第58〜61回 難所分析(作業療法士)
第58回から第61回までの4年分(作業療法士各200問・計800問)を、厚生労働省が公表する正答値表から1問ずつ数え直して比較しました。ここでの「難所(難問シグナル)」は、採点除外(設問不備で採点対象から外れた問題)と複数正答(公式に複数の選択肢が正答と認められた問題)を合わせた客観指標です。受験者ごとの正答率は用いていません。
難所は「共通」に集中している
4年で判断が割れた23問のうち17問(74%)が、PT・OT共通の基礎医学100問で起きていました。
実地問題は4年でわずか1問。年ごとの増減より、どの区分で荒れるかが毎年ほぼ変わらないことのほうが重要です。
4年分の基本データ
| 項目 | 第58回 | 第59回 | 第60回 | 第61回 |
|---|---|---|---|---|
| 合格率 | 83.8% | 84.1% | 85.8% | 91.2% |
| 合格基準(総得点) | 168/279点 | 167/277点 | 168/279点 | 167/278点 |
| 実地問題基準 | 43/120点 | 41/117点 | 43/120点 | 43/120点 |
| 採点除外 | 1問 | 1問 | 1問 | 2問 |
| 複数正答 | 3問 | 7問 | 2問 | 6問 |
| 難問シグナル 合計 | 4問 | 8問 | 3問 | 8問 |
合格基準の得点率は4年とも総得点で約60%・実地で約35%に固定されています。難問シグナルの数(4→8→3→8)が年によって上下しても、求められる得点率は変わりません。
区分別の推移
実地問題(問1〜20)は1問3点、専門一般(問21〜50)と共通(問51〜100)は1問1点です。
4年通算では実地1問・専門一般5問・共通17問。実地はほぼ荒れません。1問3点で配点が大きい実地が安定しているというのは、実地で確実に取り、共通の取りこぼしを実地で吸収する戦略が4年間ずっと有効だったことを意味します。
共通100問はPT・OTで完全に同一
午前・午後の問51〜100(各50問)はPT・OTで同一の問題です。4年8セット400問について、設問文と選択肢5つを正規化して機械照合し、すべて一致することを確認しました。そのため共通で起きた難所は、両資格の受験生に等しく波及します。
4年間で共通問題のうち判断が割れたのは、次の17問です。
| 回 | 問 | 科目 | 何を問うた設問か | 種別 |
|---|---|---|---|---|
| 第58回 | 午前問55 | 解剖学 | 小網が連結する臓器の同定 | 複数正答 |
| 第58回 | 午前問63 | 生理学 | 消化酵素の基質と分解産物 | 複数正答 |
| 第58回 | 午前問86 | 発達・小児 | 原始反射と誘発される運動 | 複数正答 |
| 第58回 | 午前問96 | 精神医学 | アルコール依存症の誤りを選ぶ | 採点除外 |
| 第59回 | 午前問52 | 解剖学 | 筋節でミオシンが存在する帯 | 複数正答 |
| 第59回 | 午前問53 | 解剖学 | 肩甲背神経の支配筋 | 複数正答 |
| 第59回 | 午前問72 | 運動学 | 足関節と足部の運動と構造 | 複数正答 |
| 第59回 | 午前問87 | 循環器 | AEDの適応と使用方法 | 複数正答 |
| 第59回 | 午後問71 | 運動学 | 膝関節の構造と運動特性 | 複数正答 |
| 第59回 | 午後問79 | 精神医学 | 願望を意識から排除する防衛機制 | 複数正答 |
| 第60回 | 午後問53 | 解剖学 | 味覚を支配する脳神経 | 複数正答 |
| 第60回 | 午後問98 | 精神医学 | 統合失調症の陽性症状 | 採点除外 |
| 第61回 | 午前問60 | 解剖学 | 扁平上皮が存在する部位 | 複数正答 |
| 第61回 | 午前問98 | 評価・ADL | 人格検査に該当する検査法 | 複数正答 |
| 第61回 | 午後問57 | 解剖学 | 尿路・膀胱の構造と開口部 | 複数正答 |
| 第61回 | 午後問68 | 生理学 | 男性生殖器の機能と射精の調節 | 複数正答 |
| 第61回 | 午後問75 | 生理学 | ショック時にみられる症状 | 複数正答 |
割れやすい科目
共通問題で判断が割れた17問を、当社の科目分類で集計したものです。
解剖学 が4年で6問と最も多く、次いで 生理学3問・精神医学3問 と続きます。共通問題の科目構成そのものが解剖学・生理学に偏っている(この2科目だけで毎年36〜42問)ことに加えて、基礎医学は「2つ選べ」形式で細部まで問われるため、判断が割れやすくなります。
対策のヒント: 典型を丸暗記するより、各テーマの「2つ目の正解」まで押さえる深さが効きます。割れた設問はいずれも、教科書の中心的な論点そのものです。難問だから捨てる、ではなく、基礎の詰めが甘いと落とす問題だと考えてください。
全問の正答・解説
第58〜61回の全問について、正答とNetwork-Primer独自解説を無料公開しています。
- 第61回 OT 全問ページ(2026年2月実施)
- 第60回 OT 全問ページ(2025年2月実施)
- 第59回 OT 全問ページ(2024年2月実施)
- 第58回 OT 全問ページ(2023年2月実施)
- 科目別出題数データベース(第58〜61回)
出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。難問シグナルは採点除外・複数正答という公表データに基づく指標で、科目分類はNetwork-Primerが独自に行ったものです。本コンテンツは教育目的で提供しています。
2026年7月の修正について。 本ページは以前、第60回と第61回だけを比較し、区分別の件数を実地6→2問・専門一般8→8問・共通13→21問と記載していました。この数値は厚生労働省の正答値表と一致しておらず、誤りでした。正しくは第60回が実地0問・専門一般1問・共通2問、第61回が実地0問・専門一般3問・共通5問です。正答値表から全問を数え直し、4年分に拡張したうえで差し替えました。
出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。
最終更新:2026-09-10
監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)。PT・OT共通問題(問51〜100)の解説を監修しています。作業療法士専門分野の解説は当社が独自に作成したもので、作業療法士による監修は受けていません。
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