024年2月 | 16問 | ✅ 解説あり |
| 第58回 | 2023年2月 | 17問 | ✅ 解説あり |
| 第57回 | 2022年2月 | ― | 順次追加 |
頻出テーマ(複数年で繰り返し問われる論点)
- 膝関節疾患:前十字靱帯損傷、半月板損傷の誘発テスト(Apley・McMurray)、変形性膝関節症の特徴
- 骨折・術後リハビリテーション:大腿骨頸部骨折/人工骨頭置換術後、人工股関節置換術(後方進入)後の禁忌肢位と早期離床
- 装具・義肢:サイム義足、両側支柱付膝装具、側弯症装具(ボストンブレース・ミルウォーキーブレース)、短下肢装具
- 脊椎・脊髄:頸髄損傷(Zancolli分類)の目標動作、二分脊椎の機能残存レベル、思春期特発性側弯症
- 骨腫瘍・骨壊死・骨代謝:骨肉腫の好発年齢と部位、Kienböck病などの骨端症・骨壊死、原発性骨粗鬆症の脆弱性骨折
- 肩・上肢:肩関節周囲炎、腱板損傷術後の筋力増強運動、手の舟状骨骨折と偽関節
- 関節リウマチ:等尺性運動の適応と、活動期・環軸椎亜脱臼などの禁忌
第61回(2026年2月実施)
整形外科として9問が出題されました(実地2問・一般/共通7問、推定配点13点)。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。
| 問 | 時間帯 | 区分 | 何を問うた設問か | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問10 | 午前 | 実地 | 下腿近位部の骨腫瘍の疾患鑑別 | 3 |
| 問46 | 午前 | 専門一般 | 関節リウマチに対する理学療法 | 1 |
| 問89 | 午前 | 共通 | 成人男性に好発する骨壊死疾患 | 2 |
| 問93 | 午前 | 共通 | 骨軟部腫瘍の診断確定に必要な検査 | 2 |
| 問7 | 午後 | 実地 | 人工股関節置換術後3週の理学療法 | 3 |
| 問28 | 午後 | 専門一般 | 変形性膝関節症の疫学と所見 | 5 |
| 問88 | 午後 | 共通 | アキレス腱断裂の臨床所見 | 3 |
| 問89 | 午後 | 共通 | 偽関節を生じやすい骨折部位 | 2 |
| 問93 | 午後 | 共通 | 転移性脊椎腫瘍の安定性の部位 | 5 |
午前 問10(実地・正答 3) 問題を見る →
ポイント:12歳、下腿近位部(脛骨近位)の腫脹・安静時痛、X線/MRI異常、ALP上昇。骨肉腫の好発年齢・部位・所見に合致。ALP上昇は骨形成の亢進を反映。
- ❌ 1:骨挫傷はALP上昇や進行性腫瘤を来さない。
- ❌ 2:骨髄炎なら炎症反応が上昇するが本例は正常。
- ⭕ 3:骨肉腫は10歳代・膝周囲(脛骨近位/大腿骨遠位)に好発し、ALP上昇を伴う。
- ❌ 4:軟骨肉腫は中高年に多い。
- ❌ 5:疲労骨折はALP著明上昇や腫瘤を来さない。
午前 問46(専門一般・正答 1) 問題を見る →
ポイント:関節リウマチでは関節に負担の少ない等尺性運動で筋力を維持するのが基本。関節を動かさず筋収縮を行う。
- ⭕ 1:等尺性運動は関節を動かさず筋力を維持でき、RAに適する。
- ❌ 2:関節強直(骨性癒合)した関節にROM運動を行っても可動域は改善せず無意味。
- ❌ 3:ムチランス変形(高度破壊)に他動運動は危険で不適。
- ❌ 4:活動期(炎症期)の関節に温熱療法は炎症を助長し禁忌(冷却が適する)。
- ❌ 5:環軸椎亜脱臼がある場合、頸椎可動域運動は脊髄損傷リスクで禁忌。
午前 問89(共通・正答 2) 問題を見る →
ポイント:Kienböck病(月状骨軟化症)は成人男性(20-40歳の手をよく使う労働者)に好発する。
- ❌ 1:Freiberg病(第2中足骨頭壊死)は若年女性に多い。
- ⭕ 2:Kienböck病は成人男性に好発する月状骨壊死。
- ❌ 3:Osgood-Schlatter病は成長期のスポーツ少年(10代)に多い。
- ❌ 4:Perthes病(大腿骨頭壊死)は小児(4-8歳男児)に多い。
- ❌ 5:Sever病(踵骨骨端症)は成長期の小児に多い。
午前 問93(共通・正答 2) 問題を見る →
ポイント:悪性骨軟部腫瘍の確定診断には生検(組織診)が最も重要。画像は補助的で、確定は病理組織学的検査による。
- ❌ 1:PET-CTは病期診断・転移検索に有用だが確定診断ではない。
- ⭕ 2:生検(組織診)が悪性腫瘍の確定診断に最も重要。
- ❌ 3:血液検査は補助的(腫瘍マーカー等)。
- ❌ 4:骨密度測定は骨粗鬆症の評価。
- ❌ 5:超音波検査はスクリーニング的。
午後 問7(実地・正答 3) 問題を見る →
ポイント:人工股関節置換術(後方進入)後は早期離床・早期運動療法が原則。術後翌日から筋力増強運動(等尺性運動等)を開始する。脱臼肢位(後方進入では屈曲・内転・内旋)を避ける。
- ❌ 1:現在は早期荷重が主流で、術後3週免荷は過度に保守的。
- ❌ 2:術後早期離床が原則で、3日間のベッド上安静は廃用を招き不適。
- ⭕ 3:術後翌日から筋力増強運動(大腿四頭筋セッティング等)を開始するのが標準。
- ❌ 4:後方進入では屈曲・内転・内旋が脱臼肢位。立ち上がりを内旋位で行うのは禁忌。
- ❌ 5:屈曲45度以下の厳格制限は過度。通常90度程度までは許容し、屈曲+内転+内旋の複合を避ける。
午後 問28(専門一般・正答 5) 問題を見る →
ポイント:変形性膝関節症では大腿四頭筋の廃用性萎縮を認める。疼痛による活動低下で筋萎縮が進む。
- ❌ 1:変形性膝関節症は一次性(加齢・肥満等)が多い(二次性ではない)。
- ❌ 2:女性に好発する(男性ではない)。
- ❌ 3:内反変形(O脚)を生じやすい(外反ではない)。
- ❌ 4:好発年齢は中高年(50歳以降)で20歳代ではない。
- ⭕ 5:疼痛と活動低下により大腿四頭筋の萎縮を認める。
午後 問88(共通・正答 3) 問題を見る →
ポイント:アキレス腱断裂ではThompsonテスト(腓腹筋を握っても足が底屈しない)が陽性となる。
- ❌ 1:断裂するとつま先立ち(片脚)は困難になる。
- ❌ 2:中年のスポーツ愛好者に多い(学童期ではない)。
- ⭕ 3:Thompsonテスト陽性(下腿三頭筋把持で底屈が起こらない)。
- ❌ 4:足関節底屈位(尖足位)でギプス固定する(背屈位は断端を離開させ禁忌)。
- ❌ 5:陳旧例は腱の短縮・退縮のため端々縫合が困難で、腱移植・補強術が必要。
午後 問89(共通・正答 2) 問題を見る →
ポイント:手の舟状骨骨折は血行が遠位から近位への逆行性で乏しく、近位骨片が阻血性壊死・偽関節を生じやすい。
- ❌ 1:鎖骨遠位部は偽関節を生じることもあるが舟状骨ほど高頻度ではない。
- ⭕ 2:手の舟状骨は血行の特性から偽関節・阻血性壊死を生じやすい。
