呼吸器|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ

理学療法士国家試験の呼吸器分野を、複数年分まとめて対策できるページです。COPD・間質性肺疾患・術後呼吸器合併症・肺気量分画・体位と換気血流比など、呼吸器領域は実地問題と一般問題の両方から幅広く問われます。収録している範囲では、第60回は17問、第61回は6問を呼吸器分野として整理しました。年度をまたいで解くことで、繰り返し問われるテーマが見えてきます。

問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

収録状況

年度実施呼吸器 出題数収録
第61回2026年2月6問✅ 解説あり
第60回2025年2月7問✅ 解説あり
第59回2024年2月4問✅ 解説あり
第58回2023年2月5問✅ 解説あり
第57回2022年2月順次追加

頻出テーマ(複数年で繰り返し問われる論点)

  • COPD:息切れが強くなる動作(上肢挙上)、日常生活動作の指導、mMRCによる息切れ評価
  • 呼吸機能・肺気量分画:FEV1・FRC・TLC・PEF・IRVの変化、肺胞換気量の算出
  • 体位と換気血流比:腹臥位による酸素化改善(V/Q比の是正)、体位の使い分け
  • 気道クリアランス:ハフィング・口すぼめ呼吸・排痰手技の適応
  • 重症例・周術期の呼吸理学療法:人工呼吸管理中のROM運動、術後合併症(無気肺・肺炎)の予防、早期離床

第61回(2026年2月実施)

呼吸器として6問が出題されました(実地3問・一般/共通3問、推定配点12点)。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問9午前実地人工呼吸管理中の術後急性期リハ5
問23午前専門一般COPDで息切れしやすいADL動作2
問44午前専門一般COPDで増加する肺気量分画2・3
問45午前専門一般腹臥位が呼吸に及ぼす効果5
問8午後実地COPDの呼吸困難軽減の生活指導3
問9午後実地開腹術後の呼吸器合併症予防1

午前 問9(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:高用量昇圧剤で血圧を維持する不安定な循環動態。能動的運動は禁忌に近く、下肢への神経筋電気刺激(NMES)が最も安全に廃用予防できる。

  • 1:能動的座位は循環変動を招き、高用量昇圧剤下では危険。
  • 2:呼吸筋トレーニングは循環動態が不安定な時期には優先度が低い。
  • 3:持久性運動は循環負荷が大きく不適。
  • 4:股関節伸展ROMも侵襲的で優先度は低い。
  • 5:NMESは能動的な循環負荷をかけずに下肢筋の廃用を予防でき、鎮静・昇圧剤下でも実施可能。

午前 問23(専門一般・正答 2) 問題を見る →

ポイント:COPDでは上肢挙上を伴う動作で呼吸補助筋が使えず息切れが強い。洗髪は上肢を挙上・保持するため最も息切れが生じやすい。

  • 1:食事は上肢挙上が少なく息切れは軽い。
  • 2:洗髪は両上肢を頭上に挙げ保持するため、呼吸補助筋が使えず息切れが最も強い。
  • 3:排尿は軽負荷。
  • 4:歯磨きは上肢挙上が軽度。
  • 5:ズボンの着脱は前かがみだが上肢挙上保持は少ない。

午前 問44(専門一般・正答 2・3) 問題を見る →

ポイント:COPDでは気流閉塞・エアトラッピングにより機能的残気量(FRC)と全肺気量(TLC)が増加する。

  • 1:1秒量(FEV1)は気流閉塞により低下する。
  • 2:機能的残気量(FRC)はエアトラッピングで増加する。
  • 3:全肺気量(TLC)は肺の過膨張により増加する。
  • 4:ピークフロー(PEF)は低下する。
  • 5:予備吸気量(IRV)は肺の過膨張により減少する。

