発達障害OT(8問・推定17点)
自閉スペクトラム症・ADHD・脳性麻痺・知的障害などの発達障害領域
概要
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 出題数 | 8問 |
| 実地問題 | 3問(9点) |
| 一般問題 | 5問(5点) |
| 推定配点 | 17点(全体の6%) |
配点の内訳
トピック別の出題数
| トピック | 出題数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 自閉スペクトラム症 | 2問 | 感覚過敏(90%合併)、サリーとアン課題不正解、SST、構造化、TEACCHは境界性PDに不適切 |
| ADHD | 2問 | 頻回離席(多動)、「じっとしていられず衝動的に行動」、メチルフェニデート |
| 脳性麻痺 | 1問 | 痙直型両麻痺のボール遊び姿勢設定 |
| 発達検査 | 2問 | デンバー式(6か月=寝返り)、S-M社会生活能力検査(自己統制) |
| 知能検査 | 1問 | WISC=小児(5-16歳)、WAIS=成人、WPPSI=幼児 |
全問題・解説
午前
問17(実地 3点)|11歳女児。一人遊び多い。サッカー選手の背番号暗記。この児の障害で正しいのはどれか。
- ⚪ 偏食はまれである
- 🟢 感覚過敏を伴うことがある
- ⚪ 他人の感情の変化を敏感に察知する
- ⚪ 日常習慣の変更の受け入れが良好である
- ⚪ 4〜5歳でサリーとアン課題に正解することが多い
正答:2
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一人遊び多い、人見知りなし、冗談通じず、特定分野への過度な記憶力=自閉スペクトラム症。感覚過敏は高頻度に合併。
- ❌ ×:偏食はASDでは高頻度に見られる(まれではない)。
- ✅ ○:感覚過敏はASDの約90%に合併。聴覚・触覚・味覚等の過敏性。DSM-5でも診断基準に含まれる。
- ❌ ×:ASDでは他人の感情の変化を察知するのが困難。敏感ではない。
- ❌ ×:日常習慣の変更への抵抗が強いのがASDの特徴。受け入れは不良。
- ❌ ×:ASDではサリーとアン課題(心の理論)に4-5歳で正解できないことが多い。
問29(一般 1点)|検査と下位項目の組合せで正しいのはどれか。
- ⚪ WPPSI — 集団参加
- ⚪ 新版K式発達検査 — 処理速度
- ⚪ 田中ビネー — ワーキングメモリー
- 🟢 S-M社会生活能力検査 — 自己統制
- ⚪ 日本版ミラー — 社会性
正答:4
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S-M社会生活能力検査には自己統制が下位項目として含まれる。身辺自立・移動・作業・意思交換・集団参加・自己統制の6領域。
- ❌ ×:WPPSIは知能検査で集団参加は下位項目ではない。
- ❌ ×:新版K式発達検査に処理速度は含まれない。姿勢-運動、認知-適応、言語-社会の3領域。
- ❌ ×:田中ビネーにワーキングメモリーは含まれない(WAISの下位検査)。
- ✅ ○:S-M社会生活能力検査は6領域で、自己統制が含まれる。
- ❌ ×:日本版ミラーに社会性は含まれない。基礎・協調・言語・複合の評価。
問42(一般 1点)|小児の知能検査で用いられるのはどれか。
- ⚪ MMPI
- ⚪ MMSE
- ⚪ POMS
- ⚪ WAIS
- 🟢 WISC
正答:5
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小児の知能検査にはWISC(Wechsler Intelligence Scale for Children)を使用。5-16歳対象。
- ❌ ×:MMPIは人格検査(質問紙法)。知能検査ではない。
- ❌ ×:MMSEは認知機能スクリーニング。小児用ではない。
- ❌ ×:POMSは気分状態プロフィール。知能検査ではない。
- ❌ ×:WAISは成人用知能検査(16歳以上)。小児ではない。
- ✅ ○:WISCは5-16歳対象の小児用知能検査。言語理解・知覚推理・処理速度・ワーキングメモリーを評価。
問43(一般 1点)|注意欠如・多動症児に認められる作業療法中の行動はどれか。
- 🟢 離席の頻回
- ⚪ 発作で倒れる
- ⚪ 誇大的な発言
- ⚪ 何回も確認する
- ⚪ オウム返し
正答:1
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ADHD児は不注意・多動・衝動性が特徴。頻回な離席は多動性の典型的な行動。
- ✅ ○:離席の頻回はADHDの多動性の典型的行動。じっとしていられない。
- ❌ ×:発作で倒れるのはてんかんの症状。ADHDではない。
- ❌ ×:誇大的発言は躁状態の特徴。ADHDではない。