- ❌ 3:橈骨遠位端は血行が豊富で癒合しやすい。
- ❌ 4:中手骨骨幹部は癒合しやすい。
- ❌ 5:上腕骨骨幹部は偽関節もあるが舟状骨ほどではない。
午後 問93(共通・正答 5) 問題を見る →
ポイント:仙骨(S2-S5)は骨盤輪の一部で可動性が少なく、荷重も分散されるため転移時も相対的に安定性が高い。
- ❌ 1:C7-T2(頸胸椎移行部)は可動性が大きく不安定になりやすい。
- ❌ 2:T11-L1(胸腰椎移行部)は力学的負荷が集中し不安定。
- ❌ 3:L2・L3(腰椎)は荷重負荷が大きい。
- ❌ 4:L5・S1(腰仙椎移行部)は負荷が集中。
- ⭕ 5:S2-S5(仙骨下部)は可動性が少なく安定性が高い。
第60回(2025年2月実施)
整形外科として10問が出題されました(実地2問・一般/共通8問、推定配点14点)。全問の正答・解説は 第60回 PT 全問ページ でも確認できます。
| 問 | 時間帯 | 区分 | 何を問うた設問か | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問27 | 午前 | 専門一般 | スワンネック変形で過伸展する関節 | 3 |
| 問41 | 午前 | 専門一般 | 前十字靱帯損傷の特徴と検査 | 2・5 |
| 問84 | 午前 | 共通 | 関節リウマチのステージⅣ所見 | 2 |
| 問89 | 午前 | 共通 | 肘離断性骨軟骨炎の特徴 | 5 |
| 問90 | 午前 | 共通 | 肩関節周囲炎の臨床像 | 4 |
| 問2 | 午後 | 実地 | 小児股関節痛のX線から疾患鑑別 | 1 |
| 問3 | 午後 | 実地 | Perthes病時期別の理学療法 | 3・5 |
| 問33 | 午後 | 専門一般 | 骨粗鬆症の脆弱性骨折部位 | 1 |
| 問89 | 午後 | 共通 | 女性に有病率が高い運動器疾患 | 1 |
| 問90 | 午後 | 共通 | 腰椎椎間板ヘルニアの特徴 | 5 |
午前 問27(専門一般・正答 3) 問題を見る →
ポイント:スワンネック変形は近位指節間〈PIP〉関節が過伸展し、遠位指節間〈DIP〉関節が屈曲する変形で、白鳥の首に似た形をとる。関節リウマチなどでみられ、屈伸が逆になったもの(PIP屈曲・DIP過伸展)がボタン穴変形である。
- ❌ 1:遠位指節間関節は屈曲位をとります。過伸展するのは近位指節間関節です。
- ❌ 2:遠位橈尺関節は前腕の回内外を担う関節で、この指の変形には関与しません。
- ⭕ 3:近位指節間関節が過伸展し、同時に遠位指節間関節が屈曲するのが特徴です。
- ❌ 4:手根中手関節の変形は母指のZ変形などでみられ、スワンネック変形の定義には含まれません。
- ❌ 5:中手指節間関節は関節リウマチで尺側偏位や掌側亜脱臼をきたしますが、過伸展の主座ではありません。
午前 問41(専門一般・正答 2・5) 問題を見る →
ポイント:ACL損傷は非接触の膝外反・下腿外旋などで受傷し、半月板や内側側副靱帯の合併損傷が多い。徒手検査ではLachman testの感度が最も高く、ハムストリングスは脛骨を後方に引くためACLの緊張を減らす拮抗筋として働く。
- ❌ 1:半月板損傷や内側側副靱帯損傷などの合併が多く、単独損傷が8割以上を占めるわけではない。
- ⭕ 2:膝軽度屈曲位で脛骨を前方に引く検査で、ACL損傷の徒手検査では最も感度が高く陽性となる。
- ❌ 3:腫脹が引き可動域が改善した時期に行うのが一般的で、受傷後1年以降まで待つ推奨はない。
- ❌ 4:受傷前レベルへの復帰は6割前後との報告が多く、9割以上には達しないとされる。
- ⭕ 5:ハムストリングスは脛骨を後方に引くため、ACLへの張力は低下する。ACLの拮抗筋にあたる。
午前 問84(共通・正答 2) 問題を見る →
ポイント:Steinbrockerのステージは関節リウマチの関節破壊の程度をX線所見で4段階に分類する。Ⅰは骨粗鬆症のみ、Ⅱは軟骨下骨の破壊や関節裂隙狭小化、Ⅲは骨と軟骨の破壊・変形、Ⅳは線維性または骨性の強直を伴う末期である。
- ❌ 1:腱鞘炎は病期を問わず早期からみられる滑膜炎の症状で、ステージ分類の指標ではない。
- ⭕ 2:線維性または骨性の強直はステージⅣの定義そのもので、関節破壊が最も進行した末期像である。
- ❌ 3:関節周囲の骨粗鬆症のみでX線上の破壊を認めない段階は、ステージⅠに相当する。
- ❌ 4:軽度の軟骨下骨の破壊や関節裂隙の狭小化はステージⅡの所見であり、Ⅳの特徴ではない。
- ❌ 5:関節周囲の筋萎縮はステージⅡからみられる所見で、Ⅳに特徴的とはいえない。
午前 問89(共通・正答 5) 問題を見る →
ポイント:上腕骨小頭の離断性骨軟骨炎(外側型野球肘)は投球動作の繰り返しによる肘外側への圧迫力で生じ、10歳前後から10代に好発する。学童期野球選手での有病率は検診報告でおおむね1〜3%とされ、20〜30%という高率ではない。
- ❌ 1:発育期の軟骨に繰り返し負荷が加わって生じ、10代前半を中心とした若年者に多く正しい。
- ❌ 2:投球のほか体操やテニスなど、肘外側に圧迫力が反復する競技で多くみられ正しい。
- ❌ 3:透亮期などの初期は投球中止による保存療法で修復が期待でき、第一選択であり正しい。
- ❌ 4:超音波は被曝がなく野球肘検診でも用いられ、初期の小頭の不整の検出に有用で正しい。
- ⭕ 5:検診報告での有病率は1〜3%程度であり、20〜30%は明らかに高すぎるためこれが誤り。
午前 問90(共通・正答 4) 問題を見る →
ポイント:肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)は40〜60歳代に好発する非感染性の疾患で、関節包の炎症と拘縮により疼痛と可動域制限をきたす。多くは保存療法で1〜2年かけて軽快し、結髪・結帯動作の障害が典型的である。
- ❌ 1:中高年、とくに40〜60歳代に多い疾患であり、若年者に多いとはいえない。
- ❌ 2:経過は長期に及ぶが多くは自然軽快が期待でき、予後は比較的良好とされる。
- ❌ 3:関節包や腱板周囲の非感染性の炎症・変性が主体であり、感染性疾患ではない。
- ⭕ 4:肩関節周囲炎では全方向に可動域が制限される。結髪動作は屈曲・外転・外旋の複合運動であり、これらの制限により髪を結ぶ動作が行いにくくなる(伸展・内旋を要する結帯動作も同様に障害される)。
- ❌ 5:運動療法や消炎鎮痛薬、注射などの保存療法が基本で、手術は難治例に限られる。
午後 問2(実地・正答 1) 問題を見る →
ポイント:3〜12歳(好発は6〜7歳前後)の男児に好発し、男女比は約4対1。股関節痛や跛行で発症する大腿骨頭の阻血性壊死がPerthes病である。公式正答と選択肢の内容から、単純エックス線写真は右大腿骨頭骨端核の扁平化や硬化像などを示すと考えられる。