午前 問45(専門一般・正答 5) 問題を見る →

ポイント:腹臥位では重力により肺の腹側(下側になる背側優位から変化)へ血流分布が変化し、換気血流比が改善する。背臥位に比べ腹側(前胸部側)への血流分布が増える。

  • 1:腹臥位は上部胸式呼吸を特に促進しない。
  • 2:排痰は体位ドレナージの原理で、腹臥位が特に左舌区の排痰を促すわけではない。
  • 3:腹臥位で肺活量が座位より増加はしない。
  • 4:換気分布は重力依存で、肺尖部に特に多く分布はしない。
  • 5:腹臥位では背臥位に比べ肺の腹側への血流分布が増え、換気血流不均衡が改善する。

午後 問8(実地・正答 3) 問題を見る →

ポイント:COPDの息切れ軽減には上肢挙上を避けることが重要。洗濯物を肩より低い位置に干すことで、上肢挙上に伴う呼吸補助筋の使用制限を避け、息切れを軽減する。

  • 1:布団は立ち座り動作で息切れを増す。ベッドが望ましい。
  • 2:階段は呼気時(口すぼめ呼吸の呼気)に昇段する。吸気時ではない。
  • 3:洗濯物を肩より低い位置に干すことで上肢挙上を避け、息切れを軽減できる。
  • 4:前かがみ姿勢は横隔膜を圧迫し息切れを増強する。
  • 5:低いシャワーチェアは立ち座りの負担が大きい。適切な高さの椅子が望ましく、「低い」が不適。

午後 問9(実地・正答 1) 問題を見る →

ポイント:開腹術後で高リスク(低栄養BMI17、%1秒量低下、Brinkman1000)。呼吸器合併症(無気肺・肺炎)予防に、口すぼめ呼吸で気道虚脱を防ぎ換気を改善する指導が適切。

  • 1:口すぼめ呼吸は呼気時の気道虚脱を防ぎ、換気を改善し無気肺を予防する。
  • 2:頭側10度では不十分。無気肺予防には座位〜ファウラー位(30度以上)が望ましい。
  • 3:満腹時の運動は横隔膜を圧迫し誤嚥・不快を招くため不適。
  • 4:創痛を理由に咳嗽を控えると喀痰貯留で無気肺・肺炎を来す。創部を保護して排痰を促す。
  • 5:術後は早期離床が原則で、1週間ベッド上安静は廃用と合併症を招く。

第60回(2025年2月実施)

呼吸器として7問が出題されました(実地5問・一般/共通2問、推定配点17点)。全問の正答・解説は 第60回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問2午前実地人工呼吸管理中の理学療法の選択4
問3午前実地気胸合併例の呼吸理学療法の適否採点除外
問14午前実地癌性胸膜炎での排痰指導の適否4
問16午前実地腹臥位でPaO2が改善する機序2
問35午前専門一般酸素療法機器の分類と特徴5
問36午前専門一般口すぼめ呼吸の指導内容3
問14午後実地間質性肺疾患の理学療法選択4

午前 問2(実地・正答 4) 問題を見る →

ポイント:人工呼吸管理下で酸素化が不良、かつ血圧変動が大きい不安定な時期である。この段階では循環・呼吸への負荷が小さい介入を選ぶ。廃用予防を目的とした関節可動域運動が最も適切である。

  • 1:気管切開下では声門が閉じず有効な咳嗽が成立しにくい。肺炎もなく優先度は低い。
  • 2:酸素化不良と血圧変動が大きい現時点では歩行の負荷が大きく、時期尚早である。
  • 3:起立・移乗も循環動態への負荷が大きく、血圧変動が大きい段階では適さない。
  • 4:循環・呼吸への負荷が小さく、拘縮予防として不安定な時期でも実施しやすい。最も適切。
  • 5:息こらえを伴い血圧が上昇しやすく、血圧変動の大きい本例では原則として避ける。

午前 問3(実地・採点除外) 問題を見る →

ポイント:本問は採点除外となった問題です。採点除外は全員に得点が与えられるのではなく、その問題自体が採点対象から外れ、満点(分母)が減る扱いです(第60回理学療法士は採点除外3問のうち2問が実地問題であるため、満点280点→273点、実地120点→114点となりました)。気胸を合併して経鼻酸素療法中という時期に、安静度・胸郭拡張手技・運動強度・吸気筋トレーニング・人工呼吸器離脱指標のどれが許容されるかが問われましたが、設問・選択肢の記載が不明確で一意の正解を定められないと判断されました。以下は学習用に各肢の考え方を整理したものです。