- ❌ ×:何回も確認するのは強迫症の特徴。
- ❌ ×:オウム返し(エコラリア)はASDの特徴。ADHDではない。
午後
問4(実地 3点)|21歳女性。先天性右上肢欠損。起こり得る2次性の障害で最もみられるのはどれか。
- ⚪ 幻肢痛
- ⚪ 神経腫
- 🟢 脊柱側弯症
- ⚪ 断端浮腫
- ⚪ 骨断端の過成長
正答:3
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先天性上肢欠損では残存肢の代償動作や姿勢の非対称性から側弯症が2次性障害として最も生じやすい。
- ❌ ×:幻肢痛は先天性欠損では通常生じない(生来欠損のため四肢の記憶がない)。
- ❌ ×:神経腫は切断端の神経再生異常。先天性欠損では手術切断がないため通常生じない。
- ✅ ○:片側上肢欠損による姿勢の非対称・代償動作から脊柱側弯症が生じやすい。
- ❌ ×:断端浮腫は切断術後に生じる。先天性欠損では断端形状が安定している。
- ❌ ×:骨断端の過成長は小児の切断後に生じる。先天性欠損とは機序が異なる。
問8(実地 3点)|8歳女児。脳性麻痺痙直型両麻痺。ボール遊び時の適切な姿勢設定はどれか。
- ⚪ 姿勢設定①
- ⚪ 姿勢設定②
- ⚪ 姿勢設定③
- ⚪ 姿勢設定④
- 🟢 姿勢設定⑤
正答:5
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脳性麻痺痙直型両麻痺のボール遊び。両麻痺は下肢の痙縮が強いため、下肢の伸展パターンを抑制し安定した座位を確保する姿勢設定が必要。
- ❌ ×:この姿勢は下肢の伸展パターンを助長し不安定。
- ❌ ×:不適切な姿勢設定。
- ❌ ×:下肢の痙縮パターンを抑制できていない。
- ❌ ×:体幹の安定性が不十分。
- ✅ ○:股関節屈曲・外転位で下肢の伸展パターンを抑制し、体幹を安定させた姿勢。ボール遊びに最適。
問23(一般 1点)|日本版デンバー式発達スクリーニング検査で6か月児が可能なのはどれか。
- ⚪ 発音をまねる
- 🟢 寝返り
- ⚪ バイバイ
- ⚪ 親指を使ってつかむ
- ⚪ 積み木の打ち合わせ
正答:2
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デンバー式発達検査で6か月児が可能な粗大運動は寝返り。生後5-6か月で寝返りが可能になる。
- ❌ ×:発音をまねるのは9-10か月頃。
- ✅ ○:寝返りは5-6か月で可能。6か月児の粗大運動の達成項目。
- ❌ ×:バイバイは9-10か月頃。
- ❌ ×:親指を使ってつかむ(ピンチ)は9-12か月。
- ❌ ×:積み木の打ち合わせは10-12か月頃。
問46(一般 1点)|自閉スペクトラム症患者への作業療法の対応で適切なのはどれか。
- ⚪ 内省を促す
- ⚪ 省略した短文で指示する
- ⚪ 無言で制止する
- ⚪ 自由度の高い活動を提供する
- 🟢 SSTをコミュニケーション課題に用いる
正答:5
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自閉スペクトラム症患者へのOT対応ではSST(社会生活技能訓練)をコミュニケーション課題に用いるのが適切。
- ❌ ×:内省を促しても自閉特性により困難。行動面からのアプローチが有効。
- ❌ ×:省略した短文はかえって曖昧になり理解困難。具体的で明確な指示が必要。
- ❌ ×:無言での制止は理由が理解できず混乱を招く。言語で理由を説明すべき。
- ❌ ×:自由度の高い活動は構造化されておらず不安を増強。構造化された活動が推奨。
- ✅ ○:SSTは社会的スキルを具体的に練習する技法。ASD患者のコミュニケーション改善に有効。
学習戦略
- ASD — 感覚過敏、常同行動、心の理論の障害、SST・構造化が基本介入
- ADHD — 不注意・多動・衝動性の3症状、環境調整、即時強化
- 発達検査 — デンバー式の月齢別マイルストーンを暗記
- 知能検査 — Wechsler系(WISC/WAIS/WPPSI)の対象年齢
出典:「第60回理学療法士国家試験、第60回作業療法士国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)(厚生労働省ホームページ)を加工して作成
※ 解説は株式会社Network-Primerが独自に作成したものであり、厚生労働省の公式見解ではありません。本コンテンツは教育目的で提供しており、営利目的での利用を意図するものではありません。
最終更新:2026-07-27
監修:永岡誠司・津川義弘・田村和久(やしまリハビリステーション)・前田匡史(せと)(いずれも理学療法士・当社勤務)
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