神経筋疾患|第61回 理学療法士国家試験(12問)
第61回理学療法士国家試験の神経筋疾患分野(全12問)です。正答とNetwork-Primer独自解説(正答の理由・各選択肢の○×)を載せています。各問の問番号から、その問題だけのページ(設問文・選択肢つき)に移動できます。200問を通しで解きたいときは第61回 PT 全問ページ(演習モード・自己採点つき)へ。
概要
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題数 | 12問 |
| 実地問題 | 4問(12点) |
| 一般・共通問題 | 8問(8点) |
| 推定配点 | 20点 |
正答一覧
問番号から、その問題だけのページ(設問文・選択肢・正答・解説)に移動します。
| 問 | 時間帯 | 区分 | 何を問うた設問か | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問15 | 午前 | 実地 | 良性発作性頭位めまい症の理学療法 | 1 |
| 問16 | 午前 | 実地 | 多発性硬化症の電撃痛の徴候名 | 4 |
| 問17 | 午前 | 実地 | ALSの下肢筋力低下への理学療法 | 5 |
| 問38 | 午前 | 専門一般 | 腕神経叢損傷の病態と障害部位 | 5 |
| 問40 | 午前 | 専門一般 | Hoehn&Yahr分類ステージⅡの症状 | 4 |
| 問83 | 午前 | 共通 | 多発性硬化症のリハビリ治療 | 3・4 |
| 問84 | 午前 | 共通 | Parkinson病の治療薬の選択 | 2 |
| 問91 | 午前 | 共通 | 感覚障害を合併する神経筋疾患 | 2・5 |
| 問16 | 午後 | 実地 | Parkinson病のWearing-off現象 | 5 |
| 問25 | 午後 | 専門一般 | Guillain-Barré症候群の特徴 | 5 |
| 問42 | 午後 | 専門一般 | 糖尿病性神経障害の特徴的所見 | 4 |
| 問90 | 午後 | 共通 | ALS診断に有用な検査 | 3 |
解説
午前 問15(実地・正答 1) この問題のページ →
良性発作性頭位めまい症(BPPV)は耳石置換法が第一選択。後半規管型に対するEpley法で耳石を卵形嚢へ戻す。
- ⭕ 1:Epley法(耳石置換法)はBPPVの根本治療。発症早期から実施可能。
- ❌ 2:歩行安定性に問題なく杖歩行練習は不要。
- ❌ 3:閉眼バランス練習はBPPVの治療にならない。
- ❌ 4:頭部回旋を避ける指導は代償的で根本治療でない。
- ❌ 5:頸部筋力増強はBPPVと無関係。
午前 問16(実地・正答 4) この問題のページ →
多発性硬化症で頸部前屈時に脊柱に沿って電撃痛が走る=Lhermitte徴候。頸髄後索の脱髄病変を示唆。
- ❌ 1:Barré徴候は錐体路障害の上肢挙上検査。
- ❌ 2:Gowers徴候は筋ジストロフィーの登攀性起立。
- ❌ 3:Horner徴候は縮瞳・眼瞼下垂・発汗低下。
- ⭕ 4:Lhermitte徴候は頸部前屈で背部~下肢に電撃痛が走る、MSに特徴的な所見。
- ❌ 5:Uhthoff徴候は体温上昇で症状悪化する現象。
午前 問17(実地・正答 5) この問題のページ →
ALSで下肢筋力低下・鶏歩(下垂足)がある。過負荷は禁忌だが、プラスチックAFOで下垂足を補正した歩行練習が最も適切。
- ❌ 1:ADL自立段階で車椅子操作練習は時期尚早。
- ❌ 2:漸増抵抗運動(高負荷)はALSでは過用性筋力低下を招き禁忌。
- ❌ 3:両松葉杖は上肢にも負担で、この段階では過剰。
- ❌ 4:ALSは運動神経疾患で感覚は保たれ、感覚再教育は不要。
- ⭕ 5:プラスチックAFOで下垂足を補正し、安全な歩行を維持する。
午前 問38(専門一般・正答 5) この問題のページ →
完全型腕神経叢損傷では、神経叢全体が障害され近位(肩)から遠位(手指)まで全ての運動障害が生じる。
- ❌ 1:末梢神経損傷では深部腱反射は低下・消失する(亢進しない)。
- ❌ 2:完全型(引き抜き損傷)では自然回復は期待できない。
- ❌ 3:下位型(C8-T1)では手内筋が障害され、肘屈曲(C5-6)は保たれる。
- ❌ 4:上位型(C5-6:Erb麻痺)では肩・肘が障害され、手指巧緻運動(C8-T1)は保たれる。
- ⭕ 5:完全型では近位から遠位まで全ての運動障害がみられる。
午前 問40(専門一般・正答 4) この問題のページ →
Hoehn&YahrステージⅡは、両側性の障害があるが姿勢反射障害(バランス障害)はない段階。両上肢の固縮(両側性症状)がⅡの判断根拠。
- ❌ 1:四肢の拘縮は重症度分類の直接指標ではない。
- ❌ 2:頻回の転倒は姿勢反射障害を伴うステージⅢ以上。
- ❌ 3:起立性低血圧は自律神経症状で病期分類の指標でない。
- ⭕ 4:両上肢の固縮=両側性症状はステージⅡ(両側性、姿勢反射障害なし)を示す。