  • 1:酸素療法中でも一律の床上安静は廃用を進める。気胸の程度に応じ離床を進めるのが原則。
  • 2:気胸側の胸郭を広げる手技は空気漏れを助長しうるため、原則として行わない。
  • 3:修正Borgスケール9は「非常に強い」に相当し、呼吸不全のある本例には過大な負荷。
  • 4:吸気筋トレーニングは吸気圧負荷をかけるため、気胸が残る時期には原則として避ける。
  • 5:f/TV(rapid shallow breathing index)は高値ほど離脱困難を示す指標で、筋力増強の適応根拠にはならない。

午前 問14(実地・正答 4) 問題を見る →

ポイント:癌性胸膜炎で両側胸水があり、痰が多く努力性咳嗽を繰り返している。声門を開いたまま強制呼出するハフィングは、疲労や胸腔内圧の過度な上昇を抑えながら排痰でき、最も適切である。

  • 1:胸水貯留下の背臥位は呼吸困難を増悪させやすく、上体を挙げた起坐位などが望ましい。
  • 2:安静時にも呼吸困難がある段階であり、まず排痰と呼吸困難の緩和を優先する。
  • 3:意識清明でSpO₂95%と全身状態は保たれており、中止ではなく内容の調整で対応する。
  • 4:声門を開いた強制呼出で、努力性咳嗽より負担を抑えて排痰できる。本例に適する。
  • 5:呼気時の末梢気道虚脱を防ぐ手技で主にCOPDに有効。胸水による拘束性病態では効果が乏しい。

午前 問16(実地・正答 2) 問題を見る →

ポイント:腹臥位では背側の虚脱していた肺胞が再開通して換気が改善し、血流の多い背側との換気血流比の不均等やシャントが是正される。酸素投与量を変えずにPaO₂が改善した最大の要因である。

  • 1:肺胞膜を介したガス拡散の能力を指し、体位変換で短時間に大きく変化するものではない。
  • 2:背側肺の換気改善により換気血流比不均等とシャントが是正される。腹臥位療法の主機序。
  • 3:気道の容積で規定され体位ではほとんど変わらないため、改善の主因にはならない。
  • 4:先天性の血管短絡であり体位で生じるものではない。本例に示唆する所見もない。
  • 5:酸素10L/分のまま体位のみを変えており、吸入気酸素濃度は変化していない。

午前 問35(専門一般・正答 5) 問題を見る →

ポイント:酸素療法機器は患者の吸気流量をまかなえるかで分類し、鼻カニュラや簡易酸素マスクは低流量系、ベンチュリマスクやネブライザー式酸素吸入器は高流量系である。在宅酸素療法では酸素濃縮器、液体酸素、酸素ボンベが用いられる。

  • 1:鼻カニュラは低流量系です。不足分を室内気で補うため吸入酸素濃度は一定しません。
  • 2:高流量系は乾燥した高流量ガスを送るため、原則として加湿が必要です。
  • 3:日本の医療用酸素ボンベの塗色は黒色です。緑色は配管やアウトレットの識別色です。
  • 4:ベンチュリマスクはベンチュリ効果で空気を巻き込み高流量を作る高流量系です。
  • 5:在宅酸素療法では、空気中の窒素を吸着して酸素濃度を高める酸素濃縮器が主に用いられます。

午前 問36(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:口すぼめ呼吸は呼気時に口をすぼめて気道内圧を高め、末梢気道の虚脱を防いで呼気を促す呼吸法である。呼気が延長して1回換気量が増え、呼吸数は減少する。空気のとらえ込みが減るため機能的残気量は低下する。

