義肢装具|第61回 理学療法士国家試験(8問)
第61回理学療法士国家試験の義肢装具分野(全8問)です。正答とNetwork-Primer独自解説(正答の理由・各選択肢の○×)を載せています。各問の問番号から、その問題だけのページ(設問文・選択肢つき)に移動できます。200問を通しで解きたいときは第61回 PT 全問ページ(演習モード・自己採点つき)へ。
概要
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題数 | 8問 |
| 実地問題 | 3問(9点) |
| 一般・共通問題 | 5問(5点) |
| 推定配点 | 14点 |
正答一覧
問番号から、その問題だけのページ(設問文・選択肢・正答・解説)に移動します。
| 問 | 時間帯 | 区分 | 何を問うた設問か | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問3 | 午前 | 実地 | 下腿義足で立脚後期の膝折れの原因 | 5 |
| 問24 | 午前 | 専門一般 | 両側支柱付き長下肢装具の適合判定 | 5 |
| 問29 | 午前 | 専門一般 | 車椅子自走を想定したスロープ長 | 5 |
| 問34 | 午前 | 専門一般 | 装具と適応疾患の組合せ | 4 |
| 問5 | 午後 | 実地 | 橈骨神経麻痺高位型の上肢装具選択 | 4 |
| 問10 | 午後 | 実地 | 思春期特発性側弯症の装具選択 | 4 |
| 問22 | 午後 | 専門一般 | 松葉杖の長さと握りの設定 | 2 |
| 問34 | 午後 | 専門一般 | 図の装具が適応となる疾患 | 5 |
解説
午前 問3(実地・正答 5) この問題のページ →
下腿義足でソケットの初期屈曲角が大きすぎると、立脚後期に体重心が膝軸後方を通りやすくなり膝折れ(膝屈曲モーメント増大)が生じる。
- ❌ 1:前足部が硬すぎるとむしろ立脚後期に膝伸展方向へ働き、膝折れは生じにくい。
- ❌ 2:靴の踵が低いと背屈方向となり、膝は安定方向(伸展)に働く。
- ❌ 3:足部が底屈しすぎると膝伸展モーメントが増え、膝折れは起きにくい(反張膝方向)。
- ❌ 4:ソケットが足部に対して後方(=足部が前方)にあると荷重線が膝軸の前方を通り、生じるのは反張膝であって膝折れではない。
- ⭕ 5:ソケット初期屈曲角が大きすぎると膝軸に対し荷重線が後方を通り、立脚後期に膝折れが生じる。
午前 問24(専門一般・正答 5) この問題のページ →
長下肢装具では、大腿下位半月から膝継手までの距離と、下腿半月から膝継手までの距離が等しくなるように配置し、装具の力学的バランスを取るのが正しい。
- ❌ 1:外側支柱の高さは大転子の1〜2cm下(会陰部より下)に留める。大転子そのものではない。
- ❌ 2:下腿半月は腓骨頭の2〜3cm下に置く(腓骨頭直下は腓骨神経麻痺のリスク)。5〜6cm下は下すぎる。
- ❌ 3:膝継手は膝関節裂隙〜内転筋結節の高さに合わせる。「大腿骨顆部2〜3cm下」は不正確。
- ❌ 4:足継手は内果と外果の中央ではなく、やや後方(解剖学的足関節軸)に合わせる(Lauge基準では内果下端やや後方)。表現として不適。
- ⭕ 5:大腿下位半月〜膝継手の距離と下腿半月〜膝継手の距離を等しくして力学的バランスを取るのが正しい。
午前 問29(専門一般・正答 5) この問題のページ →
車椅子自走のスロープ勾配は1/12以下が推奨。25cm(0.25m)の段差なら0.25×12=3.0mが必要。
- ❌ 1:1.0mでは勾配1/4で急すぎる。
- ❌ 2:1.5mは1/6で自走には急。
- ❌ 3:2.0mは1/8で推奨より急。
- ❌ 4:2.5mは1/10でまだ推奨(1/12)に満たない。
- ⭕ 5:3.0mで勾配1/12となり、車椅子自走に適切な基準を満たす。
午前 問34(専門一般・正答 4) この問題のページ →
底屈制動式(後方制動)短下肢装具は、遊脚期の足尖引っかかり(下垂足・内反尖足)を防ぐ。脳卒中片麻痺では下肢BRSステージⅤでも痙性による内反尖足が残存することが多く、AFOの適応となる。
