老年期|理学療法士(PT)国家試験 過去問まとめ

理学療法士国家試験の老年期分野を、複数年分まとめて対策できるページです。サルコペニア・フレイル・ロコモティブシンドローム・認知症・転倒予防・高齢者の運動療法など、超高齢社会の臨床に直結するテーマが並びます。収録済みの範囲では第60回12問・第61回5問が出題されており、年度をまたいで解くことで繰り返し問われる論点が見えてきます。

問題文は著作権に配慮して掲載せず、正答番号(厚生労働省が公表する事実データ)と、Network-Primer独自の解説(正答理由・各選択肢の○×)を掲載しています。問題文は各年の全問ページからリンクする厚生労働省の公式PDFでご確認ください。

収録状況

年度実施老年期 出題数収録
第61回2026年2月6問✅ 解説あり
第60回2025年2月5問✅ 解説あり
第59回2024年2月4問✅ 解説あり
第58回2023年2月1問✅ 解説あり
第57回2022年2月順次追加

頻出テーマ(複数年で繰り返し問われる論点)

  • サルコペニア・フレイル:AWGS 2019の診断項目(筋量・握力・歩行速度)、Friedのフレイル5項目、抗重力筋・速筋(TypeⅡ)の萎縮
  • ロコモティブシンドローム:ロコモ度の段階、ロコモ度テスト、ロコトレの内容、サルコペニアとの関係
  • 認知症・認知機能:中核症状とBPSD(周辺症状)の区別、MCIの有病率
  • 転倒予防・バランス評価:TUGによる転倒リスク評価、認知機能低下と転倒の関連、静的→動的バランスへの段階づけ
  • 高齢者の運動療法・廃用:筋力増強運動の負荷設定、入院関連機能障害(HAD)、介護予防事業のスクリーニング
  • 高齢者の生活機能・発達:高齢者の歩行の特徴、低栄養と関連する病態、Eriksonの心理・社会的発達論、三次予防

第61回(2026年2月実施)

老年期として6問が出題されました(実地1問・一般/共通5問、推定配点8点)。全問の正答・解説は 第61回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問19午前実地入院関連機能障害を示す用語の同定2
問32午前専門一般加齢による筋萎縮への理学療法3
問23午後専門一般ロコモティブシンドロームの概念2
問27午後専門一般転倒予防を目的とした理学療法2・3
問30午後専門一般フレイル判定の基本チェックリスト4/5(複数正答)
問82午後共通サルコペニアAWGS2019の評価項目1・5

午前 問19(実地・正答 2) 問題を見る →

ポイント:入院に伴う安静で生じた活動制限=HAD(Hospitalization Associated Disability、入院関連機能障害)。廃用による生活機能低下。

  • 1:AE(急性増悪)は疾患自体の悪化を指す。
  • 2:HADは入院中の安静により生じる新たな生活機能低下。本例に合致。
  • 3:ICU-AWはICU在室に伴う筋力低下で、一般病棟の本例とは異なる。
  • 4:NYHA Ⅰは無症状の心機能分類で状態説明にならない。
  • 5:PICSは集中治療後症候群でICU治療歴が前提。

午前 問32(専門一般・正答 3) 問題を見る →

ポイント:加齢性筋萎縮(サルコペニア)では、抗重力筋(下肢・体幹の姿勢保持筋)の筋力トレーニングが日常生活機能維持に最も重要。

  • 1:高齢者には短期集中でなく、継続的・漸進的な負荷が適する。
  • 2:加齢では速筋(TypeⅡ)線維が優先的に萎縮するため、Type Ⅱの強化を意識する。
  • 3:抗重力筋の筋力トレーニングは立位・歩行など生活機能維持に直結し最も適切。
  • 4:併存疾患があっても安全に配慮して集団運動は実施可能。除外する必要はない。
  • 5:高齢者には最大負荷の90%は高すぎ危険。中等度(60-80%)で行う。

午後 問23(専門一般・正答 2) 問題を見る →

ポイント:ロコモティブシンドロームは運動器の障害により移動機能が低下した状態。サルコペニア(筋量・筋力低下)はロコモの一因となる。

  • 1:ロコモは運動器の障害で、社会的脆弱性はフレイルの概念に含まれる。
  • 2:サルコペニアは筋量・筋力低下でロコモの主要な一因。
  • 3:ロコモ度は3段階(ロコモ度1・2・3)で5段階ではない。
  • 4:診断はロコモ度テスト(立ち上がり・2ステップ・ロコモ25)で、筋力測定必須ではない。
  • 5:ロコトレは開眼片脚立ちとスクワット。閉眼スクワットは転倒リスクで不適。

