運動学|第61回 理学療法士国家試験(16問)
第61回理学療法士国家試験の運動学分野(全16問)です。正答とNetwork-Primer独自解説(正答の理由・各選択肢の○×)を載せています。各問の問番号から、その問題だけのページ(設問文・選択肢つき)に移動できます。200問を通しで解きたいときは第61回 PT 全問ページ(演習モード・自己採点つき)へ。
概要
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題数 | 16問 |
| 実地問題 | 0問(0点) |
| 一般・共通問題 | 16問(16点) |
| 推定配点 | 16点 |
正答一覧
問番号から、その問題だけのページ(設問文・選択肢・正答・解説)に移動します。
| 問 | 時間帯 | 区分 | 何を問うた設問か | 正答 |
|---|---|---|---|---|
| 問22 | 午前 | 専門一般 | 安静立位で重心線が通る位置 | 5 |
| 問26 | 午前 | 専門一般 | 運動学習の用語と具体例の対応 | 1 |
| 問39 | 午前 | 専門一般 | 外的刺激による運動準備に関わる部位 | 2 |
| 問69 | 午前 | 共通 | 力学の単位と定義の正誤 | 1 |
| 問70 | 午前 | 共通 | 運動軸が1つの関節の判別 | 1・2 |
| 問72 | 午前 | 共通 | 体幹回旋に作用する筋の同定 | 4 |
| 問73 | 午前 | 共通 | 荷重応答期に遠心性収縮する筋 | 1・2 |
| 問74 | 午前 | 共通 | 膝関節の運動と靱帯の特性 | 1 |
| 問21 | 午後 | 専門一般 | 正常歩行の床反力分力の特徴 | 1・5 |
| 問31 | 午後 | 専門一般 | 歩行率〈ケイデンス〉の単位 | 3 |
| 問49 | 午後 | 専門一般 | PC作業の筋骨格系障害予防の姿勢 | 3 |
| 問70 | 午後 | 共通 | 前鋸筋と僧帽筋上部の共通作用 | 5 |
| 問71 | 午後 | 共通 | 立位姿勢と重心・支持基底面 | 3 |
| 問72 | 午後 | 共通 | 足部外がえしに働く筋 | 3 |
| 問73 | 午後 | 共通 | 遠心性収縮が生じる動作の判別 | 1・4 |
| 問74 | 午後 | 共通 | 健常者の歩行周期の特徴 | 5 |
解説
午前 問22(専門一般・正答 5) この問題のページ →
安静立位の重心線は、乳様突起→肩峰→大転子→膝関節前部→外果の前方を通る。外果の前方が正しい。
- ❌ 1:耳垂ではなく乳様突起の前を通る(耳垂の後方でなく概ね通過点)。表現として不正確。
- ❌ 2:重心線は肩峰を通る(前方ではない)。
- ❌ 3:大転子を通る(前方ではない)。
- ❌ 4:膝蓋骨後方~膝関節前部を通り、膝蓋骨の前方ではない。
- ⭕ 5:重心線は外果の前方2~6cmを通過する。正しい。
午前 問26(専門一般・正答 1) この問題のページ →
正の転移とは、既習の運動技能が新しい類似技能の習得を促進すること。ソフトボール経験が野球投球の習得を早めるのは正の転移の典型例。
- ⭕ 1:正の転移=先行学習が後続の類似課題の習得を促進する。ソフト→野球投球はその例。
- ❌ 2:エラーレス学習は誤りを起こさせない学習法。二重課題(歩行+計算)の説明は誤り。
- ❌ 3:同時フィードバックは動作と同時に情報提供すること。動画を後で確認は「遅延フィードバック」。
- ❌ 4:パフォーマンスの知識(KP)は動作の質に関する情報。荷重量を伝えるのは結果の知識(KR)。
- ❌ 5:メンタル・プラクティスはイメージ練習。試行錯誤の反復は該当しない。
午前 問39(専門一般・正答 2) この問題のページ →
外的刺激(視覚・聴覚など)に基づく運動の準備・計画に関わるのは運動前野(premotor area)。内的に生成する運動は補足運動野が担う。
- ❌ 1:小脳は運動の協調・タイミング調整。
- ⭕ 2:運動前野は外的手がかりに基づく運動の準備に関与する。