- ⭕ 1:3〜12歳(好発は6〜7歳前後)の男児に多い特発性の大腿骨頭壊死で、男女比は約4対1。股関節痛・跛行・可動域制限を呈し、年齢と性別、症状が合致する。
- ❌ 2:大腿骨頭壊死症はステロイド使用や大量飲酒を背景に成人へ好発する。小児の特発例はPerthes病と呼び分ける。
- ❌ 3:大腿骨頭すべり症は肥満傾向の10〜15歳前後に好発し、骨端線で骨頭がすべる。6歳の発症は考えにくい。
- ❌ 4:単純性股関節炎も小児股関節痛の原因だが、数日から2週で自然軽快し、エックス線では異常を認めないのが原則。
- ❌ 5:発育性股関節形成不全は乳児期に発見される臼蓋形成不全・脱臼であり、6歳で初めて疼痛を訴える経過は典型的でない。
午後 問3(実地・正答 3・5) 問題を見る →
ポイント:Perthes病で骨頭が脆弱な時期は、患肢の免荷と、骨頭を臼蓋に深く収めるcontainment(外転位保持)が原則である。患肢への荷重や内転を避けながら、座位での活動を通じて発達と体力を保つ。
- ❌ 1:containmentのためには外転位保持が原則で、内転位は骨頭外側部への圧を高めて変形を助長するため不適切。
- ❌ 2:短下肢装具は足関節周囲の制御を目的とし、股関節や大腿骨頭を免荷できないため本疾患の治療装具にならない。
- ⭕ 3:免荷期は座位中心の活動となる。左右対称な座位バランスを保つことは骨盤の傾きや脊柱変形の予防に有用である。
- ❌ 4:右側方から起き上がると患側股関節に体重と内転方向の負荷が集中する。健側である左側方からの起き上がりを指導する。
- ⭕ 5:坐骨結節で体重を支える免荷装具(坐骨支持長下肢装具)は患肢を免荷したまま歩行でき、この時期の適応となる。
午後 問33(専門一般・正答 1) 問題を見る →
ポイント:原発性骨粗鬆症の診断基準(2012年度改訂版)における脆弱性骨折の部位は、椎体、大腿骨近位部、肋骨、骨盤、上腕骨近位部、橈骨遠位端、下腿骨である。うち椎体と大腿骨近位部は骨密度によらず診断できる主要な部位とされる。
- ⭕ 1:椎体は主要な脆弱性骨折部位。椎体骨折があれば骨密度値にかかわらず原発性骨粗鬆症と診断できる。
- ❌ 2:上腕骨は近位部が該当部位であり、遠位部は診断基準に挙げられていない。
- ❌ 3:橈骨は遠位端(Colles骨折など)が該当部位であり、近位部は含まれない。
- ❌ 4:大腿骨は近位部(頸部・転子部)が該当部位で、遠位部は診断基準に含まれない。
- ❌ 5:距骨は診断基準の脆弱性骨折部位として挙げられておらず、該当しない。
午後 問89(共通・正答 1) 問題を見る →
ポイント:関節リウマチは30〜50歳代の女性に好発する自己免疫性の多発関節炎で、男女比はおよそ1対3〜4と女性に有病率が高い。他の選択肢はいずれも男性に多い疾患である。
- ⭕ 1:女性は男性の約3〜4倍で有病率が高い。朝のこわばりと対称性の関節腫脹・疼痛を特徴とする。
- ❌ 2:強直性脊椎炎は10〜20歳代の男性に多く、HLA-B27陽性率が高い脊椎関節炎である。
- ❌ 3:大腿骨頭すべり症は思春期の、肥満傾向のある男児に多く発生する。
- ❌ 4:特発性大腿骨頭壊死はステロイド投与や多量飲酒が誘因となり、30〜50歳代の男性に多い。
- ❌ 5:腰椎椎間板ヘルニアは20〜40歳代に好発し、男女比はおよそ2〜3対1で男性に多い。女性に多い疾患ではない。
午後 問90(共通・正答 5) 問題を見る →
ポイント:腰椎椎間板ヘルニアでは、後縦靱帯を破って脱出した髄核がマクロファージの貪食や血管新生を介して縮小・吸収されることがあり、多くは保存療法で症状が軽快する。
- ❌ 1:好発年齢は20〜40歳代で、小児期の発生はまれである。加齢に伴う椎間板の変性が基盤にある。
- ❌ 2:正中に大きく脱出して馬尾が圧迫されると、膀胱直腸障害や会陰部の感覚障害を生じ、手術適応となる。
- ❌ 3:有病率は人口の1%前後とされ、約15%というのは過大である。腰痛全体の頻度と混同しないこと。
- ❌ 4:Myerson徴候(眉間叩打反射の減衰消失なし)はParkinson病でみられる所見で、本症とは関係しない。
- ⭕ 5:脱出髄核はマクロファージによる貪食などで吸収・縮小することがあり、自然経過で症状が改善する例がある。
第59回(2024年2月実施)
整形外科として16問が出題されました(実地6問・一般/共通10問、推定配点28点)。全問の正答・解説は 第59回 PT 全問ページ でも確認できます。
| 問 | 時間帯 | 区分 | 何を問うた設問か | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問1 | 午前 | 実地 | 前十字靱帯損傷の予防指導 | 5 |
| 問4 | 午前 | 実地 | 半月板損傷で次に行う画像検査 | 3 |
| 問15 | 午前 | 実地 | 骨癒合促進に有効な物理療法 | 3 |
| 問17 | 午前 | 実地 | 足関節術後の理学療法の進め方 | 3 |
| 問31 | 午前 | 専門一般 | 変形性股関節症でみられる徴候 | 5 |
| 問38 | 午前 | 専門一般 | 大腿切断後の拘縮予防肢位 | 1 |
| 問42 | 午前 | 専門一般 | アキレス腱炎のアライメント異常 | 採点除外 |
| 問90 | 午前 | 共通 | 骨粗鬆症の疫学と骨折部位 | 3 |
| 問7 | 午後 | 実地 | 足関節外側靱帯損傷後の理学療法 | 1 |
| 問11 | 午後 | 実地 | 大腿骨骨折術後の理学療法 | 3 |
| 問32 | 午後 | 専門一般 | 内側型膝OA患者の歩行の特徴 | 5 |
| 問49 | 午後 | 専門一般 | 骨折の名称と発生部位の組合せ | 3・4 |
| 問88 | 午後 | 共通 | 変形性股関節症の疫学と危険因子 | 5 |
| 問89 | 午後 | 共通 | 後縦靱帯骨化症の特徴 | 3 |
| 問90 | 午後 | 共通 | 骨粗鬆症の危険因子 | 2 |
| 問94 | 午後 | 共通 | 転移性骨腫瘍の特徴と対応 | 5 |
午前 問1(実地・正答 5) 問題を見る →
ポイント:膝前十字靱帯損傷の予防では、着地やカッティング時のknee-in(膝外反)を防ぐ神経筋トレーニングが柱となる。体幹深層筋と股関節周囲の制御を高め、静的な姿勢保持課題から動的なバランス課題へ段階的に進めるのが適切である。
- ❌ 1:後方重心の着地は膝伸展位となり、大腿四頭筋の牽引で脛骨が前方偏位して前十字靱帯への負荷が増す。股関節・体幹を屈曲した着地を指導する。
- ❌ 2:予防に有効なのは腹横筋や多裂筋など体幹深層筋による安定化であり、浅層筋のみの強化では骨盤・下肢のアライメント制御は得られにくい。