午後 問27(専門一般・正答 2・3) 問題を見る →

ポイント:転倒予防では、認知機能低下が転倒リスクに関連することを踏まえ、静的バランスから動的バランスへ段階的に練習を進めるのが適切。

  • 1:転倒高リスク群ではTUG時間は延長する(短くない)。
  • 2:認知機能の低下(注意・遂行機能低下)は転倒リスクと強く関連する。
  • 3:静的バランス→動的バランスへ段階的に難度を上げるのが安全で効果的。
  • 4:歩行速度を上げることを最優先すると転倒リスクが増す。安全性が優先。
  • 5:バランスに関与する感覚は体性感覚・前庭・視覚で、温痛覚が最重要ではない。

午後 問30(専門一般・正答 4/5(複数正答)) 問題を見る →

ポイント:本問は、厚生労働省の正答値表で選択肢4・5のいずれもが正答として認められた問題(複数正答)です。採点除外(その問題が採点対象から外れ、満点が減る扱い)ではありません。選択肢4・5のいずれかを選んだ場合が正解、それ以外を選んだ場合は不正解として採点されます。

  • 1:経済状況を含む ── 基本チェックリストは生活機能・運動・栄養・口腔・認知・うつ等25項目で、経済状況は含まない。
  • 2:指輪っかテストを含む ── サルコペニアの簡易スクリーニングで、基本チェックリストの項目ではない。
  • 3:反復唾液嚥下テストを含む ── 嚥下機能の検査で、基本チェックリストの項目ではない。
  • 4:対象者に対面せず評価できる ── 自記式で郵送等も可能な面はある。
  • 5:二次予防事業対象者を選定する ── かつての介護予防の枠組みに関する記述。

午後 問82(共通・正答 1・5) 問題を見る →

ポイント:AWGS 2019のサルコペニア診断は、筋量低下+(筋力低下 or 身体機能低下)。評価項目は筋量・握力(筋力)・歩行速度(身体機能)。選択肢中は筋量と歩行速度。

  • 1:筋量(骨格筋量指数)はサルコペニアの必須評価項目。
  • 2:身長は単独の評価項目ではない。
  • 3:体重は単独の評価項目ではない。
  • 4:骨密度は骨粗鬆症の指標でサルコペニア診断項目ではない。
  • 5:歩行速度は身体機能の評価項目。

第60回(2025年2月実施)

老年期として5問が出題されました(実地1問・一般/共通4問、推定配点7点)。全問の正答・解説は 第60回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問33午前専門一般フレイルの判定要件の選択4・5
問85午前共通加齢に伴い低下する生体機能1
問93午前共通高齢者の低栄養と関連の薄い病態4
問95午前共通高齢者の歩行パラメータ変化2
問17午後実地介護予防スクリーニングの対象5

午前 問33(専門一般・正答 4・5) 問題を見る →

ポイント:フレイルの判定にはFriedの表現型を日本人向けに改変したJ-CHS基準(2020年改訂)が広く用いられ、体重減少・疲労感・歩行速度低下・握力低下・身体活動量低下の5項目中3項目以上でフレイル、1〜2項目でプレフレイルと判定する。

  • 1:骨密度の減少は骨粗鬆症の指標であり、J-CHS基準の5項目には含まれません。
  • 2:柔軟性や関節可動域の低下は判定項目に含まれていません。
  • 3:肺活量などの呼吸機能の指標も判定項目には含まれていません。
  • 4:通常歩行速度が1.0m/秒未満であることが該当し、5項目の1つです。
  • 5:軽い運動や定期的な運動を週1回もしていないことが該当し、5項目の1つです。

午前 問85(共通・正答 1) 問題を見る →

ポイント:加齢では骨量や骨格筋量が減る変化と、動脈硬化や慢性炎症のように増える変化が混在する。選択肢のうち加齢で低下するのは骨塩量のみで、残り4つはいずれも加齢とともに増加する方向に変化する。