- ❌ 1:pogo-stick装具はPerthes病に対して患肢の免荷と外転保持を目的に用いる股関節装具であり、脳性麻痺に用いる装具ではない。
- ❌ 2:交互歩行装具(RGO)は股関節の随意性が乏しい胸髄レベルの対麻痺・二分脊椎に用いる装具で、T10も適応となりうる。組合せ自体は妥当と考えられるが、厚生労働省の正答は4であり、本肢は解答が分かれた選択肢である。
- ❌ 3:コックアップ・スプリントは橈骨神経麻痺(下垂手)に用いる。正中神経麻痺(猿手)ではなく組合せが誤り。
- ⭕ 4:足関節底屈制動式AFOは遊脚期の下垂足・内反尖足を制動する。脳卒中片麻痺(下肢BRS Ⅴ)でも痙性内反尖足に対し適応となり、組合せとして適切。
- ❌ 5:ハロー・ベストは頸椎(環軸椎・上位頸椎)の固定に用い、腰部脊柱管狭窄症には使わない。
午後 問5(実地・正答 4) この問題のページ →
橈骨神経高位麻痺による下垂手で、手関節・手指の伸展が困難。手関節と手指を背屈方向に補助し、機能肢位に保持する装具(コックアップ/長対立を伴う背屈補助装具等)が適切で、選択肢4の装具がこれに該当する。
- ❌ 1:下垂手を機能肢位に保持できない装具。
- ❌ 2:母指対立保持を主目的とする装具で、正中神経麻痺向け。
- ❌ 3:MP屈曲を補助する装具で、尺骨神経麻痺(鷲手)向け。
- ⭕ 4:手関節・手指を背屈方向に補助し、下垂手を機能肢位に保持する装具。
- ❌ 5:本症例の手関節・手指伸展障害を補助しない装具。
午後 問10(実地・正答 4) この問題のページ →
思春期特発性側弯症でCobb角35度、装具適応。胸椎カーブにはアンダーアーム型のボストンブレース(TLSO)が第一選択。頂椎がT7以下ならボストンブレースが適応。
- ❌ 1:Jewett装具は胸腰椎の屈曲制限用(圧迫骨折等)で側弯症用ではない。
- ❌ 2:SOMIブレースは頸椎固定装具。
- ❌ 3:軟性TLSOは側弯の矯正力が不十分。
- ⭕ 4:ボストンブレース(アンダーアーム型TLSO)は胸腰椎カーブの側弯症に用いる標準装具。
- ❌ 5:ミルウォーキーブレースは頸部まで及ぶCTLSOで、高位胸椎カーブ(T6以上)に用いる。本例(胸椎T7以下想定)ではボストンが適切。
午後 問22(専門一般・正答 2) この問題のページ →
松葉杖の握りの高さは大転子の高さに合わせ、肘関節を約30度屈曲位にする。
- ❌ 1:肘は約30度屈曲位で握る(完全伸展位ではない)。
- ⭕ 2:握りの高さは大転子の高さに設定する。
- ❌ 3:脇当ては腋窩から2-3横指(約5cm)下げ、腋窩神経圧迫を防ぐ。隙間なくは禁忌。
- ❌ 4:杖長は身長×0.77程度、または身長-41cm程度。50cm引くは不正確。
- ❌ 5:杖先は足尖の前外側15cm程度に置く。5cmは近すぎる。
午後 問34(専門一般・正答 5) この問題のページ →
図の装具(開排位保持装具:Riemenbügel/リーメンビューゲル装具等)は発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)の治療に用いる。
- ❌ 1:脳性麻痺には短下肢装具等を用いる。
- ❌ 2:Down症候群に特異的な装具ではない。
- ❌ 3:先天性内反足はDenis-Browne装具やギプス(Ponseti法)を用いる。
- ❌ 4:筋ジストロフィーには長下肢装具等。
- ⭕ 5:発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)には開排位保持装具(リーメンビューゲル等)を用いる。
関連ページ
出典:「第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。科目分類・要旨・解説はNetwork-Primerが独自に作成したものです。
出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。
最終更新:2026-09-10
監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)
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