  • 1:延長させるのは呼気です。鼻からゆっくり吸い、呼気に吸気の2〜3倍の時間をかけます。
  • 2:1回換気量が増えることで呼吸数はむしろ減少し、頻呼吸の是正につながります。
  • 3:呼気時に末梢気道が虚脱するCOPDなどの閉塞性換気障害がよい適応です。
  • 4:空気のとらえ込みと肺の過膨張が軽減するため、機能的残気量は減少します。
  • 5:頬を膨らませると口腔内で圧が逃げるため、頬は膨らませずゆっくり吐かせます。

午後 問14(実地・正答 4) 問題を見る →

ポイント:間質性肺疾患では肺・胸郭の伸展性低下により頻呼吸となり、呼吸補助筋の過活動と吸気時陥凹を生じる。胸郭の柔軟性を保つ徒手的な胸郭可動域拡大運動が換気効率を高め、呼吸仕事量の軽減に有用である。

  • 1:気道分泌物の貯留を示す所見はなく、間質性肺疾患では分泌物は多くない。不要な吸引は低酸素や苦痛を招く。
  • 2:上肢の筋力増強運動は呼吸補助筋の過用をさらに助長する。安静時も頻呼吸である現時点では優先されない。
  • 3:腹部引き込み動作は体幹深部筋の練習であり、横隔膜の下降を妨げうる。拘束性換気障害の呼吸困難改善にはつながらない。
  • 4:胸郭可動性の低下が呼吸仕事量を高めている。徒手的に胸郭可動域を拡大すると換気効率が改善し補助筋の負担が減る。
  • 5:吸気筋と呼吸補助筋がすでに過活動で呼吸仕事量が高い状態に負荷を加えると、筋疲労と呼吸困難を悪化させる。

第59回(2024年2月実施)

呼吸器として4問が出題されました(実地1問・一般/共通3問、推定配点6点)。全問の正答・解説は 第59回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問19午前実地胸部エックス線写真から病態判別2
問37午前専門一般気管切開患者の痰の吸引手技2・4
問49午前専門一般間質性肺疾患への理学療法2
問41午後専門一般間質性肺疾患の臨床所見2・4

午前 問19(実地・正答 2) 問題を見る →

ポイント:公式正答から、胸部単純エックス線写真では両側下肺野・末梢優位の網状影や輪状影とともに肺野の縮小(横隔膜の挙上)がみられると考えられ、特発性肺線維症などの間質性肺疾患を示唆する所見である。

  • 1:気胸では虚脱した肺の辺縁(臓側胸膜線)が描出され、その外側は肺紋理を欠く無血管領域となる。
  • 2:間質性肺疾患は両側下肺野・胸膜直下優位の網状影や蜂巣肺、肺容積の減少が特徴で、拘束性換気障害を伴う。
  • 3:気管切開術後であれば頸部から気管内に挿入されたカニューレの陰影が確認でき、肺野の変化が主体とはならない。
  • 4:肺葉切除術後では患側の肺容積減少と縦隔・横隔膜の患側偏位、手術に伴う金属ステープルなどが片側性にみられる。
  • 5:慢性閉塞性肺疾患では肺の過膨張により透過性が亢進し、横隔膜の平低化、肋間腔の開大、滴状心などを認める。

午前 問37(専門一般・正答 2・4) 問題を見る →

ポイント:気管吸引ガイドライン2013では、滅菌カテーテルを用いた無菌的(清潔)操作で行うこと、カテーテル先端を気管分岐部に当てない深さにとどめること、吸引圧は最大20kPa(150mmHg)を超えないこと、1回の吸引は短時間で行うことが示されている。

  • 1:捻髪音(fine crackles)は間質病変を示す吸気終末の細かい断続音である。分泌物の存在を示すのは水泡音である。
  • 2:気管以下の下気道は本来無菌であるため、滅菌カテーテルを用いた無菌的(清潔)操作で実施する。
  • 3:推奨吸引圧は最大20kPa(150mmHg)以下で、通常100〜150mmHg程度を用いる。80mmHgでは効果が不十分となりやすい。
  • 4:気管分岐部に当てると粘膜損傷や迷走神経反射(徐脈)を招くため、当たらない深さにとどめる。
  • 5:カテーテルを気道内で上下させるピストン運動は気管壁を損傷するおそれがあり、行わない。