  • 1:骨吸収が骨形成を上回るため、とくに閉経後女性で骨塩量は明らかに低下する。
  • 2:肺の弾性収縮力低下と末梢気道の早期閉塞により、残気量は増加し肺活量は低下する。
  • 3:免疫の自己寛容が低下するため、加齢とともに自己抗体の産生や陽性率は増加する。
  • 4:動脈壁の硬化と弾性の低下により末梢血管抵抗は増加し、収縮期血圧が上昇しやすい。
  • 5:IL-6やTNF-αなどが軽度持続的に上昇する慢性炎症状態がみられ、増加する方向である。

午前 問93(共通・正答 4) 問題を見る →

ポイント:低栄養は蛋白・エネルギーの不足を通じて創傷治癒の遅延、筋量・骨量の減少を招く。褥瘡、貧血、サルコペニア、大腿骨頸部骨折はいずれも低栄養と密接に関連するが、変形性膝関節症は加齢や肥満など力学的負荷が主な危険因子である。

  • 1:低アルブミン血症や皮下脂肪・筋の減少が発生と治癒遅延に直結し、低栄養との関連は強い。
  • 2:鉄・ビタミンB₁₂・葉酸・蛋白の摂取不足によって生じ、低栄養と強く関連する。
  • 3:蛋白やエネルギーの摂取不足は筋量・筋力低下の主要な要因であり、関連は強い。
  • 4:加齢や肥満、力学的ストレスが主因で、むしろ過体重が危険因子。低栄養との関連は少ない。
  • 5:低栄養は骨量低下と筋力低下による転倒増加を通じて、骨折の危険を高める。

午前 問95(共通・正答 2) 問題を見る →

ポイント:高齢者の歩行は安定性を優先した特徴を示す。歩幅と歩行速度が減少し、歩隔はやや広がり、両脚支持期の割合が延長して遊脚期は相対的に短縮する。歩行率(ケイデンス)は大きく増加するわけではない。

  • 1:側方への安定性を確保しようとするため、歩隔はむしろ広がる傾向がみられる。
  • 2:下肢筋力やバランス機能の低下を補うため一歩の距離が短くなり、歩行速度も低下する。
  • 3:歩幅の減少を補って歩行率が保たれることはあるが、増加が高齢者の特徴とはいえない。
  • 4:片脚支持となる遊脚期は不安定なため、その割合はむしろ短縮する方向に変化する。
  • 5:安定性を高めようとして、両足が接地している両脚支持期の割合は逆に延長する。

午後 問17(実地・正答 5) 問題を見る →

ポイント:公式正答と選択肢の内容から、図は立ち上がりテストや2ステップテストといったロコモ度テストと考えられる。運動器の障害による移動機能低下、すなわちロコモティブシンドロームをスクリーニングする。

  • 1:サルコペニアの判定には握力や歩行速度に加えDXAやBIAによる骨格筋量の測定が必要で、動作テストだけでは確定できない。
  • 2:ダイナペニアは筋量減少を伴わない筋力低下を指す概念で、筋量測定と筋力測定を併せて初めて判断できる。
  • 3:ポストポリオ症候群はポリオ罹患の既往者に長期経過後に生じる筋力低下・易疲労で、既往歴の確認が前提となる。
  • 4:メタボリックシンドロームは腹囲に加え血圧・血糖・脂質の測定が必要で、運動器の機能テストでは評価できない。
  • 5:ロコモ度テストは移動機能の低下を判定する運動器のスクリーニングで、介護予防事業で広く用いられている。

第59回(2024年2月実施)

老年期として4問が出題されました(実地1問・一般/共通3問、推定配点6点)。全問の正答・解説は 第59回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問45午前専門一般フレイルの判定要件の識別5
問18午後実地介護予防のテストで確認する状態2
問43午後専門一般基本チェックリストの低栄養基準2
問82午後共通フレイル高齢者の身体的特徴5

午前 問45(専門一般・正答 5) 問題を見る →

ポイント:日本版CHS基準(J-CHS)の5項目は、体重減少・筋力低下(握力)・疲労感・歩行速度低下・身体活動低下。3項目以上でフレイル、1〜2項目でプレフレイルと判定する。歩行は「距離」ではなく「速度」で評価する。

  • 1:疲労感(わけもなく疲れたような感じがする)は5項目の一つで、判定要件に含まれる。
  • 2:筋力低下は握力で評価し、男性28kg未満・女性18kg未満が該当する判定要件である。
  • 3:体重減少は6か月で2kg以上の意図しない減少とされ、判定要件に含まれる。
  • 4:軽い運動・定期的な運動をしていないという身体活動低下も判定要件の一つである。
  • 5:歩行距離の減少は要件ではない。歩行は通常歩行速度1.0m/秒未満という速度で評価する。