- ❌ 3:一次運動野は運動の実行(指令送出)。
- ❌ 4:大脳基底核は運動の開始・抑制・自動化。
- ❌ 5:補足運動野は内的に生成される(自発的)運動系列の準備を担う。
午前 問69(共通・正答 1) この問題のページ →
ワット(W)は仕事率(パワー)の単位であり、仕事の単位ではない。仕事の単位はジュール(J)。
- ⭕ 1:(誤り):ワットは仕事率の単位で、仕事の単位ではない。これが誤りの選択肢。
- ❌ 2:(正しい):ニュートン(N)は力の単位。
- ❌ 3:(正しい):力=質量×加速度(F=ma)。
- ❌ 4:(正しい):仕事=力×移動距離。
- ❌ 5:(正しい):仕事率は単位時間当たりの仕事。
午前 問70(共通・正答 1・2) この問題のページ →
運動軸が1つ(1自由度)の蝶番関節は、腕尺関節(肘屈伸)と母指IP関節(屈伸)。
- ⭕ 1:腕尺関節は蝶番関節で運動軸1つ(屈伸のみ)。
- ⭕ 2:母指IP関節は蝶番関節で運動軸1つ。
- ❌ 3:示指MP関節は顆状関節で2軸(屈伸・内外転)。
- ❌ 4:肩甲上腕関節は球関節で3軸。
- ❌ 5:橈骨手根関節は楕円関節で2軸。
午前 問72(共通・正答 4) この問題のページ →
体幹の回旋では、同側の内腹斜筋と対側の外腹斜筋が協働する。図の回旋方向に対応する主動筋として右内腹斜筋が正しい。
- ❌ 1:右多裂筋は同側伸展・対側回旋に働くが、主たる回旋筋ではない。
- ❌ 2:左腰方形筋は側屈が主。
- ❌ 3:右外腹斜筋は左回旋に働き、図の運動方向と逆。
- ⭕ 4:右内腹斜筋は同側(右)回旋に働き、図の運動に一致する主動筋。
- ❌ 5:左脊柱起立筋は同側側屈・伸展が主。
午前 問73(共通・正答 1・2) この問題のページ →
歩行の荷重応答期(踵接地後)で遠心性収縮するのは前脛骨筋(足底接地を緩やかにする)と長指伸筋(協働)。
- ⭕ 1:長指伸筋は荷重応答期に遠心性収縮する。
- ⭕ 2:前脛骨筋は荷重応答期に遠心性収縮し、foot slapを防ぐ。
- ❌ 3:短腓骨筋は立脚中期以降に働く。
- ❌ 4:ヒラメ筋は立脚中期〜後期に働く。
- ❌ 5:長母指屈筋は立脚後期の蹴り出しに働く。
午前 問74(共通・正答 1) この問題のページ →
内側半月板は内側側副靱帯(MCL)と結合しており、MCL損傷時に内側半月も損傷しやすい(unhappy triad)。
- ⭕ 1:内側半月板は内側側副靱帯と結合している。
- ❌ 2:屈曲初期は転がり運動、屈曲が進むと滑り運動が増える(転がりが増えるは誤り)。
- ❌ 3:大腿筋膜張筋は膝伸展位で膝伸展、屈曲位では屈曲を補助(腸脛靱帯経由)。「膝屈曲位で膝伸展」は不正確。
- ❌ 4:内側側副靱帯は幅広く強靱で、外側側副靱帯より太い(細いは誤り)。
- ❌ 5:膝内旋に働くのは半腱様筋・半膜様筋等(大腿二頭筋は外旋筋)。
午後 問21(専門一般・正答 1・5) この問題のページ →
正常歩行の垂直分力は2峰性(荷重応答期と立脚終期にピーク)。前後分力のピーク値は歩行速度が遅くなると小さくなる。
- ⭕ 1:垂直分力は2峰性波形(体重の約1.1-1.2倍のピークが2つ)を示す。
- ❌ 2:垂直分力の最小値(立脚中期)は体重より小さくなる(体重と等しくならない)。
- ❌ 3:左右分力は立脚中期に内向き(内側)に働く。
- ❌ 4:前後分力は荷重応答期には後向き(制動)に働く。前向き(駆動)は立脚後期。
- ⭕ 5:前後分力のピーク値は歩行速度が遅くなると小さくなる。
午後 問31(専門一般・正答 3) この問題のページ →
歩行率(ケイデンス)は単位時間あたりの歩数で、単位は歩/分(steps/min)。
- ❌ 1:パーセントは歩行比などの相対値の単位。
- ❌ 2:秒/歩は1歩あたりの時間(歩行周期の逆数的表現)。
- ⭕ 3:歩行率(ケイデンス)の単位は歩/分。
- ❌ 4:メートル/分は歩行速度の単位。
- ❌ 5:メートル/歩は歩幅(ストライド長)の単位。
午後 問49(専門一般・正答 3) この問題のページ →