- ❌ 3:制御すべきは股関節・体幹という近位部で、下肢遠位筋の協調性訓練だけでは着地時の膝外反を防げない。近位部の神経筋制御を優先する。
- ❌ 4:予防すべきは内反位ではなく外反位(knee-in、toe-out)である。着地時に膝が内側に入らないように指導するのが正しい。
- ⭕ 5:静的な姿勢保持で支持性を獲得してから動的バランスやジャンプ着地課題へ進める段階的展開は、予防的神経筋トレーニングの原則にかなう。
午前 問4(実地・正答 3) 問題を見る →
ポイント:McMurrayテストが陽性で単純エックス線に異常がないことから半月板損傷が疑われる。半月板や靱帯などの軟部組織の描出に最も優れ、非侵襲的に評価できるMRIが次に行うべき検査である。
- ❌ 1:関節造影は造影剤を関節内に注入する侵襲的検査で、現在は半月板評価の第一選択としてMRIに置き換わっている。
- ❌ 2:CTは骨性病変や骨折の評価に優れるが、軟部組織のコントラスト分解能が低く半月板損傷の描出には不向きである。
- ⭕ 3:MRIは軟部組織のコントラストに優れ、半月板・靱帯・軟骨を非侵襲的に描出できる。半月板損傷診断の第一選択である。
- ❌ 4:PETは腫瘍や炎症の糖代謝を画像化する検査で悪性腫瘍の検索が主目的であり、半月板損傷の診断には用いない。
- ❌ 5:SPECTは血流や骨代謝の分布をみる核医学検査で空間分解能が低く、半月板の形態評価はできない。
午前 問15(実地・正答 3) 問題を見る →
ポイント:内側型変形性膝関節症で骨癒合が問題となる術式は高位脛骨骨切り術であり、公式正答と選択肢から、術後写真はプレート固定された骨切り部を示すと考えられる。骨癒合促進には低出力パルス超音波(LIPUS)が用いられる。
- ❌ 1:温熱療法は循環改善や疼痛緩和に有用だが骨癒合促進の効果は確立しておらず、金属固定材周囲では加温にも注意を要する。
- ❌ 2:牽引療法は骨切り部に離開方向の力を加えることになり、骨癒合にはむしろ不利で目的に合わない。
- ⭕ 3:低出力パルス超音波(LIPUS)は非温熱作用で骨形成を促進し、骨癒合促進を目的に臨床で用いられている。
- ❌ 4:一般的な治療的電気刺激は筋力維持や疼痛緩和を目的とするもので、骨癒合促進を第一の目的とする治療ではない。
- ❌ 5:極超短波などの電磁波療法は体内金属で発熱を生じる危険があり、内固定材のある部位には原則として用いない。
午前 問17(実地・正答 3) 問題を見る →
ポイント:公式正答と選択肢の内容から、術後エックス線写真は左足関節を金属で内固定した所見(足関節固定術など)と考えられる。骨癒合までは足関節の運動と荷重を制限するため、固定範囲外の膝関節などの可動域練習を積極的に行う。
- ❌ 1:骨癒合前の全荷重は固定性を損なう危険があり、原則として一定期間の免荷または部分荷重から段階的に進める。
- ❌ 2:体内に金属の内固定材があるため、極超短波などの電磁波療法は発熱の危険があり原則として避けるべきである。
- ⭕ 3:膝関節は固定範囲外であり、拘縮や筋力低下を防ぐため術後早期から積極的に可動域練習を行うことができる。
- ❌ 4:足指も固定範囲外であり、浮腫や拘縮を防ぐため外固定が外れるのを待たず早期から可動域練習を開始する。
- ❌ 5:骨癒合までの保護はギプスなどの外固定と荷重制限で行う。短下肢装具は内固定材の破損を防ぐためのものではない。
午前 問31(専門一般・正答 5) 問題を見る →
ポイント:変形性股関節症では疼痛や関節破壊に伴い中殿筋を中心とした股関節外転筋の機能が低下する。そのため患側単脚支持時に骨盤を水平に保てず遊脚側の骨盤が下がるTrendelenburg徴候がみられる。
- ❌ 1:Tinel徴候は末梢神経の障害部位を叩打すると支配領域に痛みや異常感覚が走る所見で、手根管症候群などでみられる。
- ❌ 2:Froment徴候は尺骨神経麻痺で母指内転筋が働かず、紙をつまむと母指IP関節が屈曲する所見である。
- ❌ 3:Romberg徴候は閉眼により立位の動揺が著明に増す所見で、脊髄後索障害などの深部感覚障害を示す。
- ❌ 4:Lhermitte徴候は頸部を前屈すると背部から下肢へ電撃痛が走る所見で、頸髄病変や多発性硬化症でみられる。
- ⭕ 5:股関節外転筋力の低下を反映する所見であり、変形性股関節症でみられる代表的な徴候である。
午前 問38(専門一般・正答 1) 問題を見る →
ポイント:大腿切断後は腸腰筋や股関節外転筋の作用が優位となり、股関節の屈曲・外転拘縮を生じやすい。切断側の股関節を伸展位に保てる腹臥位が屈曲拘縮の予防に有効で、屈曲位・外転位を長時間とる姿勢は避ける。
- ⭕ 1:腹臥位では切断側の股関節が伸展位に保たれるため、屈曲拘縮の予防に最も適している。
- ❌ 2:長時間の車椅子座位は股関節屈曲位を持続させるため、屈曲拘縮を助長する。
- ❌ 3:大腿下に枕を入れると股関節が屈曲位となり、屈曲拘縮を招くため避ける。
- ❌ 4:股関節・膝関節屈曲位の側臥位は屈曲位を保持する姿勢であり、屈曲拘縮の予防にならない。
- ❌ 5:両大腿部内側に枕を入れると股関節が外転位となり、外転拘縮を生じやすい。
午前 問42(専門一般・採点除外) 問題を見る →
ポイント:本問は採点除外となった問題です。採点除外は全員に得点が与えられるのではなく、その問題自体が採点対象から外れ、満点(分母)が減る扱いです。第59回理学療法士では本問(午前42問・一般問題)が除外され、満点は280点→279点、実地は120点のままです。設問は「組合せ」としながら各選択肢は単一のアライメントしか示しておらず、アキレス腱炎で問題となる後足部の過剰プロネーション(下腿内旋・前足部外転など一連の連鎖)を一つの肢に帰属させられなかったため、一意の正解を定められなかったと考えられます。
- ❌ 1:骨盤後傾位はアキレス腱への局所的な力学的負荷を説明するアライメント異常として通常挙げられない。
- ❌ 2:下腿内旋位は後足部の過剰プロネーションに伴い腱の捻れ負荷を高める要素だが、本問は採点除外で正答としては扱われない。
- ❌ 3:踵骨底屈位は腱の短縮に関わりうるが、本症では通常むしろ足関節背屈制限として論じられる。
- ❌ 4:扁平化した足部では立方骨は下方に落ち込むとされ、上方偏位という記載は一般的でない。
- ❌ 5:ショパール関節外転位は過剰プロネーションの構成要素で、腱への負荷増大への関与を否定しきれない。
午前 問90(共通・正答 3) 問題を見る →
ポイント:骨粗鬆症は閉経後・加齢による原発性が約9割を占め、ステロイド性などの続発性より多い。国内の推計患者数は1,000万人を超え、骨折は脊椎椎体が最も多い。
- ❌ 1:閉経後のエストロゲン低下が主因で、患者は女性が男性より圧倒的に多い。
