第58〜61回 難所分析(理学療法士)

第58回から第61回までの4年分(理学療法士各200問・計800問)を、厚生労働省が公表する正答値表から1問ずつ数え直して比較しました。ここでの「難所(難問シグナル)」は、採点除外(設問不備で採点対象から外れた問題)と複数正答(公式に複数の選択肢が正答と認められた問題)を合わせた客観指標です。受験者ごとの正答率は用いていません。

17/28

難所は「共通」に集中している

4年で判断が割れた28問のうち17問(61%)が、PT・OT共通の基礎医学100問で起きていました。

実地問題は4年でわずか4問。年ごとの増減より、どの区分で荒れるかが毎年ほぼ変わらないことのほうが重要です。

4年分の基本データ

項目第58回第59回第60回第61回
合格率87.4%89.2%89.6%89.7%
合格基準(総得点)167/278点168/279点164/273点167/277点
実地問題基準43/120点43/120点40/114点41/117点
採点除外2問1問3問1問
複数正答3問7問4問7問
難問シグナル 合計5問8問7問8問

合格基準の得点率は4年とも総得点で約60%・実地で約35%に固定されています。難問シグナルの数(5→8→7→8)が年によって上下しても、求められる得点率は変わりません。

区分別の推移

実地問題(問1〜20)は1問3点、専門一般(問21〜50)と共通(問51〜100)は1問1点です。

実地 40問580問590問603問611問
専門一般 60問581問592問602問612問
共通 100問(基礎医学)584問596問602問615問
各年の件数4年で最も多かった年

4年通算では実地4問・専門一般7問・共通17問。実地はほぼ荒れません。1問3点で配点が大きい実地が安定しているというのは、実地で確実に取り、共通の取りこぼしを実地で吸収する戦略が4年間ずっと有効だったことを意味します。

共通100問はPT・OTで完全に同一

午前・午後の問51〜100(各50問)はPT・OTで同一の問題です。4年8セット400問について、設問文と選択肢5つを正規化して機械照合し、すべて一致することを確認しました。そのため共通で起きた難所は、両資格の受験生に等しく波及します。

4年間で共通問題のうち判断が割れたのは、次の17問です。

科目何を問うた設問か種別
第58回午前問55解剖学小網が連結する臓器の同定複数正答
第58回午前問63生理学消化酵素の基質と分解産物複数正答
第58回午前問86発達・小児原始反射と誘発される運動複数正答
第58回午前問96精神医学アルコール依存症の誤りを選ぶ採点除外
第59回午前問52解剖学筋節でミオシンが存在する帯複数正答
第59回午前問53解剖学肩甲背神経の支配筋複数正答
第59回午前問72運動学足関節と足部の運動と構造複数正答
第59回午前問87循環器AEDの適応と使用方法複数正答
第59回午後問71運動学膝関節の構造と運動特性複数正答
第59回午後問79精神医学願望を意識から排除する防衛機制複数正答
第60回午後問53解剖学味覚を支配する脳神経複数正答
第60回午後問98精神医学統合失調症の陽性症状採点除外
第61回午前問60解剖学扁平上皮が存在する部位複数正答
第61回午前問98評価・ADL人格検査に該当する検査法複数正答
第61回午後問57解剖学尿路・膀胱の構造と開口部複数正答
第61回午後問68生理学男性生殖器の機能と射精の調節複数正答
第61回午後問75生理学ショック時にみられる症状複数正答

割れやすい科目

共通問題で判断が割れた17問を、当社の科目分類で集計したものです。

解剖学6問
生理学3問
精神医学3問
運動学2問
発達・小児1問
循環器1問
評価・ADL1問

解剖学 が4年で6問と最も多く、次いで 生理学3問・精神医学3問 と続きます。共通問題の科目構成そのものが解剖学・生理学に偏っている(この2科目だけで毎年36〜42問)ことに加えて、基礎医学は「2つ選べ」形式で細部まで問われるため、判断が割れやすくなります。

対策のヒント: 典型を丸暗記するより、各テーマの「2つ目の正解」まで押さえる深さが効きます。割れた設問はいずれも、教科書の中心的な論点そのものです。難問だから捨てる、ではなく、基礎の詰めが甘いと落とす問題だと考えてください。

全問の正答・解説

第58〜61回の全問について、正答とNetwork-Primer独自解説を無料公開しています。


出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成。難問シグナルは採点除外・複数正答という公表データに基づく指標で、科目分類はNetwork-Primerが独自に行ったものです。本コンテンツは教育目的で提供しています。

2026年7月の修正について。 本ページは以前、第60回と第61回だけを比較し、区分別の件数を実地5→3問・専門一般11→9問・共通13→21問と記載していました。この数値は厚生労働省の正答値表と一致しておらず、誤りでした。正しくは第60回が実地3問・専門一般2問・共通2問、第61回が実地1問・専門一般2問・共通5問です。正答値表から全問を数え直し、4年分に拡張したうえで差し替えました。

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出典:「第58回〜第61回 理学療法士国家試験、作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(第61回の公表ページ)を加工して作成

※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。

最終更新:2026-09-10

監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)

本コンテンツは、職員の受験支援用に作成し、実際に社内で使っている教材を公開しています。

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