午後 問18(実地・正答 2) 問題を見る →

ポイント:公式正答から、図は下腿の最も太い部分を両手の親指と人差し指で囲む「指輪っかテスト」と考えられる。囲めて隙間ができる場合は下腿周囲長が小さく筋肉量の減少が疑われ、サルコペニアの簡易スクリーニングとして用いられる。

  • 1:フレイルは体重減少・疲労感・歩行速度低下・握力低下・活動量低下など複数項目で判定し、下腿を囲むだけでは評価できない。
  • 2:正しい。下腿周囲長の代用として筋肉量の減少を推定でき、サルコペニアの危険度を簡便に確認できる。
  • 3:ダイナペニアは筋肉量減少を伴わない筋力低下を指し、握力など筋力の測定が必要となる。
  • 4:ロコモティブシンドロームは立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25で判定する。
  • 5:コンパートメント症候群は外傷後の激しい疼痛や腫脹、区画内圧の上昇から診断する急性の病態である。

午後 問43(専門一般・正答 2) 問題を見る →

ポイント:介護予防のための基本チェックリスト(全25項目)で栄養状態をみるのはNo.11「6か月間で2〜3kg以上の体重減少」とNo.12「BMIが18.5未満」の2項目で、この2項目すべてに該当すると栄養改善(低栄養)のリスクありと判定される。

  • 1:BMI16.5未満は重度のやせに相当する値であり、基本チェックリストの判断基準としては用いられない。
  • 2:BMI18.5未満が基準値。日本肥満学会の「低体重(やせ)」の境界と一致し、体重減少の項目と併せて低栄養を判定する。
  • 3:20.5未満はNRS-2002など他の栄養スクリーニングで扱われる値で、基本チェックリストの基準ではない。
  • 4:BMI22前後は標準体重の目安であり、22.5未満では低栄養の判定値として明らかに高すぎる。
  • 5:24.5未満は過体重に近い者まで含めてしまう値であり、低栄養の判断基準にはならない。

午後 問82(共通・正答 5) 問題を見る →

ポイント:フレイルではサルコペニアを伴って筋量・筋力が低下し、歩行速度やバランス能力も低下します。FBSは点数が低いほどバランス機能が不良であることを示すため、フレイルでは低値となります。

  • 1:フレイルはサルコペニアを伴うことが多く、筋量は減少する。増加するという記述は誤り。
  • 2:TUGは立ち上がりと歩行・方向転換の所要時間をみる指標で、フレイルでは延長する。短縮は誤り。
  • 3:長座位前屈距離は柔軟性の指標で、フレイルの構成要素(体重減少・疲労感・活動量低下・歩行速度低下・筋力低下)には含まれない。
  • 4:予備能が低下しているため同じ運動負荷でも自覚的運動強度は高くなり、Borg指数は高値になりやすい。
  • 5:FBSは得点が低いほどバランス機能が低いことを示し、フレイルの高齢者では低値となる。正しい。

第58回(2023年2月実施)

老年期として1問が出題されました(実地0問・一般/共通1問、推定配点1点)。全問の正答・解説は 第58回 PT 全問ページ でも確認できます。

時間帯区分何を問うた設問か正答
問48午後専門一般基本チェックリストの質問項目4

午後 問48(専門一般・正答 4) 問題を見る →

ポイント:介護予防事業の基本チェックリストは25項目からなり、うち運動器機能は5項目。立ち上がりを問う項目は「椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか」であり、「床から」ではない。他の4肢はいずれもそのままの文言で含まれる。

  • 1:「転倒に対する不安は大きいですか」は運動器機能の項目として基本チェックリストに含まれる。
  • 2:「15分位続けて歩いていますか」は運動器機能の項目として基本チェックリストに含まれる。
  • 3:「この1年間に転んだことがありますか」は運動器機能の項目として基本チェックリストに含まれる。
  • 4:正しい(含まれない)。実際の項目は「椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか」で、床からの立ち上がりは問われない。
  • 5:「階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか」は運動器機能の項目として基本チェックリストに含まれる。

この解説について

本コンテンツは教育目的で無償公開しています。正答番号は厚生労働省が公表する事実データ、解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。

出典:「第58回〜第61回理学療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。


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出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

最終更新:2026-09-10

監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)

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