- ❌ 2:骨密度には遺伝的素因が強く関与し、大腿骨頸部骨折の家族歴は危険因子とされる。
- ⭕ 3:正しい。閉経後・老人性の原発性骨粗鬆症が大多数を占め、続発性より多い。
- ❌ 4:最も多いのは脊椎椎体骨折で、大腿骨近位部骨折はそれに次ぐ頻度である。
- ❌ 5:40歳以上の推計患者数は約1,280万〜1,590万人とされ、約100万人という数字は過小である。
午後 問7(実地・正答 1) 問題を見る →
ポイント:足関節外側靱帯損傷では、固定による背屈制限や下腿三頭筋の短縮を防ぐため、早期から足関節周囲筋のストレッチを行う。装具で保護しながら荷重歩行を進め、バランスや筋力の練習は易しい条件から段階的に負荷を高める。
- ⭕ 1:正しい。10日間の固定後は背屈制限や腓腹筋の短縮が生じやすいため、足関節周囲筋のストレッチが必要である。
- ❌ 2:圧痛が残る時期でも装具で保護すれば荷重歩行は可能であり、圧痛消失まで待つと機能回復が遅れる。
- ❌ 3:装具は靱帯の修復と再損傷防止のために用いる。自己判断で早く外すのではなく医師の指示で段階的に離脱する。
- ❌ 4:開眼片脚起立は難度が高い。両脚立位から始め、支持面や視覚条件を変えて段階的に難度を上げるのが原則である。
- ❌ 5:筋力練習は原則として関節への圧縮負荷が少ない開放性運動連鎖から始め、その後CKCへ移行する。
午後 問11(実地・正答 3) 問題を見る →
ポイント:公式正答と選択肢の内容から、エックス線写真は膝蓋骨骨折に対しワイヤー(鋼線)で内固定した術後像と考えられる。膝伸展機構が骨片を引き離す力に配慮して膝関節可動域練習や大腿四頭筋の運動は段階的に進め、更衣は患側から行うよう指導する。
- ❌ 1:内固定が得られていれば骨癒合を待つ必要はなく、疼痛と固定性に応じて段階的に荷重を開始できる。
- ❌ 2:膝蓋骨骨折では膝屈曲が骨片を引き離す力となるため、術直後からの可動域練習は避け段階的に開始する。
- ⭕ 3:正しい。更衣は患側から着て健側から脱ぐと、患側の関節運動や疼痛が最小になり安全である。
- ❌ 4:両松葉杖で階段を降りる際は杖→患側→健側の順で、患側から先に下ろすのが原則である。
- ❌ 5:大腿四頭筋の練習は骨片への牽引力が小さい等尺性運動から始め、その後等張性運動へ進める。
午後 問32(専門一般・正答 5) 問題を見る →
ポイント:内側型変形性膝関節症では疼痛回避のため歩行速度が低下し、床反力の前後成分(制動力・駆動力)は小さくなる。また安定性を確保するため歩隔は広く、両脚支持期は長くなるのが特徴である。
- ❌ 1:誤り。左右の安定性を確保しようとするため、歩隔はむしろ広くなる傾向がある。
- ❌ 2:誤り。歩行速度の低下と安定性の確保により、両脚支持期は長くなる。
- ❌ 3:誤り。歩幅(歩行速度)の減少に伴い、骨盤の回旋はむしろ小さくなる。
- ❌ 4:誤り。歩幅の減少や膝屈曲拘縮の影響で、立脚後期の股関節伸展角度は減少する。
- ⭕ 5:正しい。歩行速度が低下するため、床反力の前後方向成分である制動力・駆動力はともに小さくなる。
午後 問49(専門一般・正答 3・4) 問題を見る →
ポイント:人名を冠する骨折は部位の対応を正確に覚えることが要点。Galeazzi骨折は橈骨遠位部の骨折に遠位橈尺関節脱臼を伴うもの、Jefferson骨折は軸圧による環椎(C1)の破裂骨折で、この2つが正しい組合せである。
- ❌ 1:Cotton骨折は足関節の三果骨折(脛骨内果・腓骨外果・脛骨後果)であり、大腿骨の骨折ではない。
- ❌ 2:Dupuytren骨折は腓骨遠位部の骨折に遠位脛腓関節の離断を伴う足関節部の外傷。第1中手骨基部の骨折はBennett骨折である。
- ⭕ 3:Galeazzi骨折は橈骨遠位1/3の骨折と遠位橈尺関節脱臼の組合せであり、部位は橈骨で正しい。
- ⭕ 4:Jefferson骨折は頭頂部への軸圧により環椎の前後の輪が破裂する骨折で、部位は環椎で正しい。
- ❌ 5:Straddle骨折は跨ぐような外力で両側の恥骨上枝・下枝が計4か所折れる骨盤骨折で、上腕骨ではない。
午後 問88(共通・正答 5) 問題を見る →
ポイント:変形性股関節症では、重量物の取り扱いや長時間の立位・歩行など股関節への機械的負荷が大きい職業が発症リスク要因となります。日本では寛骨臼形成不全に続発する二次性が多く、女性に多いのが特徴です。
- ❌ 1:寛骨臼形成不全など股関節の形態には遺伝的要因が関与し、家族集積も報告されている。遺伝の影響を受ける。
- ❌ 2:寛骨臼形成不全が女性に多いことなどから、有病率は男性より女性で高い。逆の記述であり誤り。
- ❌ 3:日本では寛骨臼形成不全などに続発する二次性が大半を占め、一次性の頻度はそれより低い。
- ❌ 4:股関節症では歩容や下肢アライメントの変化を介して変形性膝関節症を合併しやすく、リスクは低くない。
- ⭕ 5:重量物作業や長時間の立位・歩行など股関節への機械的負荷が大きい職業は発症のリスク要因である。正しい。
午後 問89(共通・正答 3) 問題を見る →
ポイント:後縦靱帯骨化症は日本人を含む東アジア人に多く、頸椎に最も多く発生します。骨化巣が脊髄を圧迫すると上位運動ニューロン障害として痙性麻痺や手指の巧緻運動障害、歩行障害を生じます。男性に多く、遺伝的素因も関与します。
- ❌ 1:本症は日本人・東アジア人に多く、欧米人では有病率が低い。記述は逆であり誤り。
- ❌ 2:発生頻度が最も高いのは頸椎で、次に胸椎、腰椎の順に少ない。腰椎に最多という記述は誤り。
- ⭕ 3:骨化巣による脊髄圧迫が進行すると痙性麻痺や歩行障害、巧緻運動障害を生じる。正しい。
- ❌ 4:家族内発症が多く、HLAや遺伝子多型との関連も報告されており、遺伝的素因が関与する。
- ❌ 5:男女比はおよそ2:1で男性に多い。女性の有病率が高いという記述は誤り。
午後 問90(共通・正答 2) 問題を見る →
ポイント:骨粗鬆症の危険因子には長期臥床(不動)、閉経後のエストロゲン低下、原発性副甲状腺機能亢進症、ステロイド長期投与などがあります。ビタミンではDとKの不足、およびAの過剰摂取が問題となり、ビタミンAの不足は危険因子ではありません。
- ❌ 1:長期臥床は骨への機械的刺激を失わせて骨吸収を促進し、不動性骨萎縮を招く。危険因子であり正しい。
- ⭕ 2:危険因子となるのはビタミンAの過剰摂取であり、不足ではない。不足が問題になるのはビタミンDとK。誤りであり正解。
- ❌ 3:エストロゲンは骨吸収を抑制するため、閉経などによる減少は骨密度低下を招く。危険因子であり正しい。
- ❌ 4:副甲状腺ホルモンの過剰分泌により骨吸収が亢進し、続発性骨粗鬆症をきたす。危険因子であり正しい。
- ❌ 5:ステロイドは骨形成抑制と腸管カルシウム吸収低下を招き、続発性骨粗鬆症の代表的原因である。正しい。