午前 問49(専門一般・正答 2) 問題を見る →

ポイント:間質性肺疾患は拘束性換気障害と労作時低酸素を特徴とし、乾性咳嗽が主体で喀痰は乏しい。呼吸筋トレーニングを含む運動療法は運動耐容能や呼吸困難の改善に有用で、SpO2は原則90%以上を保って実施する。

  • 1:喀痰は乏しく乾性咳嗽が主体であり、体位排痰法の適応は低く優先されない。
  • 2:吸気筋トレーニングは吸気筋力の向上と呼吸困難の軽減が期待でき、指導は適切である。
  • 3:上肢の筋力増強運動も呼吸リハの構成要素であり、行わない理由はない。
  • 4:神経筋電気刺激療法は運動耐容能の低い例で下肢筋力を高める代替手段として用いられる。
  • 5:SpO2 60%は重篤な低酸素で危険。原則90%以上を維持するよう酸素や負荷を調整する。

午後 問41(専門一般・正答 2・4) 問題を見る →

ポイント:間質性肺疾患は肺間質の炎症と線維化により肺が硬くなる疾患群である。換気障害は拘束性で、ガス交換面での拡散障害から低酸素血症を生じる。咳は乾性、聴診では吸気終末のファインクラックル(細かい断続音)が特徴的で、画像では網状影などの線維化所見をみる。

  • 1:線維化が主体で気道分泌物は乏しく、痰のからまない乾性咳嗽(空咳)が特徴である。
  • 2:肺間質の肥厚により肺胞から毛細血管へのガス移動が妨げられ、拡散障害による低酸素血症(特に労作時)を呈する。
  • 3:肺が硬く膨らみにくくなるため%肺活量が低下する拘束性換気障害を呈し、1秒率が低下する閉塞性障害ではない。
  • 4:胸部単純エックス線写真では網状影・輪状影や肺容積の減少といった線維化を反映する所見が認められる。
  • 5:コースクラックル(水泡音)は気道内分泌物による低調で粗い音であり、間質性肺疾患では高調なファインクラックルを聴取する。

第58回(2023年2月実施)

呼吸器として5問が出題されました(実地3問・一般/共通2問、推定配点11点)。全問の正答・解説は 第58回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問18午前実地COPD在宅酸素患者への指導4
問3午後実地胸部CTから低下する呼吸機能1
問18午後実地肺癌手術前後の呼吸理学療法1
問85午後共通Ⅰ型とⅡ型呼吸不全の血液ガス5
問94午後共通気管支喘息に用いる治療薬3

午前 問18(実地・正答 4) 問題を見る →

ポイント:COPDのII型呼吸不全では、体調や呼吸器症状を日誌に記録するセルフモニタリングを行い、増悪の早期発見と活動量の調整に活かす指導が基本となる。酸素流量の自己判断での増量は避ける。

  • 1:上肢挙上の反復は呼吸補助筋の働きを妨げて呼吸困難を強める。動作を分割し休息を挟む工夫を指導する。
  • 2:口すぼめ呼吸は呼気時間を延長して末梢気道の虚脱を防ぐ手技であり、吸気時間の延長が目的ではない。
  • 3:II型呼吸不全では安易な酸素増量がCO2ナルコーシスを招く危険があり、流量は医師の指示を守るよう指導する。
  • 4:日誌への記録は症状の変化や増悪の早期発見に役立ち、活動量や動作方法の調整という生活指導の基礎となる。
  • 5:リラクセーションは呼吸補助筋の過緊張を和らげ呼吸仕事量と呼吸困難を軽減することが主目的で、心理面だけではない。

午後 問3(実地・正答 1) 問題を見る →

ポイント:公式正答が1秒率であることから、CTは気腫性変化(肺野の低吸収域や肺の過膨張)を示すと考えられる。肺気腫では呼気時に末梢気道が虚脱して呼出が制限されるため1秒率が低下し、他の4指標はいずれも増加する。