- ❌ 5:Romberg徴候(姿勢バランス)はⅢ以上を示唆。
午前 問83(共通・正答 3・4) この問題のページ →
多発性硬化症のリハでは、運動失調に対する重錘負荷(四肢の安定化)と、視野欠損に対する環境整備(照明の工夫等)が正しい。温熱・高強度運動・体温上昇はUhthoff現象を招くため避ける。
- ❌ 1:痙縮に対する温熱療法は体温上昇でUhthoff現象(症状悪化)を招き不適。
- ❌ 2:1RMを反復する高強度筋力強化は易疲労性のMSでは過用を招き不適。
- ⭕ 3:運動失調に対し重錘を負荷して四肢を安定させる練習は有効。
- ⭕ 4:視野欠損に対し照明など環境整備を行うのは適切。
- ❌ 5:歩行障害に対し一律に早期から下肢装具を作製するのは画一的で、病状に応じて判断すべき。
午前 問84(共通・正答 2) この問題のページ →
Parkinson病の治療薬はL-dopa(レボドパ)。ドパミン前駆物質で不足したドパミンを補充する。
- ❌ 1:NSAIDsは消炎鎮痛薬。
- ⭕ 2:L-dopaはPD治療の中心薬(ドパミン補充)。
- ❌ 3:コリン作動薬はPDではむしろ症状を悪化させる(抗コリン薬が用いられる)。
- ❌ 4:カルシウム拮抗薬は降圧薬。
- ❌ 5:セフェム系抗菌薬は感染症治療薬。
午前 問91(共通・正答 2・5) この問題のページ →
感覚障害を合併するのは多発性硬化症(中枢脱髄)と慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP、末梢脱髄で感覚障害あり)。
- ❌ 1:重症筋無力症は神経筋接合部の障害で感覚障害はない。
- ⭕ 2:多発性硬化症は感覚障害を合併する。
- ❌ 3:筋萎縮性側索硬化症は運動ニューロン疾患で感覚は保たれる。
- ❌ 4:肢帯型筋ジストロフィーは筋疾患で感覚障害はない。
- ⭕ 5:CIDPは脱髄性で感覚障害を合併する。
午後 問16(実地・正答 5) この問題のページ →
L-dopa長期服用で薬効時間が短縮し、次回服薬前に症状が悪化する=Wearing-off現象(薬効の切れ目)。
- ❌ 1:Cushing現象は頭蓋内圧亢進時の血圧上昇・徐脈。
- ❌ 2:On-off現象は服薬と無関係に症状が急変する現象。本例は薬効時間短縮が明確でWearing-offが適切。
- ❌ 3:Pusher現象は脳卒中後の押しつけ現象。
- ❌ 4:Raynaud現象は末梢血管の発作性収縮。
- ⭕ 5:Wearing-off現象はL-dopaの効果持続時間が短縮し、次回服薬前に症状が悪化する運動合併症。
午後 問25(専門一般・正答 5) この問題のページ →
Guillain-Barré症候群は先行感染(上気道・消化管感染)の1-3週後に発症する急性炎症性脱髄性多発神経炎。呼吸器感染を契機とすることが多い。
- ❌ 1:深部腱反射は低下・消失する(末梢神経障害)。
- ❌ 2:全年齢に生じ、小児特有ではない(むしろ成人に多い)。
- ❌ 3:脱髄により神経伝導速度は低下する。
- ❌ 4:感覚障害は軽度で、運動麻痺が主体。四肢遠位から始まる。
- ⭕ 5:上気道・消化管の先行感染(Campylobacter等)の後に発症することが多い。
午後 問42(専門一般・正答 4) この問題のページ →
糖尿病性神経障害は遠位対称性多発神経障害が典型で、下肢遠位から始まる靴下型(手袋靴下型)感覚障害を特徴とする。
- ❌ 1:緩徐進行性で、急激な発症ではない。
- ❌ 2:自律神経障害は生じるが「自律神経過反射」は脊髄損傷の病態。
- ❌ 3:深部腱反射は低下・消失する(亢進ではない)。
- ⭕ 4:下肢遠位優位の靴下型(手袋靴下型)感覚障害が特徴的。
- ❌ 5:遠位筋優位の障害で、近位筋優位ではない。
午後 問90(共通・正答 3) この問題のページ →
ALSは下位運動ニューロン障害を反映する針筋電図(脱神経所見・線維束性収縮)が診断に最も有用。
- ❌ 1:SPECTは脳血流評価でALS診断には不適。
- ❌ 2:頭部CTは他疾患の除外に用いるが確定診断にはならない。
- ⭕ 3:針筋電図は下位運動ニューロン障害(脱神経・再神経支配)を検出し診断に有用。
- ❌ 4:頸部超音波はALS診断の主検査ではない。
- ❌ 5:体性感覚誘発電位は感覚路の評価でALS(運動系)には不適。
関連ページ
出典:「第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。科目分類・要旨・解説はNetwork-Primerが独自に作成したものです。
出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。
最終更新:2026-09-10
監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)
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