午後 問94(共通・正答 5) 問題を見る →
ポイント:造骨性(骨硬化性)転移では骨が硬化するため病的骨折は溶骨性転移に比べて少なく、正しい記述です。転移性骨腫瘍は脊椎・骨盤・大腿骨近位・肋骨など体幹に近い部位に好発し、骨吸収の亢進により高カルシウム血症をきたします。
- ❌ 1:好発部位は胸腰椎・骨盤・大腿骨近位・肋骨など体幹に近い部位で、頭蓋骨は比較的少ない。
- ❌ 2:前立腺癌の骨転移は造骨性(骨硬化性)が多い。溶骨性が多いのは肺癌・腎癌・乳癌などである。
- ❌ 3:骨吸収の亢進や腫瘍によるPTH関連蛋白の産生により高カルシウム血症をきたす。低カルシウム血症は誤り。
- ❌ 4:疼痛には放射線療法や薬物療法が中心となる。腫瘍部位への温熱療法は原則として行わない。
- ⭕ 5:造骨性転移では骨が硬化するため、溶骨性転移に比べて病的骨折は少ない。正しい。
第58回(2023年2月実施)
整形外科として17問が出題されました(実地7問・一般/共通10問、推定配点31点)。全問の正答・解説は 第58回 PT 全問ページ でも確認できます。
| 問 | 時間帯 | 区分 | 何を問うた設問か | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問8 | 午前 | 実地 | 鎖骨骨折術後翌日の理学療法 | 1 |
| 問9 | 午前 | 実地 | 膝OA手術後の理学療法方針 | 4 |
| 問10 | 午前 | 実地 | 手指のスワンネック変形の判別 | 3 |
| 問20 | 午前 | 実地 | TKA術後のCPM装置の使用法 | 2 |
| 問30 | 午前 | 専門一般 | 足関節内反捻挫の再発予防筋 | 5 |
| 問36 | 午前 | 専門一般 | 関節リウマチ分類基準の項目 | 4 |
| 問43 | 午前 | 専門一般 | アキレス腱周囲炎の特徴 | 1 |
| 問88 | 午前 | 共通 | Perthes病の好発と原因 | 3・5 |
| 問89 | 午前 | 共通 | Colles骨折の特徴と合併症 | 4 |
| 問8 | 午後 | 実地 | 上肢骨折術後の理学療法 | 4 |
| 問9 | 午後 | 実地 | 図の所見から整形外科的損傷を同定 | 2 |
| 問19 | 午後 | 実地 | 足関節靱帯損傷急性期の対応 | 1 |
| 問32 | 午後 | 専門一般 | 骨壊死を合併しやすい骨折 | 4 |
| 問42 | 午後 | 専門一般 | 腰椎椎間板ヘルニアの治療方針 | 4 |
| 問43 | 午後 | 専門一般 | 変形性膝関節症への推奨理学療法 | 採点除外 |
| 問88 | 午後 | 共通 | 関節リウマチの手指変形 | 4 |
| 問89 | 午後 | 共通 | CRPS type Ⅰに該当する病態 | 3・4 |
午前 問8(実地・正答 1) 問題を見る →
ポイント:鎖骨骨幹部骨折の観血的整復固定術後は内固定により早期からの管理が可能で、術翌日は浮腫と拘縮の予防を目的に手指・手関節・肘の自動運動から開始する。肩関節は疼痛と固定性を確認しながら段階的に進める。
- ⭕ 1:手指の自動運動は骨折部に負荷をかけずに浮腫や拘縮を予防できるため、術翌日から行う運動として適切である。
- ❌ 2:超音波は体内金属上への照射自体は禁忌ではないが、術直後の創部や急性炎症のある患部への適用は避けるため、術翌日には行わない。
- ❌ 3:肩関節挙上の等張性運動は鎖骨に大きな力を加え、固定部の破綻や疼痛増強を招くため術翌日には行わない。
- ❌ 4:内固定術後は全身安静とせず、離床と非患部の運動を早期から進めることで廃用の予防を図る。
- ❌ 5:術翌日に他動での肩可動域練習を優先するのは適切でなく、疼痛と固定性を確認しつつ愛護的な範囲から段階的に開始する。
午前 問9(実地・正答 4) 問題を見る →
ポイント:55歳でジョギングへの復帰を望む変形性膝関節症では高位脛骨骨切り術が選択されることが多い。公式正答と選択肢から、画像はプレート固定された骨切り術後と考えられ、術後早期からの筋力増強と可動域練習が基本となる。
- ❌ 1:抜釘を待たずにスポーツ復帰は可能で、骨癒合の状態と筋力・可動域の回復をみて時期を判断する。
- ❌ 2:骨癒合まで完全免荷を続けるのではなく、固定性に応じて術後早期から段階的に荷重を進める。
- ❌ 3:外側が高い楔状足底挿板は保存療法で内側の負荷を減らす目的で用いる。骨切りでアライメントを矯正した術後には要さない。
- ⭕ 4:大腿四頭筋の筋力低下は術後早期から進行するため、術直後から等尺性収縮などの筋力増強運動を開始する。
- ❌ 5:2週間の安静は拘縮を招く。可動域練習は疼痛と固定性に応じて術後早期から開始するのが原則である。
午前 問10(実地・正答 3) 問題を見る →
ポイント:PIPが伸展−45°と屈曲位のまま、DIPが伸展30°と過伸展している。この組合せはボタン穴変形に一致し、中央索の断裂により側索が掌側へ滑ることでPIP屈曲・DIP過伸展が生じる。
- ❌ 1:Z変形は母指のMP屈曲・IP過伸展を指す変形で、中指のPIP・DIPに生じた本例の所見とは異なる。
- ❌ 2:鉤爪変形は尺骨神経麻痺などでMP過伸展とPIP・DIP屈曲を呈する。本例はMP伸展0°でDIPも過伸展であり合わない。
- ⭕ 3:中央索の損傷でPIP屈曲・DIP過伸展を呈する変形で、本例の自動可動域の測定値に合致する。
- ❌ 4:Krukenbergは前腕切断端を二指状に形成する手術の名称であり、指の変形を表す用語ではない。
- ❌ 5:スワンネック変形はPIP過伸展・DIP屈曲を示す。本例のPIP屈曲位・DIP過伸展とは正反対である。
午前 問20(実地・正答 2) 問題を見る →
ポイント:CPMは関節を持続的に他動運動させ、可動域の改善と拘縮・癒着の予防を図る装置である。疼痛や腫脹の程度をみながら、ゆっくりした速度で屈曲角度を段階的に拡大していく。
- ❌ 1:他動運動であり随意的な筋収縮を伴わないため筋力増強にはならない。目的は可動域の維持・改善である。
- ⭕ 2:疼痛や創部の状態に応じて屈曲角度を少しずつ広げていくのが正しい使い方であり、術後の可動域改善につながる。
- ❌ 3:速い速度での運動は疼痛や炎症、腫脹を増強させる。ゆっくりした速度で行うのが原則である。
- ❌ 4:患者は力を抜いて装置の動きに委ねる。抵抗をかけると他動運動という装置の目的から外れてしまう。
- ❌ 5:アーム長は患者の大腿長・下腿長に合わせて調整する。決められた長さのものを使うわけではない。
午前 問30(専門一般・正答 5) 問題を見る →
ポイント:足関節内反捻挫は、足部が内がえし・底屈位に強制されて前距腓靱帯などを損傷する。再発予防には外がえしに働く腓骨筋群、なかでも長腓骨筋の筋力増強と固有感覚(バランス)練習が有効である。