  • 1:肺気腫では肺の弾性収縮力が失われ、呼気時に末梢気道が虚脱して呼出が妨げられる。その結果1秒量が減り1秒率が低下する。
  • 2:残気量は最大呼気後も肺に残る空気量。気道虚脱による空気とらえこみ(エアトラッピング)のため肺気腫では増加する。
  • 3:気道抵抗は末梢気道の狭窄や呼気時の気道虚脱によって上昇する。肺気腫では低下ではなく増加する。
  • 4:全肺気量は残気量の増加と肺の過膨張を反映して増加する。胸郭が樽状になるのもこの過膨張によるものである。
  • 5:肺コンプライアンスは肺の膨らみやすさを示す。肺胞壁が破壊され弾性収縮力が低下する肺気腫ではむしろ増加する。

午後 問18(実地・正答 1) 問題を見る →

ポイント:6分間歩行距離560m、SpO2 95%以上、ADL自立と運動耐容能は良好である。術前は喀痰喀出のための咳嗽練習や呼吸練習、運動療法を行い、術後は疼痛管理のうえ早期離床を進めるのが原則となる。

  • 1:術前から咳嗽やハフィングの練習を行い、創部痛のある術後でも喀痰を排出できるようにしておく。無気肺や肺炎の予防につながる。
  • 2:上部胸式呼吸は換気効率が悪く下側肺の換気を促さない。術前後に練習するのは横隔膜(腹式)呼吸や下部胸式呼吸である。
  • 3:術前の安静は筋力と運動耐容能を低下させ、術後合併症の危険を高める。耐容能が保たれた本例では術前から運動療法を行う。
  • 4:術後は疼痛管理のうえ早期離床を進めるのが原則で、1週間もベッド上の体位排痰法中心にとどめるのは適切でない。
  • 5:修正Borg指数2は「弱い」程度で負荷が低すぎる。合併症がなければ術後3か月にはより高い強度の運動療法を進めてよい。

午後 問85(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:Ⅰ型呼吸不全はPaCO2が正常(45Torr以下)の低酸素血症で、換気血流比不均等やシャントが原因のため肺胞気−動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)が開大する。Ⅱ型は肺胞低換気が主体でPaCO2が上昇するが、A-aDO2は正常のことが多い。

  • 1:1秒率は気道閉塞の程度を示す指標で、Ⅰ型で増加する項目ではない。COPDによるⅡ型ではむしろ低下する。
  • 2:肺活量は拘束性換気障害で低下する指標であり、Ⅰ型呼吸不全で増加することはない。
  • 3:動脈血酸素分圧はⅠ型・Ⅱ型いずれも定義上60Torr以下に低下しており、増加はしない。
  • 4:動脈血二酸化炭素分圧はⅠ型では正常〜低下、Ⅱ型で45Torrを超えて上昇する。設問と逆の関係である。
  • 5:○。A-aDO2は換気血流比不均等やシャントを反映してⅠ型で開大し、純粋な肺胞低換気によるⅡ型では正常に保たれる。

午後 問94(共通・正答 3) 問題を見る →

ポイント:気管支喘息の本態は気道の慢性炎症であり、その炎症を抑える吸入ステロイドが長期管理の中心的な薬剤である。発作時にも短時間作用性β2刺激薬に加え全身性ステロイドが用いられる。

  • 1:β遮断薬は気管支平滑筋のβ2受容体を遮断して気道を収縮させるため、原則として喘息患者では避ける薬剤である。
  • 2:アスピリンなどのNSAIDsはアスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)の発作を誘発することがあり、治療薬ではない。
  • 3:○。ステロイドは気道の慢性炎症を抑える中心的治療薬で、吸入ステロイドが長期管理の基本である。
  • 4:フロセミドはループ利尿薬で心不全や浮腫に用いる薬剤であり、気管支喘息の治療薬ではない。
  • 5:マクロライド系抗菌薬はびまん性汎細気管支炎などで少量長期投与されるが、喘息の標準治療薬ではない。

この解説について

本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

出典:「第58回〜第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。


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出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

最終更新:2026-09-10

監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)

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