VDT作業(パソコン作業)の障害予防では、座面が高い場合に足置き台を使用し、足底を安定させて下肢・体幹の負担を軽減する。
- ❌ 1:連続作業は1時間ごとに休憩(10-15分)を取る。3時間は長すぎる。
- ❌ 2:眼とディスプレイの距離は40cm以上が推奨(30cmは近すぎる)。
- ⭕ 3:座面が高い場合は足置き台を使い、足底接地を確保して姿勢を安定させる。
- ❌ 4:キーボードは肘関節約90度屈曲位で操作する(完全伸展は不適)。
- ❌ 5:眼の高さはディスプレイ上端がやや下になるよう調整する(下端ではない)。
午後 問70(共通・正答 5) この問題のページ →
前鋸筋(下部)と僧帽筋上部線維はともに肩甲骨の上方回旋に働く(force couple)。上肢挙上時に協働する。
- ❌ 1:下制は僧帽筋下部・小胸筋等。
- ❌ 2:挙上は僧帽筋上部・肩甲挙筋(前鋸筋は主作用でない)。
- ❌ 3:内転は僧帽筋中部・菱形筋。
- ❌ 4:下方回旋は菱形筋・小胸筋・肩甲挙筋。
- ⭕ 5:前鋸筋と僧帽筋上部線維はともに上方回旋に働く(共通作用)。
午後 問71(共通・正答 3) この問題のページ →
支持基底面は接地している両足底とその間に囲まれた面積を含む。
- ❌ 1:幼児の重心は成人より高く、第12胸椎付近など高位。「仙骨のやや前方」は成人の重心(第2仙椎前方)。
- ❌ 2:安静立位の重心線は大転子・肩峰等を通り、上前腸骨棘は通らない。
- ⭕ 3:支持基底面は足底とその間を含む面である。
- ❌ 4:Romberg肢位(閉脚)は開脚立位より支持基底面が狭く不安定。
- ❌ 5:安静立位でも身体重心は常に前後左右に動揺している(姿勢動揺)。
午後 問72(共通・正答 3) この問題のページ →
長腓骨筋は足部の外がえし(外反)と底屈に働く。腓骨神経(浅腓骨神経)支配で、外側縦アーチと横アーチの保持にも関与する。
- ❌ 1:後脛骨筋は内がえし(内反)に働く。
- ❌ 2:長指屈筋は足趾屈曲・内がえし補助。
- ⭕ 3:長腓骨筋は足部の外がえし(外反)に働く。
- ❌ 4:長母指屈筋は母趾屈曲。
- ❌ 5:ヒラメ筋は足底屈の主動作筋。
午後 問73(共通・正答 1・4) この問題のページ →
遠心性収縮(筋が伸張されながら張力発揮)は、頭上の手を下ろすとき(三角筋前部が伸びながら制御)と、椅子に座るとき(大腿四頭筋が伸びながら制御)。
- ⭕ 1:頭上の手を下ろすとき、三角筋前部は遠心性収縮で制御する。
- ❌ 2:懸垂で体を上げるときの上腕二頭筋は求心性収縮(短縮)。
- ❌ 3:腕立てで肘を伸ばすときの上腕三頭筋は求心性収縮。
- ⭕ 4:椅子に座るとき大腿四頭筋は遠心性収縮でブレーキをかける。
- ❌ 5:つま先立ちのヒラメ筋は求心性収縮(短縮して底屈)。
午後 問74(共通・正答 5) この問題のページ →
遊脚後期(terminal swing)では、遊脚側下肢が振り出された後、接地に備えてハムストリングス等が働き動きが減速する。
- ❌ 1:高齢者では歩幅減少・歩行率変化で歩行比(歩幅/歩行率)はむしろ小さくなる傾向。
- ❌ 2:歩行周期中、膝関節は2回屈曲する(立脚期の軽度屈曲と遊脚期の大きな屈曲)。
- ❌ 3:股関節伸展が最大になるのは立脚終期(爪先離地の直前)。
- ❌ 4:荷重応答期では体重心は足部の直上ではなく後方寄り。立脚中期に足部直上。
- ⭕ 5:遊脚後期に遊脚側下肢の動きが減速する(接地の準備)。
関連ページ
出典:「第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。科目分類・要旨・解説はNetwork-Primerが独自に作成したものです。
出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。
最終更新:2026-09-10
監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)
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