- ❌ 1:下腿三頭筋は主に足関節底屈に働く筋で、内がえしを制動する作用は乏しく再発予防の主体にならない。
- ❌ 2:後脛骨筋は内がえし作用をもつ筋であり、強化しても内反ストレスの制動にはつながらない。
- ❌ 3:前脛骨筋は背屈と内がえしに働く筋で、むしろ内反を助長する方向の作用をもつ。
- ❌ 4:長指屈筋は足趾の屈曲が主たる作用で、外がえし方向への制動力は小さい。
- ⭕ 5:正しい。長腓骨筋は外がえし・底屈に働き、内反ストレスに拮抗するため再発予防に最も有効である。
午前 問36(専門一般・正答 4) 問題を見る →
ポイント:2010年ACR/EULAR関節リウマチ分類基準は、①罹患関節の数と大きさ、②血清学的検査(RF・抗CCP抗体)、③急性期反応物質(CRP・赤沈)、④滑膜炎の持続期間(6週未満/6週以上)の4領域を点数化し、合計6点以上でRAと分類する。
- ❌ 1:炎症反応(CRP・赤沈)は急性期反応物質の領域として基準に含まれている。
- ❌ 2:リウマトイド因子と抗CCP抗体は血清学的検査の領域として基準に含まれている。
- ❌ 3:滑膜炎の持続期間(6週未満/6週以上)が罹患期間の領域として基準に含まれている。
- ⭕ 4:正しい。朝のこわばりは1987年のACR分類基準の項目で、2010年の分類基準には含まれない。
- ❌ 5:腫脹または圧痛のある関節数は最大5点が配点される、基準の中心となる領域である。
午前 問43(専門一般・正答 1) 問題を見る →
ポイント:アキレス腱周囲炎は腱を包むパラテノンの炎症で、ランニングやジャンプなど腱への反復負荷が原因となる。スポーツ活動層から中高年の男性に多い。治療は安静・ストレッチ・踵の補高などの保存療法が基本である。
- ⭕ 1:男性に多いとされる。ランニングやジャンプなど腱への反復負荷を受ける機会が多いことが背景にある。
- ❌ 2:保存療法が基本である。難治例に腱周囲の癒着剝離などを行うことはあるが、手術は第一選択ではない。
- ❌ 3:腱の変性にスポーツ負荷が加わる成人〜中高年に多い。小児の踵部痛はSever病(踵骨骨端症)を考える。
- ❌ 4:Thompsonテスト(下腿三頭筋を握っても足関節が底屈しない)はアキレス腱断裂の所見で、周囲炎では陰性である。
- ❌ 5:つま先を高くすると腱の伸張が増して悪化する。逆に踵を補高して腱の張力を減らす足底板・靴が有効である。
午前 問88(共通・正答 3・5) 問題を見る →
ポイント:Perthes病は大腿骨頭(近位骨端部)の阻血性壊死で、4〜8歳の男児に好発する。多くは片側性で、跛行や股関節・大腿・膝の痛みで気づかれ、股関節の外転・内旋制限を認める。骨頭の圧潰を防ぐため免荷や骨頭を臼蓋に包み込む治療が行われる。
- ❌ 1:男児が女児のおよそ4〜5倍と多く、女児に多いという記述は誤りである。
- ❌ 2:軽微な外傷が受診契機となることはあるが、原因は骨端部の血行障害であり、外傷が誘因となる疾患ではない。
- ⭕ 3:大部分が片側性の発症で、両側性は1割程度にとどまる。正しい記述であり正答の一つ。
- ❌ 4:好発年齢は4〜8歳前後で、12歳以降の発症はまれである。年長発症例は予後不良とされる。
- ⭕ 5:大腿骨頭骨端(近位骨端部)への血流が阻害されて阻血性壊死を来すのが本態である。正答の一つ。
午前 問89(共通・正答 4) 問題を見る →
ポイント:Colles骨折は手掌をついて転倒した際に生じる橈骨遠位端骨折で、遠位骨片が背側・橈側へ転位しフォーク状変形を呈する。骨粗鬆症を背景に高齢女性に多く、正中神経障害や複合性局所疼痛症候群、腱断裂を合併しうる。
- ❌ 1:骨粗鬆症を背景とするため閉経後の高齢女性に多く、小児に多いという記述は誤りである。
- ❌ 2:骨折部位は橈骨遠位端であり、尺骨遠位端の骨折ではない(尺骨茎状突起骨折を合併することはある)。
- ❌ 3:遠位骨片は背側・橈側に転位しフォーク状変形となる。掌側転位を示すのはSmith骨折である。
- ⭕ 4:腫脹や骨片転位により手根管内の正中神経が圧迫され、しびれや母指球筋の障害を来しうる。正答。
- ❌ 5:Garden分類は大腿骨頸部骨折の分類である。Colles骨折ではFrykman分類やAO分類が用いられる。
午後 問8(実地・正答 4) 問題を見る →
ポイント:6歳児が転倒し同日緊急手術を受けたという経過から、上腕骨顆上骨折に対する整復・ピンニングなどが行われたと考えられる。肘周囲は再転位や骨化性筋炎の危険があり、肘の可動域練習は仮骨形成を確認してから開始する。
- ❌ 1:術後1週では骨癒合が得られておらず、患部の筋力増強運動は再転位を招く危険がある。この時期は固定を保ち、隣接関節の自動運動にとどめる。
- ❌ 2:肘関節への他動運動は骨化性筋炎や異所性骨化を誘発しやすく、原則として自動運動を優先する。他動を優先するという記載は逆である。
- ❌ 3:肩関節は固定の範囲外であり、拘縮予防のため術直後から自動運動を行える。2週間待つ必要はなく、開始時期として遅すぎる。
- ⭕ 4:肘関節の可動域練習は、エックス線で仮骨形成が確認され骨癒合が進んでから開始する。早期の運動は再転位や骨化性筋炎の原因となる。
- ❌ 5:術後翌日の急激な痛みは、Volkmann拘縮に至りうるコンパートメント症候群の初発徴候である。運動を続けず、直ちに医師に報告する必要がある。
午後 問9(実地・正答 2) 問題を見る →
ポイント:公式正答が右股関節脱臼であることから、図は背臥位で両膝を立てた際に右膝の高さが低くなるAllis徴候のような、右下肢の相対的な短縮を示す所見と考えられる。股関節脱臼では骨頭が臼蓋から後上方へ移動して患側下肢が短縮する。
- ❌ 1:仙腸関節機能不全では仙腸関節部の圧痛やPatrickテスト陽性などが手がかりとなる。下肢長の左右差として現れる所見ではない。
- ⭕ 2:股関節脱臼の大半を占める後方脱臼では骨頭が後上方へ逸脱し、患側下肢が短縮して屈曲・内転・内旋位をとる。膝の高さの左右差として観察される。
- ❌ 3:膝蓋骨脱臼は膝蓋骨が外側へ偏位し、膝前面の変形と腫脹、膝の伸展困難が所見となる。下肢長の左右差は生じない。
- ❌ 4:半月板損傷は関節裂隙の圧痛やMcMurrayテスト陽性、ロッキングなど膝局所の所見が中心で、下肢の短縮を示す所見にはならない。
- ❌ 5:後十字靱帯損傷では膝屈曲位で脛骨が後方へ落ち込む後方サギング徴候がみられる。股関節レベルの下肢短縮とは異なる所見である。
午後 問19(実地・正答 1) 問題を見る →
ポイント:足関節外側靱帯損傷の急性期はRICE(安静・冷却・圧迫・挙上)が基本である。受傷直後は装具やテーピングなどで患部を固定して安静を保ち、修復途上の靱帯に伸張ストレスを加えないようにする。
- ⭕ 1:受傷日から固定を行って患部の安静を保つのは急性期対応の基本。腫脹と疼痛を抑え、損傷靱帯の伸張や再受傷を防ぐ。
- ❌ 2:受傷日から積極的に可動域練習を行うと、修復途上の靱帯を伸張して腫脹や疼痛を悪化させる。可動域練習は炎症が落ち着いてから始める。
- ❌ 3:急性期に入浴などで血液循環を促すと腫脹と内出血が助長され、炎症はむしろ悪化する。この時期は温めるのではなく冷却する。
- ❌ 4:鎮痛薬で痛みを隠して翌日の試合に出れば損傷を悪化させ、足関節不安定症を残す危険が高い。競技復帰は治癒の程度をみて判断する。
- ❌ 5:氷水で常に冷やし続けると凍傷や神経障害を起こす危険がある。冷却は15〜20分程度を目安に、間隔をあけて反復して行う。
午後 問32(専門一般・正答 4) 問題を見る →
ポイント:骨壊死は骨折によって栄養血管が遮断される部位で生じやすい。大腿骨頸部骨折は関節包内骨折で、骨頭を栄養する内側大腿回旋動脈由来の支帯動脈が損傷され、大腿骨頭壊死や偽関節を合併しやすい。
- ❌ 1:鎖骨遠位部骨折は転位や偽関節を生じうるが血行は保たれ、骨壊死が問題となることは少ない。
- ❌ 2:上腕骨外科頸骨折は骨頭への血行が比較的保たれ壊死はまれ。骨頭壊死は解剖頸骨折で問題となる。
- ❌ 3:中手骨骨幹部骨折は骨膜や周囲軟部組織からの血流が豊富で、骨壊死の合併はまれである。
- ⭕ 4:大腿骨頸部骨折は支帯動脈が断裂しやすく、大腿骨頭壊死や偽関節を合併しやすい。正しい。
- ❌ 5:膝蓋骨骨折は腱や周囲組織からの血行があり、骨壊死よりも膝伸展機構の破綻が問題となる。
午後 問42(専門一般・正答 4) 問題を見る →
ポイント:腰椎椎間板ヘルニアは自然経過で軽快することが多く保存療法が基本である。ただし進行する筋力低下や膀胱直腸障害、保存療法で改善しない激痛では手術療法を考慮する。急性期は短期の安静と薬物による除痛が中心で、牽引や体操療法は疼痛が落ち着いてから行う。
- ❌ 1:牽引療法は急性期には疼痛や神経根の刺激症状を増悪させうる。行うとしても急性期を過ぎてからである。
- ❌ 2:急性期に用いるのは主に軟性コルセット。硬性コルセットの長期装着は体幹筋の廃用を招くため、原則として急性期からは用いない。
- ❌ 3:体操療法(Williams 体操など)は疼痛が軽減した回復期以降に開始する。急性期の強い疼痛時に行うと症状を悪化させる。
- ⭕ 4:正しい。進行性の筋力低下や膀胱直腸障害は手術適応とされ、神経障害の回復のため早期の手術療法を考慮する。
- ❌ 5:数か月のベッド上安静は筋力低下や廃用を招き予後を悪くする。安静は必要最小限(数日程度)とし、早期離床を図る。
午後 問43(専門一般・採点除外) 問題を見る →
ポイント:本問は採点除外となった問題です。採点除外は全員に得点が与えられるのではなく、その問題自体が採点対象から外れ、満点(分母)が減る扱いです。第58回理学療法士では午前96問と本問(午後43問)の一般問題2問が除外され、総得点の満点は280点から278点に減り、実地問題は120点のまま据え置かれました。
- ❌ 1:干渉波療法などの電気刺激・物理療法は疼痛軽減の報告はあるが、ADL 改善を支持する根拠としては弱い。
- ❌ 2:大腿四頭筋を中心とした筋力増強運動は疼痛・機能改善の根拠が強く多くの受験者が選んだが、公式には正答が示されていない。
- ❌ 3:振動刺激療法(全身振動刺激など)は報告が増えているが、軽症例の ADL 改善を示す記載は限定的である。
- ❌ 4:足底挿板(外側楔状足底板など)は内側型膝 OA で用いられるが、ADL 改善効果の扱いはガイドラインの版により異なる。
- ❌ 5:バランス練習は転倒予防や身体機能改善に用いられるが、単独で ADL が改善するという推奨としての位置づけは明確でない。
午後 問88(共通・正答 4) 問題を見る →
ポイント:関節リウマチでは滑膜炎による関節破壊の結果、MP関節の尺側偏位、スワンネック変形、ボタン穴変形、高度の骨吸収によるオペラグラス変形(ムチランス型)が生じる。フォーク状変形は外傷による変形で、関節リウマチでは起こりにくい。
- ❌ 1:オペラグラス変形は高度な骨吸収で指が短縮し伸縮する変形(ムチランス型)で、関節リウマチで生じ得る。
- ❌ 2:尺側偏位はMP関節の滑膜炎と支持組織の破綻により手指が尺側へ偏る、関節リウマチに特徴的な変形である。
- ❌ 3:スワンネック変形はPIP関節過伸展・DIP関節屈曲を示す変形で、関節リウマチの代表的手指変形である。
- ⭕ 4:○(起こりにくい)。フォーク状変形は橈骨遠位端骨折(Colles骨折)で遠位骨片が背側転位して生じる外傷性変形である。
- ❌ 5:ボタン穴変形はPIP関節屈曲・DIP関節過伸展を示し、中央索の破綻により関節リウマチで生じる。
午後 問89(共通・正答 3・4) 問題を見る →
ポイント:CRPSは外傷などを契機に持続痛・浮腫・皮膚温や発汗の変化・可動域制限を生じる病態で、明らかな末梢神経損傷を伴わないものがtypeⅠ(旧・反射性交感神経性ジストロフィー)、伴うものがtypeⅡ(旧・カウザルギー)である。
- ❌ 1:幻肢痛は切断により失った肢に感じる痛みで、中枢の再構築が関与する。CRPSの分類には含まれない。
- ❌ 2:視床痛は視床病変による中枢性脳卒中後疼痛であり、外傷などを契機に四肢に生じるCRPSとは病態が異なり分類には含まれない。
- ⭕ 3:○。肩手症候群は脳卒中や心筋梗塞後に肩の痛みと手の腫脹・拘縮を生じる、CRPS typeⅠの代表例である。
- ⭕ 4:○。Sudeck骨萎縮は外傷後に疼痛と斑状の骨萎縮を示す病態で、神経損傷を伴わないCRPS typeⅠにあたる。
- ❌ 5:帯状疱疹後神経痛はウイルスによる神経損傷後の神経障害性疼痛であり、CRPSとは区別される。
この解説について
本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。
出典:「第58回〜第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。
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出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。
最終更新:2026-09-10
監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)
本コンテンツは、職員の受験支援用に作成し、実際に社内で使っている教材を公開しています。
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